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第四羽 ぽてえなと里香
冬のある日、大学生の里香は山へ登り、いつものようにソロキャンプを用意した。
焚火を起こし、こたつもセットして、まずはホットミルクを一口――
その時、雪の森の向こうで、思わぬ動きがあった。
「きゃっ!」
突然、熊が現れ、里香は慌てて逃げた。
その熊も、何かに驚いて慌てて森の奥へ走り去った。
雪は静かに降り、森はまた白く深い静寂に包まれた。
数日後、里香は同じ場所に戻った。
遠くから、こたつに丸く収まる小さなシマエナガの姿を見つける。
羽をちょこっと震わせ、ぷいっと体を反らすその小さな生き物。
ぐっすり眠っている。
不思議な気配を感じながらも、里香はそっと離れた。
シマエナガにはまだ人間は怖いものにしか見えていないだろう――
それを壊してはいけない、そう直感した。
翌日、こたつの電池が切れそうなことを予感し、そっと様子を見に行った。
シマエナガがいないことを確認し、用意を整える。
こたつの温かさも、ホットミルクも、そっと補充しておく。
お互いに見ていたけれど、お互いに知らない。
それでも、心のどこかで互いの存在を感じ合う、静かで不思議な関係が生まれていた。




