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第十六羽 揺れる前

森の奥。

あの、風の当たらない枝。


ぽてえなは、今日もそこにいた。


羽を丸めて、いつもの距離。

近すぎず、離れすぎず。


さなぎは、今日も動かない。


……はずだった。


ぽてえなは、首をかしげる。


「……?」


何かが違う。


見た目は、昨日と同じ。

色も、形も、変わらない。


でも——


空気が、少しだけ違う。


森の音が、遠く感じる。


風が吹いても、この枝は揺れない。

なのに。


さなぎのまわりだけ、

ほんのわずかに、空気が動いた気がした。


「……いま」


ぽてえなは、息をひそめる。



さなぎが——


揺れた。



大きくじゃない。

誰かが見たら、気づかないくらい。


気配だけ。


ぽてえなは、思わず羽をふくらませる。


「……っ」


声は、出なかった。


時間が止まったみたいだった。



次の揺れを、待ってしまう。

でも、何も起きない。


さなぎは、また静かになる。


ぽてえなは、少し後ずさる。


近づきたい。

でも、近づきたくない。


「……こわ」


ぷいっと、そっぽを向く。

でも、枝からは降りない。


胸が、そわそわする。


あのぬっくとは違う。

あたたかくも、冷たくもない。


知らない感じ。



ぽてえなは、思い出す。



動かない時間が、

止まっているわけじゃないこと。


見えないところで、

変わっている途中だということ。


「……だいじょうぶ」


誰に向けた言葉かわからない。

自分かもしれない。


ぽてえなは、羽をたたむ。




今日は、見守る日。



さなぎは、もう揺れない。


でも。


始まってしまったことだけは、

ぽてえなにも、わかった。


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