妖猫寺
「て、テレサさん! それなんですか・・・?」
「ネクロマンドラ、枯れた後に残る多量の粉は傷を瞬時に癒す効果があります」
「そうじゃなくって・・・」
テレサの腕のネクロマンドラは、みるみるうちに枯れていった。形は人のような姿で、枯れるにつれて老婆のような姿に変化していった。
「ほっ」
テレサが腕を振ると、ネクロマンドラは霧のように分散し、少女に降り注いだ。
「さて、運びましょうか。きっと運んでいる間に、外傷は消えるでしょう」
「は、はい」
神菜子は、テレサへの質問を後回しにして少女を運んだ。
「どういうこと。なんで私達が貴方達の味方をしないといけないのよ」
「それをこれから説明する。あんたらはうちの会社内で能力者がどの程度占めていると思う?」
「さあ?」
「分かりません」
「事務の社員は、普通の人間が多い。だが、戦闘員は全員能力者で、全体の割合は1:9くらいで能力者が多い。だが、能力者の中にも戦闘に向かない者、訓練が完了していなくて戦闘するには未熟なものが多数だ」
「で?」
「そこで、あんたら二人に目をつけた。あんたら、一目見ただけじゃ戦闘には向かなそうだけどな、俺には見えるんだよ。あんたらがどれほどの実力者かな」
「・・・」
「ただとは言わない。社員よりも多めの報酬を払う。だから、うちに協力してくれないか?」
アリオスの問いに、アニマはアリオスの目の前で凄んだ。
「お断りよ!」
「!?」
「僕もお嬢様と同じ答えです」
「何故だ?」
「面白くないからよ。私が欲しいのはお金じゃないの」
「・・・なんだ?」
「楽しく、自由に、ハッピーエンドよ!」
「・・・?」
「お嬢様は、誰かの下につくのは嫌いなんですよ。形だけでも」
「そうか。それは残念。なら俺は諦める」
「そうですか」
「だが、バーベキューは参加するだろ?」
「もちろん」
その時だった。
「お嬢様!」
「御主人様!」
テレサと神菜子が、滑りこむように会場に入ってきた。
「た、助けてください! この娘、言葉が通じなくて・・・」
「話が通じないから、どうしたいのかも分からないんです」
暴れる少女を見たアニマと類が、即座に反応した。
「妖猫寺の娘さん・・・?」
「『この国が危ない』?」
そして、お互いに顔を見合わせて驚いた。
「こ、言葉がわかるの!?」
「妖猫寺って・・・お嬢様が言ってた?」
「お嬢様! 類! とにかく、止めて・・・」
「ああ、はい」
類が間に入り、少女に話しかけた。すると、少女は少し驚いた後に動きを止めた。
「類、話せるの?」
「諏訪子さんが時々教えてくれたのでね。日常会話程度なら出来ますよ」
そう言うと類は、少女に話しかけた。
「『名前は?』」
「~~~~」
「『妖猫寺なゆた』ですか」
「やっぱり、妖猫寺の娘さんね。道理で」
「・・・え? 『それはどういうことですか!?』」
険しい表情で、類はなゆたの話を聞いていた。
「・・・お嬢様、大変なことが起きるかもしれません」
「・・・なに?」
「東方の国の貴族が来れなくなったのは、日の本の国で大きな戦争が起きたからで、それにともなって日の本の国は、この国を乗っ取る侵略者を派遣したそうです」
「な、なんですって・・・?」
「しかも、あちらの国で【妖怪】と呼ばれる能力者十二人を!」




