表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血執事と懐中時計  作者: 王星遥
悪魔編
14/67

時止

 館の中は見た目ほど広くは感じず、奥まで見渡せる。エントランスはシャンデリアが天井を覆っていた。

「この館の何処かに、あと六人も悪魔がいるのか・・・」

「そうね」

 類はここで、あることを思いついた。が、すぐに否定した。それは、人探しやモノ探しには最適な手段ではあるが、この状況では一番危険な行動・・・手分けである。

この状況で手分けをすれば、類はともかくとして、戦闘系のルールなら神菜子は確実にやられる。

「零草、なるべく早く最上階へ向かおう」

「うん」

 二人が踏み出した、その瞬間だった。

「おいおい、それじゃゲームにならねえじゃねえか」

「!?」

 上から声が聞こえた。類が上を見上げると、シャンデリアの上に人が立っているのが見えた。

「早速だが、俺とゲームをしようか」

「ということは、貴方も悪魔ですか」

「そういうことだ!」

 男が飛び降り、綺麗に着地した。男の顔には、左眉から左頬にかけて傷跡があった。

「俺の名前は【マモーネ・グリードリ】。強欲の大罪魔だ」

「嫉妬に暴食、それに強欲ですか・・・」

「それって・・・」

「お、気づいたか?」

「・・・七つの大罪?」

「御名答」

 七つの大罪、それは人間の忌むべき七つの感情のことである。類と神菜子はそのことを知っていた。

「俺達大罪魔は、七つの大罪を司る悪魔だ」

「そうですか」

「さて、そんなことはどうでもいい。ゲームを始めようじゃねえか」

「ルールは?」

「それは今から説明する。俺は訳あって戦闘できないんだ。だから、簡単な賭けをしようか」

「賭け?」

 マモーネは何処からか二本のレイピアを取り出した。

「俺はさっき、自分のことを強欲の大罪魔だと言った。そして、ベルゼからの情報だとお前も吸血鬼だそうじゃないか」

「はい、そうです」

「なら、このゲームが成立する。このレイピアの内一本は銀だ。吸血鬼も悪魔も銀に触れれば少なくとも火傷するだろ? だから、銀のレイピアを引いたほうが負けだ。お前たちが負ければ、俺の能力でお前たちをこの空間から追い出す。もしお前たちが勝てば、一つだけ質問に答えよう」

 魔族には共通の弱点がいくつかある。銀はその内の一つで、触れると火傷、最悪壊死する。

「さあ、選べ。選んだら、そのレイピアを自分の腕に当てろ」

「分かった」

「ちょ、ちょっと類? 間違ったら・・・」

 類は微笑みながら神菜子を見たあと、マモーネに向き直った。

「どっちでも、選ぶだけ無駄です。そちらをもらいましょう」

「・・・いいだろう」

 類はレイピアを受け取り、腕に近づけた。マモーネも同じように構える。

「いきましょうか」

「ああ」

 二人が同時にレイピアを腕につけた。が、お互いに何の異変も起きなかった。

「・・・なぜだ? なぜお前は無事なん・・・」

「おっと、口を滑らしましたね。詐欺師さん」

「・・・!」

「どういうこと・・・?」

「どんな能力かはさておき、インチキをしてくることは眼に見えていました。なので、先にこちらから仕掛けさせてもらいました」

「え? でも、そんな仕草・・・」

「ええ、一瞬だけ」

「?」

 類はレイピアを投げ捨てると、懐から懐中時計を取り出した。

「口を滑らしてくれたおかげで、インチキがバレましたね?」

「くっ・・・」

「さあ、僕の質問に答えてもらいましょう。しかし、先に僕もネタバラシしておきましょう。零草にも言ってない秘密をね」

「なんだと?」

「え?」

「僕の、お嬢様とクロロから授かった能力・・・【時止】のことを」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ