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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
悪魔編
3/67

緑眼の女

 校舎へ入った三人は、様々な出し物を回っていた。

「占いは楽しかったわね。東方の国の占いはなにがなんだか分からなかったけど」

「そうですね」

 廊下を歩く三人の目の前に、女生徒が現れた。前髪で顔の上半分が隠れた女生徒と、ハキハキとした女生徒の二人組だった。

「すみません、ちょっといいですか?」

「なに?」

「私達、お客さんの中からアンケート採っているんです。ご協力お願いします」

「いいわよ」

「ありがとうございます!」

 アンケートに神菜子とアニマが答えている間、類はハキハキとした女生徒しか話していないことに気が付いた。前髪の長い女生徒は、もう一人の女生徒の後ろに隠れていた。

 女生徒も類の視線に気がついたのか、顔を真っ赤にして隠れた。

「ありがとうございました! では、引き続きお楽しみ下さい!」

「どうも」

 女生徒は、また次の客のもとへと向かっていった。

「・・・」

「どうかしたの? 類」

「いえ・・・」

「次の所へ行きましょう!」

 アニマが歩き出そとしたその時、校庭から悲鳴が聞こえた。

「何!?」

 生徒たちがざわつく。

「類、確認してきて!」

「はい」

 類が校庭に駆けつけると、野次馬の隙間から倒れている女生徒が見えた。

「死んでるの?」

「分からない。突然倒れて・・・」

「やだ、怖い・・・」

 騒然とする校庭に、教師がやって来た。

「何があったんだ? 説明しなさい」

「突然、彼女が倒れて・・・」

「突然?」

 野次馬の間を通りぬけ、類は倒れた女生徒に近づいていった。

「あ、貴方は誰ですか!? なにを・・・」

「静かに」

 類は女生徒の首に手を当て、脈を測った。

「脈はありますね。呼吸もしている・・・」

 生死を確認している類に、ルナドが近づいていった。

「何をしている? 小僧」

「生死の判断です。生きてはいます」

「ほう、こんな場面で冷静に生死の確認を買って出るような奴、そうそういないぜ。お前、名前は?」

「八草類です。貴方は?」

「俺か? 俺はルナドってんだ。この学校で歴史を担当している。つっても臨時だけどな」

「彼女を医務室に運ぶのを手伝って下さい。死んでは居ませんが、気絶をしているので」

「なら、俺一人で十分だ」

 ルナドは女生徒を担ぎ上げ、類に一言告げた。

「お前、面白いな。覚えておく」

「?」

 ルナドは医務室へと向かっていった。

 それと同時に、神菜子が駆け寄ってきた。

「お嬢様は?」

「校舎の中よ。日傘持ったまま出てったでしょ?」

「あ・・・」

 類から傘を受け取った神菜子は、アニマと共に戻ってきた。

「どう? 何があったか説明できるかしら?」

「はい。女生徒が一人、突然倒れたとのことです。今は、医務室にいます」

「そう」

 その時、アニマがはっとしたように横を向いた。アニマの視線の先には、緑眼の女と金髪の男が佇んでいた。

「お嬢様?」

「・・・あいつ」

「え?」

「類、来なさい」

 アニマは神菜子から傘をひったくると、校舎の裏の影に走っていった。それを追って、類も走りだした。

「あ、私も・・・」

 走りだそうとした神菜子は、横から走ってきた女生徒とぶつかってしまった。

「いたた・・・」

「だ、大丈夫ですか!?」

「へ、平気・・・貴女こそ、大丈夫?」

「わ、私は大丈夫です!」

「あれ? 貴女は・・・」

 神菜子とぶつかったのは、アンケートを採りに来た前髪の長い女生徒だった。

「す、すいません!」

「いや、いいわよ。それより、なんでそんなに急いでいたの?」

「じ、実は・・・」

「何?」

「私、見てしまったんです。あの人が話した直後に、彼女が倒れたのを・・・」

「あの人・・・?」

 女生徒の指差す先には、緑髪の女が立っていた。

「・・・」

 緑眼の女は、蛇のような笑みを浮かべていた。

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