エピ7 CDの標準的なエラーレートは、10^(-4) らしいです。
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CDの標準的なエラーレート(Symbol error rate, SER)は、10^(-4) らしいです。
文献を探していたら「10^4〜10^5 シンボルに1シンボル程度の発生頻度」との言及を見つけた(佐古, "CDの誤り訂正", 計測と制御, Vol28, No9, 1989-9)。シンボルとは、CDの場合は1バイトのデータのことです。
このエラーは音楽データと訂正符号の計 32 バイト中の誤ったバイト数です。同期信号とサブコードやマージンビットは対象外。つまりCIRCで誤り訂正の処理を行う際に見つかるエラーを対象としているのですね。
CDで発生し得るエラーとしては同期信号が見つからない等もあるはずですが。前後のフレームが特定できていれば、その間にフレームがあるはずと推定したりするのかな。
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CIRCとか、同期信号・サブコード・マージンビット・フレームなどは、第三部で解説しています。気になったら先に読んでみて!
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10^4 バイトで1エラーなら1秒間のエラーは 1/(10^4) * (32*98*75) = 23.52 個ですね。
CD1枚で 74 分 42 秒の音楽だとエラー数は、えーと、(74*60+42) * 23.52 = 105416.64 = 10 万個!
こんなにエラーが出ているのか!、とちょっとびっくりだけど。CIRCが頑張って訂正しているのですね。
CIRCでエラー訂正できない確率は、エラーレートが 10^(-4) なら 10^(-25) となるってグラフがあった。CD1枚で 10^9 バイトだから、ほぼ発生しない感じ?
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CDとCD-Rでは比較しても意味は無いかもですが。ご参考までに。
JISに「電子化文書の長期保存方法」(JIS Z 6017:2013)と「長期データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システムの運用方法」(JIS X 6257:2017)という規格があります。JIS X 6257 は、ほぼそのまま ISO/IEC 18630 になったそうです(2023年)。
この規格でCD-RのC1エラー(1秒当たりのエラー数)について、初期記録時には 80 未満を、定期品質検査時には 110 未満を、「良好な状態」としています。
C1エラーは、1フレーム中の音楽データと訂正符号の計 32 バイトが対象で、この中に1バイトでも誤りがあれば1エラーとカウントします。1バイトの誤りでも1エラーですし、1フレーム消失でも1エラー。うーむ。
1秒で 75*98 = 7350 フレームありますから、80 エラーならフレームエラーレートは 80/7350 = 0.01088 = 1% 程。
これからはデジタルな時代で、紙の書類なんかはデジタル化をどんどん進めていくので保存方法にも規格が必要になったのですね。
記録品質測定ドライブ(計測アプリ付き)や認証メディアなども販売中で、30 年とか 100 年の推定寿命!(...、ちょっとデジタル押しすぎか)
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CDのエラーは、C1/C2/CUエラーという3段階で評価されるようです(もっと細かい分類もあるようですが)。このC1とC2はCIRCの誤り訂正符号のこと。
品質を測定できるドライブもパイオニア社から販売されている(昔はプレクスター社が販売していたドライブで測定できて、ツールも配布していたけど。生産終了)。
C1/C2/CUエラーについて調べて行くと、幾多のブログが見つかって、
・C1エラーは、普通に発生する。
・C2エラーは、C1でエラー訂正できない場合に発生する。少ない。
・CUエラーは、C2でも訂正できない場合。ほぼない。
といった感じでした。CDの品質を見ている方っているんですね。
C2/CUエラーが発生するのは、円盤の裏面側(ポリカーボネートが見えている側)に大き目のキズ等がついた場合などで、丁寧に研磨して修復できたというブログを見つけた。興味深い。CDの修復を行なう専用(有料)サービスもあるよ。
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1984年頃のLSIのピンレイアウトを見ていたら C2FL と C2PO というピンがあって、CUエラーはモニタできそう。CD-ROMドライブで使う場合に必要だからかな。見たいのはC1エラーなのだけど。
1994年頃のLSIでは MNT0、MNT1、MNT3 というピンがあって、C1/C2/CUエラーをモニタできるようだ。これはDACへのパラレル出力が消えてピンが空いたからかも。
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2025.4.4 微推敲。
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