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吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
悪魔編
16/67

ポイズンorメディスン

 階段を登った類は、周囲に階段が見当たらないことに気が付いた。L字型の廊下は奥まで見渡すことができす、仕方なく類は曲がり角まで進んでいった。しかし廊下の奥にも階段はなかった。

「・・・まさか、扉の奥に?」

 廊下の両側の壁にはいくつもの扉がある。この奇妙な館なら、扉の向こう側に階段があっても違和感こそあれおかしくはない。

「一つ一つ開けていきますかね」

 類は一番近くの扉を開けた。そして、類は後ろに飛び退った。






「あ、螺旋階段」

 階段を登った神菜子の近くに、上へと登る螺旋階段があった。

「・・・最上階に行くならこれでいいよね」

 神菜子は螺旋階段を登っていった。階段を登り終えると、目の前にはひとつの扉があるだけだった。

「? この部屋のためだけに階段が?」

 神菜子が後ろを振り向くと、螺旋階段が徐々に消えていった。

「え、ちょ、待ってよ! お、降りれないじゃん!」

「まあまあ、そう焦らないで」

「!? 誰!?」

 気がつくと扉は開いて、中から優男が出てきていた。

「僕は色欲の大罪魔【アスモ・ラスティー】。ある意味此処はハズレって感じかな。僕とのゲームに勝てば、僕の部屋から奥へ進める」

「・・・悪魔ね。良いわ。ゲームって何?」

「そうだな・・・ゲームというのはお互いが同等のリスクを負わないと面白くない。ということで、こんな物を用意しておいた」

 アスモは神菜子を部屋に招き入れた。医務室のようなその部屋、寧ろ医務室そのものだが、その部屋の真中に小瓶が十五個並んだテーブルが置いてあった。小瓶の中には透明な液体が満たされてあった。

「この液体は、七個が人間に有毒なもの。七個が悪魔に有毒なものだ」

「・・・もう一つは?」

「解毒剤さ。このゲームは交互に小瓶の中から一つ選んで飲む。そして、死んだ方の負けだ」

「ッ・・・」

「ただし、死んだほうが負けということはつまりだ、死なずにゲームが続行できれば毒を飲んでも勝ちだ。そのために、いわゆるジョーカーとして解毒剤が入ってる」

「毒を飲んでも、解毒剤を当てさえすれば続行できるってわけね」

「七つの毒の内三つは痺れ薬程度のものだ。つまりお互いの死ぬ確率は十五分の四、いや痺れ薬程度のものでも連続して飲めば危ういかな」

「・・・いいわ、受けてたとうじゃないの」

「良い覚悟だ。じゃあ、先攻後攻はコイントスで決めるとしようか」

「私は表」

「じゃあ、僕が裏だ」

 アスモが投げたコインは、テーブルの上で回った後裏を上にして倒れた。

「じゃあ、僕が先攻をもらおう」

「ちょっと待って! 最初から並んであった小瓶の位置は信用出来ないわ! 私が並べ替える!」

「いいよ。じゃあ、僕は後ろでも向いてるよ」

 神菜子は念入りに小瓶を並べ変えた。

「いいわよ」

「ん、じゃあこれだね」

 アスモは躊躇なく一つの小瓶を手にとって、飲み干した。

「ふぅ。さあ、次は君の番だよ」

「・・・」

 神菜子は震える手で小瓶を手に取った。

「どうしたんだい?」

「ッ・・・!」

 神菜子は液体を飲み干した。

「おお」

「うっ・・・苦・・・」

「じゃあ次は僕の番だ」

 アスモは次の小瓶へ手を伸ばした。






「・・・?」

 レヴィは目を覚ました。それは、何者かの気配を感じたからであった。

「? だれも居ない?」

「おっと、少し道を聞きたいんだが」

「!?」

 レヴィの背後にはルナドが立っていた。

「だ、誰ですか貴方! この空間には、マモーネの能力か装置がないと入れないはず!」

「おいおい、道を尋ねただけでひでぇな」

「何のようですか・・・? まさか本当に道を聞くためじゃないでしょう!」

「まあな、ちと宝探しだ」

「どうやってここまで来たんですか!?」

「道を尋ねてるのは俺だぜ? まあいい、教えてやるよ」

 ルナドは試験管の中の液体を飲んだ。

「・・・ドラゴンの雄叫びを、聞いたことはあるか?」

「! あぁ・・・あ・・・」

「・・・【ドラクルエンブレム】」

 門の前に爆音が響き渡った。

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