エピ11 ジッタについてもっと考えるべきか(後半)
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ジッタについてもっと考えるべきか(後半)
SRAM上でのオーバーフローあるいはアンダーフローの可能性について整理してみます。
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チャネルビットの位置ジッタなどによりチャネルビットレートが変調されると、SRAMへの書込み時間(速度)が変動して、SRAM上のデータが増えたり減ったりします。ここでチャネルビットレートは円盤から読み取ったピットとランドの1Tの速度(bit/s)です。
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CD → EFM復調 → ┃SRAM┃ → DAC → スピーカ
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チャネルビットレートの基準クロックは 4.3218 Mbit/s で、1フレーム 588T の時間は 588/4321800 = 136.054μs です。この時間でピットとランドから読み取った1フレームに含まれるデータ(6サンプル分)をSRAMへ書込みます。なのですが、この書込み時間はジッタなどにより変動します。
一方、SRAMからの読出しはシステムクロック(2.1168MHz)により一定間隔で行われます。CDの標本化周波数は 44.1kHz ですから、DACに6サンプルを送るための読出し時間は 6/44100 = 136.054μs になります。
位置ジッタが無ければ書込みと読出しの速度は同じく 136.054μs になるのですが、ジッタフリーという訳には行かないのです。それが現実です。
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SRAMは2Kバイトで、108 フレーム分をバッファするだけで一杯で、±4フレーム分しか余裕がないそうです。
4フレーム分ということは、チャネルビットレートが +5% したら 80 フレームでオーバーフローになる。+10% なら 40 フレームです。
SRAM上でオーバーフローが発生すると、4*6/44100 = 544.217μs の音飛びとなる。1フレーム分が上書きされるのではなくて4フレーム分が飛びます。単なる4フレームの消失ならCIRCの誤り訂正処理で回復できるのだけど、SRAMが一杯だと訂正しても保存できない。それと、108 フレーム経過するまでCIRCが不能になる。
アンダーフローが発生した場合は無音時間ができて音が途切れる。1フレーム分か4フレーム分かは分からなかった。CDプレーヤが旨くごまかすかもだけど。
言うまでもなく、チャネルビットレートが安定していればデータ消失は発生しなくて、チャネルビットレートの変調が増えれば、それに応じてデータ消失が増える。
SRAM上でデータが幾度も失われると音質に影響して当然でしょう。
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例えば、ですが。
円盤の製造工程で問題があった等で、円盤の場所により位置ジッタが違う場合。例えば、前半部分は1Tが 10% 長く、後半部分は 10% 短いようなCDの場合。
具体的には。
1Tの時間は 1/4321800 = 0.231μs で、線速度が 1.2m/s なら1Tの長さは 0.277μm です。1フレーム(588T)なら 163.265μm です。半径 25mm の場所なら1周あたりのフレーム数は (25*1000*2*3.14)/163.265 = 962.114 個なので、前半の 481.057 個が 10% 増で、後半の 481.0.57 個が 10% 減といった具合にします。
増減は1周分だとプラスマイナスゼロなので、平均的にはチャネルビットレートは基準クロックと同じです。それでCDの回転速度が同じままだとしたら、前半で 481.0.57/40 = 約 12 回のオーバーフローが、後半では約 12 回のアンダーフローが発生することになります。
1Tの時間が平均 0.231μs で、その ±10% の増減なら、ジッタは ±23ns になる。ジッタが Peak-Peak で 46ns ならCD規格(50ns)に適合、...なのかな。ここちょっと自信がないです。1Tが突然に 10% 長くなるという設定は不適切。
でも、まあ、適当な周波数変調で徐々に1Tが変化する例ならあるかもです。
ともかく、CDの回転速度の調整は必須ですね!
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2025.3.30 推敲。
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2025.4.27 後半を分離。
2025.12.21 推敲。




