第十二羽 はじめてのともだち
青虫は、まだ少し震えながらも、ぽてえなのふわふわの羽に見惚れていた。
ぽてえなはというと、近づいてくる青虫を見て、
「なんで来るの…?餌じゃないのに…」
と、ちょっと戸惑い気味。
青虫は勇気を出して、ちょん、とぽてえなの足元に触れた。
ぽてえなはびくっとして、思わず一歩後ろへ跳んでしまう。
「ひゃっ……!」
「ご、ごめん!怖かった?」
青虫は慌てて頭を下げた。
ぽてえなは羽をぱたぱたさせて照れ隠し。
ぷいっと横を向くけれど、さっきより逃げない。
むしろ少しだけ近づいて、青虫を観察している。
「なんかへんなの…
でも、悪い感じじゃない…」
ぽてえなは心の中でそっとつぶやく。
青虫も嬉しそうに体を伸ばし、ぽてえなの周りをくるりと回る。
しかしその瞬間、大きな風がふわっと吹いた。
「うわっ!」
青虫の小さな体が、ふわりと空中へ浮かんだ。
落ち葉のようにくるくる回りながら飛ばされていく。
ぽてえなは驚いて、思わず羽ばたいた。
「ちょ、ちょっと!どこ行くの!」
青虫は叫んだ。
「ぼ、ぼくが聞きたいよぉぉぉ!!」
ぽてえなは必死に追いかけた。
ホットミルクに夢中だったときには思いもしなかった、
誰かのために飛ぶという行動だった。
春の森を抜けて、小さな丘を越えて、風が弱まったところでようやく青虫は落ちてきた。
ぽてえなは間一髪、ふわりと青虫を受け止めるようにそばへ着地。
青虫はふるふる震えながら言った。
「た、助かった……ありがとう……!」
ぽてえなは照れくさそうに、でも優しく言った。
「べ、べつに……
放っておくと、また飛ばされて行きそうだっただけ……!」
そう言いながら、ほんとは胸がぽかぽかしていた。
こたつのぬくもりとも、ホットミルクとも違うあたたかさ。
“誰かと一緒にいたい”という、初めての温かさだった。
青虫はぽてえなの胸の前で、小さく笑った。
「ぼく、友達になりたいな。名前は?」
ぽてえなは一瞬言葉に詰まり…
でも、羽をふわっとふくらませて小さくうなずいた。
「……ぽてえな、いいよ。」
春の風がそっと吹いて、二匹の間を通り抜けた。
それはまるで、出会いを祝福するような優しい風だった。




