傲慢の堕天使ルシファー
「まずは、君たちの住むギルバート王国の初代国王の話をしないといけない。君は初代国王の名を知っているかい」
「え? 私ですか?」
アスモはリナリアを指さして問いかけた。
「初代国王は、【レフィカル・プライド】ですよね?」
「そう、プライドだ。優秀な学校に通う生徒だ、なにか気が付かないかな?」
「・・・? レフィカルって名前が珍しいってくらいしか」
「そう! レフィカルなんて名前周りの国では殆ど使われない。というかギルバート王国ですら殆ど使われることはない。それは何故か、それは初代国王の正体にも通ずる」
「初代国王の正体?」
「ということは、まさか国王が人間じゃないとでも言うの?」
「まさにそうだ。レフィカルの綴りはREFICUL、通常これはレフィカルとは読めない。それもそのはずで、この名前はREFICULというある意味を持った文章を名前に仕立て上げただけなんだから」
「ある意味?」
「・・・そういうことね」
「勘の良いお嬢様は分かったみたいだね。REFICULを逆にすると、LUCIFER・・・ルシファーとなる。そして、プライドとは七つの大罪の一つ【傲慢】だ」
「傲慢の堕天使ルシファー、それが初代国王とどんな関係が?」
「お嬢様はさすが長命の吸血鬼、堕天使ルシファーの伝説も知ってそうだ」
「それはそうよ。勉学も仕事の内よ」
「堕天使ルシファーの伝説ってなんですか?」
「神に反逆し地獄に落とされた天使の話よ。たしかその話だとルシファーは最終的に地獄の王に返り咲いてたはずだけど?」
「最終的にはね。しかしその過程で、ルシファーは伝説で語られない数々の偉業を成し遂げている。ほかでもない、憎むべき相手人間のためにね」
「?」
「ルシファーは地獄に落とされたあと、自力で人界へ昇ることに成功した」
マモーネは類たちに事細かく説明をしていた。背後でルナドとベルゼが未だに争っているのを無視しながら。
「そして、荒れ果てた人間界を見て絶望した。自分が神に反逆したのは神が人間を贔屓したように見えたからだというのに、その人間は満足な生活も出来ていないような種族だった」
マモーネの話に、類と神菜子は真剣に耳を傾けた。
「ルシファーはまず最初に、人間の世界に国と法律を作った。そして人間を統率し王となった」
「まさか・・・それが」
「ギルバート王国の始まりだ。当初はルシファーが自分を戒めるために、ギルティキングダムと名付けたが、その後人間を王にして人間の国にすることをルシファーが提案すると、人間が名前を変えることを提案してギルバートという名前になった」
「ですが、それがあなた方の目的と何の関係が?」
「そもそも大罪魔の始まりは、いや悪魔の始まりはルシファーだった。ルシファーは国を人間に任せたあと、自身の持っていた【万物を支配する能力】で自分の感情を切り離した。【憤怒のラアス】【暴食のグラトニー】【強欲のグリード】【怠惰のスロウス】【色欲のラスト】【虚飾のヴァニティ】【憂鬱のメランコリー】、そして残ったルシファー本人が【傲慢のプライド】となり、後に原罪魔と呼ばれる悪魔の集団が誕生した」
「原罪魔? 大罪魔じゃないの?」
「大罪魔はある事件をきっかけに誕生する」
「原罪魔は次に、地界の名も無き土地へ行きそこを魔界と名付けラアスに王を任せた。ラアスはサタンを名乗り王として君臨した。そして魔界は悪魔の拠点となり、今では全世界の悪魔のほとんどが魔界に居るほどだ。まあ、さっきも話した通り四年前に事件が起きてサタンは囚われたんだけども」
アスモの話は止まらない。それを聞き入るようにアニマとリナリアは動かなかった。
「その後も地界の名も無き土地にそれぞれの悪魔を置き、それぞれが自分に名前をつけ悪魔として生きはじめた頃、ヴァニティとメランコリーを連れて人間の様子を見に行ったルシファーは人間に棲み付く悪を見た」
「悪・・・?」
「人間は神を崇拝し、自分たちの住む国を作った悪魔を【絶対悪】として忌み嫌っていた。そして、ルシファー達の下へ人間の悪魔祓いがやって来たのさ」
微笑むアスモを見ながら、アニマとリナリアは話に夢中になっていた。類と神菜子が同じ話を聞いてるとも知らずに。




