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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
35/67

アリオスの誘い

 パーティに来てから三日目、アニマの機嫌が良くなかった。

「どうしました? お嬢様」

「類、先刻聞いた話じゃ、東方の国の客が突然来れなくなったって」

「そうですか・・・」

「来る予定だった妖猫寺家は、少し交流があったから楽しみにしてたのに・・・」

 不貞腐れたように机に突っ伏すアニマに、何者かが近づいてきた。

「アニマ嬢、暇そうだな」

「あんたは・・・アリオス?」

 近づいてきた者は、アリオスとテレサだった。類が前見かけたときには気づかなかったが、テレサの首にはアクセサリーには見えない首輪が着いていた。

「俺達もあんたらと同じように一昨日此処に来たんだが、大幅に予定が狂っちゃってな。最終日は城の目の前の砂浜が開放される。そこでバーベキューをするつもりなんだが、一緒にどうだ? 少し話がしたい」

「バーベキュー? 肉は食えるの?」

「それがバーベキューだろう」

「良いわねぇ。参加させてもらいましょうか」

「そうか」

「では、テレサは材料を街まで買いに行ってきます」

「あ、私も行きます!」

「え、え?」

 買い出しに行くというテレサに、神菜子が近づき、耳打ちした。

「他人が用意したものだと、お嬢様がいちゃもんつけるのが目に見えているので。私がお嬢様用の食材を揃えますので」

「あ、そういうことですか」

「ではお嬢様、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 二人は、街に買い出しに向かった。

 二人の姿が消えると同時に、アリオスの顔つきが変わった。

「丁度良かった。出来れば、あのメイドには席を外してもらいたい話があったんでな」

「・・・どういうこと?」

「あんたら、吸血鬼だろ?」

「!?」

「なぜそれを・・・?」

「おっと、警戒しないでくれ。敵意はない」

「・・・」

「俺の会社は知っているよな。民間軍事会社だ。表向きはな」

「表向きは?」

「そう、表向きだ。裏ではな・・・能力者の保護をしている」

「能力者の保護? どういうことなの?」

 アリオスはタバコを取り出し、火をつけて咥えた。

「人、人外関係なく、能力者を保護している。例えば、能力のせいで迫害を受けたやつや、能力を持っていたせいで何らかの組織に狙われていたりな」

「そう、で、私達にそれを話した理由は?」

「ああ、あんたらにも協力してほしいことがあるんだ」

「なに?」

 アリオスは一呼吸置いて、言葉を発した。

「この国が危険に晒されそうになった時、臨時でうちの社員と一緒に戦って欲しい」






「え、神菜子さん私より年下だったんですか?」

「はい。私は十八ですけど」

「テレサは二十です」

「そんなに変わらないじゃないですか」

「ですね」

 そんな会話をしながら、二人は商店街を歩いていた。

「お嬢様は生レバーを軽く炙ったものが大好物です。たしかこの間ココらへんで売ってた気が・・・!」

「? どうしました?」

 テレサの問いかけを無視して、神菜子は一目散に建物の隙間の道へと走っていった。それを見て、テレサも神菜子を追いかけた。

「! これは・・・」

「しっかり! 大丈夫?」

 路地裏には、明らかに外国のものと思われる服を着た少女が倒れていた。少しやつれていて、顔色が悪かった。

「テレサさん! 医者か、古城まで運びましょう!」

「はい! でも、その前に・・・」

「?」

 テレサはおもむろに右腕の袖をまくった。

「【エレメント・ホーリーウッド】」

「え・・・!?」

 テレサの右腕から、小さな薬草が生え出した。

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