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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
悪魔編
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ギルティキングダム

「イマイチ小刀じゃ盛り上がらんな」

 類と神菜子の服が所々小刀で引き裂かれていた。未だに体には傷ひとつ無いが、いつもぎりぎりの所で小刀が掠っているような状態だった。

「そろそろ片方死んでもらうか」

 ルシファニーが右手を上にかざすと、類が小刀を構えて神菜子の懐に飛び込んだ。

「やめろっ・・・!」

「い、嫌ぁ・・・」

「まず一人、死ね」

「いやぁあああああああ!!」

 小刀が刺さる直前、神菜子の周囲に細氷が浮かび小刀が凍りついた。

「な・・・!?」

「零草、これが・・・能力?」

「! 体を動かさなければ使えるのね」

「ちっ、気付かれたか」

「な、なら!」

 類は時を止め、体が動くか確認した。結果、体は少しも動かず、ルシファニーに反撃することも出来なかった。

「くっ・・・」

「まあ、氷が使えた所で逆に男のほうから殺してしまえばいいか」

「させないわ!」

 神菜子の足元から氷が広がり、ルシファニーの足を凍らせた。

「能力の使い方がよく分からないけど、少しずつ凍らせることくらいは出来るわ」

「ほう、下等生物のくせに賢いじゃないか。だが、王たる俺には涼しい程度だな」

 ルシファニーの足の氷が砕け、砕けた氷の弾丸が神菜子に返っていった。

「うっ・・・あぁあああ!!」

「零草!」

「お前もだ!」

 氷の弾丸が類にも浴びせられた。体中に細かい氷の破片が突き刺さる。

「くっ・・・!」

「それにしてもレヴィの連絡はあてにならないな。単にレヴィが弱いだけか。こんな男に負けるとはな」

 ルシファニーの手にはレヴィの手紙があった。

「瞬間移動が出来るとか書いてあるが、だったらこんなボロボロにならねえよな?」

 そう言いながらルシファニーは類に掌を向けた。類のナイフがルシファニーの下へ集まっていった。

「【リッパー・リーパー】! 自分のナイフで地獄へ堕ちろ」

 銀の投げナイフが類目掛けて飛んでいった。

「類!」

「そんな・・・」

 銀ナイフが横から飛んできた炎の弾に弾き飛ばされた。それと同時に、類の体の自由が戻った。

「なんだ・・・!? 【糸】が・・・」

「! 動く・・・? 動けるなら・・・【スウィートタイム】! 甘い時間を永遠に!」

 周囲の時が止まり、類は動き始めた。炎の弾を放ったのはルナドで、ベルゼとの戦闘で偶然飛んできたものだった。よくみるとベルゼの右腕が焼け焦げているのが分かったが、類はナイフを素早く拾い上げてルシファニーに攻撃することを考えていた。

「行け!」

 時間が動き出すと同時に、ルシファニーの腕にナイフが突き刺さった。ルシファニーが腕を抑えると、神菜子の体が自由になった。

「う、動く!」

「くそっ・・・下等生物如きが!」

 ルシファニーが叫ぶと同時に、黒い霧が発生しマモーネが現れた。

「そこまでだ! ルシファニー!」

「なんだ、邪魔する気か?」

「お前は目的を見失い過ぎだ! こんな所で魔力を使いすぎるな!」

「全く、王に意見できるのはお前くらいだな」

 ルシファニーは力を抜いて話しだした。

「めんどくせえ、やめだ」

「は?」

「お前ら帰るなら帰れ。帰らないならこの空間ぶっ壊して無理やり追い出すからな」

「ちょっと待ってください! 勝手に暇つぶしだとかで利用された挙句追い出されるなんて納得ができません!」

「あ? 下々の者が王の遊び道具になるのは当然だろう」

「な・・・」

「マモーネ、三十分後にこの空間は削除。それまでにこいつら納得させて追い出せ」

「了解」

 ルシファニーは黒い霧の中へ消えていった。

「さて、ルシファニーが、いや俺たちが迷惑をかけたことを詫びる。すまなかった」

 類達が予想もしていなかった行為をマモーネは行った。謝罪だ。

「これからお前たちにはすべて話す。そして理解して欲しい。俺たちの目的を」

 マモーネは真剣な眼差しで話し始めた。【ギルティキングダム計画】について。

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