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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
東方編
30/67

三人

「類、それは何?」

 ニヤニヤと笑いながら、アニマは帰ってきたばかりの類から招待状をひったくった。

「あら、なんで貴方がこれを持ってるのかしら? 私も持ってないのに」

「諏訪子さんから頂きました」

「ふーん・・・」

「僕は使いませんので、お嬢様に差し上げましょうか」

「というか、これ一枚で三人なのね」

「? ええ」

「・・・三人ねぇ」

「行く気・・・なんですね?」

「当たり前でしょう」

 アニマは少し考えると、閃いたように類を指さした。

「私と、類と、神菜子。三人丁度よ」

「僕も・・・ですか?」

「もちろん! 明日の朝、港に行くわよ。会場はここから近い小島のようだし」

「小島・・・ですか」

 吸血鬼であるアニマの弱点は、日光やにんにく、十字架などの他にも流水などがある。流動する水の塊である海は、魔除けにも使われる塩の力もあってか吸血鬼に甚大なるダメージを与える。類には、それだけが怖かった。

「平気よ。招待状に書いてある港には、大きな客船しかないわ」

「なら・・・屋内にいれば大丈夫そうですね」

「ということだから。神菜子には伝えておいてね」

「了解しました」

 アニマは上機嫌で寝室へと向かった。アニマの睡眠時間帯は午前十一時から午後七時だが、気まぐれで起きてくる時がある。そういう時は決まって、飽きるとベッドに戻っていく。今回も例外ではなく、現在二時三十分、アニマは眠りに就こうとしている。

「さて、零草にも知らせに行くか」

 類は神菜子を探しに館内を捜索し始めた。






「『長い船旅だな』」

「『そう言ってやるな。船での移動は全員同意だろ?』」

「『それはそうだが、こうも長い間何もない船の上っていうのもな・・・』」

「『嵐や雨は私がどうにかしているが、退屈はどうにもならない』」

 男二人が、船の船頭で話していた。

「『本当に国を攻め落とす気なのかね? お国の偉い奴は』」

「『さあ? ところで、そろそろ酔ってきたので船内に戻りません』?」

「『そうするか』」

 二人の男は船の中へと入っていった。

「『今月中に到着しなかったらどうするつもりなんだろうな。卯鷺はどうする気なのか』」

「『着きますよ。私がいればね』」






 ハロベルト高等学校第二学年のリナリアは、放課後から吸血館でメイドとして働いている。ほかの使用人とは違う特別なシフトだ。

「只今帰りました」

「おかえりリナリア」

 ほかの使用人に挨拶をして、リナリアは使用人室へ向かった。執事とメイド長以外の使用人は性別ごとに合室である。

「みんな出てるのか・・・」

 リナリアが着替え終わり部屋の外に出ると、神菜子が部屋から出てきたのが見えた。

「神菜子さん」

「あ、リナリア。おかえり」

「何か仕事ありますか?」

「んー・・・明日から暫く、私と類とお嬢様は出かけるらしいからね。今日は仕事ないけど明日からは掃除お願いね」

「分かりました」

「あ、そうそう、こないだ貸した本読んだ?」

「読みましたよ」

「お嬢様も寝ちゃったし仕事もないし、ちょっと話さない?」

「良いですよ」

 二人は、ティールームへ雑談をしに行った。アニマのディナーの準備までこれといった仕事はない。実質、リナリアは夜中しか働かないようなものだ。

「そうだ、明日からリナリアに頼みたいことがあるんだけど」

「?」

 そして、翌日。

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