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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
悪魔編
28/67

リナリアの就職

「おはよう。よく眠れた?」

「ここは・・・?」

 ベッドから降りたリナリアは、自分が学校にいることに気が付いた。

「夢・・・?」

「それにしても、制服で倒れてたってことは学校には行こうとしてたってこと? もう一時だけど、午後からでも授業受ける?」

「え、あ、はい」

「ルナド・・・先生が鞄とかは教室に置いてる。どっちにしても教室には行け」

「失礼します」

 リナリアが医務室をあとにして教室に向かう途中、ルナドが待ち伏せていた。

「お目覚めか」

「はい」

「覚えてるよな。何があったか」

「夢じゃ・・・ないんですよね」

「ああ」

「全く、もう少しで奪えたんだがな・・・お宝」

「先生も、人間じゃないんですよね」

「誰にも言うなよ?」

「言いませんよ。アニマさん達とも約束しましたし」

「じゃあいい。昼休みの内に教室戻っておけ」

「はい」

「じゃあな」

 ルナドが職員室に戻っていく。リナリアはある決意をしてから教室へと向かった。






「来たわね。類、神奈子」

「何の御用でしょう」

「良い事を思いついたのよ・・・」

 アニマの言う『良い事』とは、大抵の場合は類たちにはあまり良い事ではない事が多い。今までには『敷地内に畑を作る』とか『大掃除の日を作る』などがあった。

「何でしょうか?」

「二人が知ってるか分からないけど、この国は悪魔に狙われてるのよ!」

「ええ、知ってます」

「なら話が早いわ!」

「?」

「今まで私と類は吸血鬼としての力を何に使ってきた? 結局は無駄にしてきてない?」

「まあ、掃除とかには役立ってますが」

「今回の事件で神菜子も能力を手に入れた。これを利用しない手はないわ!」

「お嬢様? 私も、って一体何をする気なんですか?」

「吸血鬼の強い力! 悪魔の薬の産物! 二つを利用して、人助けよ!」

「・・・はい?」

「この人間以上の力を使って、人間が対処できない相手と戦うのよ!」

 一瞬類と神奈子の思考が止まった。アニマの発言の意図が分からなかったのだ。

「どういうことですか? 吸血鬼って人間の血が主食ですよね? その人間を助けるって・・・」

「ある意味それが答えね。自分が食べたいからほかには、あげない」

「はあ・・・」

「それに、今回の悪魔みたいなのが他にいるかも分からないわ。この国が乗っ取られたら私だって困るわよ。と、いうことで強い力を持ってる貴方達も協力してね」

 アニマの目は輝いていた。それを見て、類たちはとやかくいうのを諦めた。

「分かりました。すべてお嬢様にお任せしましょう」

「お嬢様の命令なら、逆らえませんし」

「決まりね! もちろん、悪魔とかに限った話じゃなくて人間相手でも悪いやつは成敗してくれてもいいのよ」

「はい」

「ずっと起きてたから眠いけど、寝る前におやつが食べたいわ。少し早いけど」

「現在一時三十五分です。普段ならお嬢様は熟睡してますね」

「ティールームまでお願いね」

 類と神奈子は、厨房へと向かった。おやつの用意を待つために、アニマはティールームに向かう。アニマは満面の笑みを浮かべていた。






「はぁ・・・はぁ・・・」

 放課後、こうしてリナリアは吸血館へと向かっていた。リナリアの胸にはある一つの決意があった。

「あれ? リナリア?」

 偶然散歩に出る途中だった神菜子に出くわし、リナリアは言った。

「わ、私・・・この館でメイドします! 働かせて下さい!」

「え!?」

「吸血鬼の館・・・これ以上ないところです」

 一瞬驚いたが、すぐに神菜子は微笑んだ。

「いいわ、お嬢様に話しておくわ。話がまとまったら連絡するから気長に待ってて」

「はい」

 去っていくリナリアを見ながら、神菜子は思った。

(何を思ったかしらないけど、凄いわね。さっきお嬢様もリナリアを雇いたいって呟いたばかりなのに)

 神菜子はそっと微笑んだ。






 後日、リナリアは正式に吸血館のメイドになった。

「よろしくお願いします!」

 照れ屋で人見知りなリナリアがほかの使用人と馴染むのは、類や神菜子のサポートがあってさほど時間はかからなかった。

「よろしく、リナリア」

「はい! 類さん」

「じゃあ、仕事の内容は私が教えるわね」

 神菜子がリナリアを連れて行くのを見届けると、類は思った。

(僕は、クロロさんのように良き執事になれるのでしょうか)

 クロロは四年前、懐中時計を類に渡した翌日に失踪。それに何の理由があるのかは知る由もないが、クロロがとても優秀な執事だったことは幼い類が見ても明らかだった。

「零草にも負けていられませんね」

 類は懐中時計を取り出し時刻を確認した。

「そろそろお嬢様のディナーの時間ですね。用意しなければ」

 類はほかの使用人を連れて厨房へと向かった。難しいことは考えず、今自分がやるべきことを達成するために。

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