エピn+4 CDに記録できる時間は最大74分43秒と言います。
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CDに記録できる時間は最大74分43秒と言います。あるいは74分42秒とも。
CDの規格を決めるとき、ソニー社のえらい人が、カラヤンさんからのリクエスト(ベートーベンの「交響曲第9番」が入る時間にしてよ)を伝えて決まったそうです。
これは有名な逸話ですね。本当かどうかは別として。第9の時間は演奏者の解釈によって60分前後から70分前後らしいです。
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音楽は 25〜58 mm の範囲、トラック間隔は 1.6 μm として、トラックの長さを単純に計算すると、えーと、
tl=0.0; pi=3.14159265; rate=1000*1000
for r in range(25*rate,58*rate+1,1600):
tl += 2*pi*r
print tl/rate/1000,"m"
> 5378.274 m
5.378 km です。
線速度が 1.20 m/s なら、5378.274/1.20 = 4481.89 sec で、74分41.89秒です(だいたいあっている?)。
これが良く言われるCDの最大時間なのでしょう。
線速度が 1.40 m/s なら、64分1.62秒になります。
CDの音楽の時間は、64分から74分の間で設定できるのですね。
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これでCDはデジタルで良いのかと、...うーむ、と悩みましたがデジタルで良いですかね?
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日本レコード協会の「CD用CD−Rマスタ運用基準」(RIS105-1994)では、プログラム収録時間(標準)は74分43秒(最長)となっています。
ところが、CDプレス工場では78分59秒までプレス可能だが、再生保証は74分42秒までと案内しているところや、78分34秒や79分38秒まで再生保証と案内しているところもあります。
...、大丈夫かな?
逆算するとトラック間隔が 1.5 μm で、線速度が 1.20 m/s のときに79分40.67秒でした。割と保守的でした。CDを名乗るなら当然か。
標準的な音楽用CDなら74分で、CD規格の限界までトラック間隔を狭くすれば79分でも入らなくはない。
CD規格ではトラック間隔を「1.6±0.1μm」と記述しているので 1.6 μm が標準的として、1.5 μm は規格内であるはずですけれど。そんな音楽CDには賛否ありそう。どう思います?
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CD-Rには、650MB(74分相当)と700MB(80分相当)の2種類があります。
CDは1秒で75セクタあって、音楽用なら1セクタに 44100*2*2/75 = 2352 バイトが入ります。データ用(CD-ROMで Mode1)の場合は、同期検出 16 バイトと誤り検出訂正 288 バイトが追加されて、格納できるデータは 2352 - (16+288) = 2048 バイトになります。
よって、650MBのCD-Rであれば、
(650*1024*1024) / (2048*75) / 60 = 73.955(73分57.33秒)
です。これが74分相当ということなのでしょう。
同様に700MBなら、79分38.66秒ですから80分相当。
推測ですが、650MBのCD-Rはトラック間隔が 1.6 μm で、700MBは 1.5 μm なのでしょう。
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レーザーポインターを使って回折格子によりCDのトラックピッチの測定実験ができるそうです。
・木下正博「CD、DVDを用いた光の回折・干渉実験」2009年
(https : //www.toray-sf.or.jp/awards/education/pdf/h21_06.pdf)
・三重大学工学部「レーザーポインターで測るCDの溝間隔」2016年10月11日
(https : //www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/161011.php)
前者は高校の授業(物理?)での実験のようです。楽しそうな写真が載ってます。イイなー
この実験結果によると、CDのトラックピッチは個体差があり、1.52〜1.65 μm ですって。それと、650MBのCD-Rは約 1.60 μm で、700MBは約 1.50 μm。
興味深いですね!
後でやってみようかな。とりあえずCDにレーザーポインターを当てると反射光が3点できるのは観察できた。あとは測定精度。
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CDやCD-Rには80分以上の音楽が記録されたものがあります。
Wikiによるとブルックナーの「交響曲第3番」が89分3秒ですって。こんなのどうなっているのでしょうか?
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調べてみましたら、2003年4月に「High Capacity Recordable Disc Systems」という文書が作成されていて、
・トラック間隔: 1.28 〜 1.5 μm
・線速度 : 1.13 〜 1.20 m/s
と定義されてます。ただしCD-R等と名乗る(CDのロゴマークを付ける)ことはできず、HC-Rと呼ぶそうです。
2003年頃には80分を超えたCD(あるいはCD-R)が出始めていて、その規格がバラバラだったので、この文書が作成されたそうです。
トラックは渦巻き状の1本の線なので、CDプレーヤの光ピックアップがトラックを追跡できる限りは、トラック間隔が 1.5 μm より多少狭くなっても再生できるのでしょう。再生できない機種も(当時は)あったようですが現在なら大丈夫。多分。
1曲の音楽を1枚に出来るか2枚に分割されるかは切実な感じだから。
トラックの間隔が 1.28 μm だと、トラックの長さは 6.722 km に延びます。さらに線速度が 1.13 m/s まで遅くなると、記録できる時間は99分9.28秒です。...、HC-Rとしては98分29秒ですが。
これで大容量化!
元々のCDの規格(1982年)は、トラック間隔 1.6±0.1 μm で、線速度 1.20〜1.40 m/s の範囲でした。
20年余の技術の進歩で、記録密度をあげることが可能になったからだと想像します。CDドライブでは48倍速とかあったし。DVDはもっと高密度ですし。すし。
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トラック間隔と線速度が選択できるのは、通信の場合のキャリア周波数のようなものと考えれば良いかな。
若干アナログっぽい雰囲気がありますが、CDに記録されている信号は離散的な値(3T〜11T)で、エラーがなければトラック間隔などに関係なく同じ値を読み出すことができます。
信号自体はデジタルだから音質に影響しない。アナログなレコードとは違うのです。
CDに記録されている信号はデジタルでよいでしょう、と言うのが今日の結論です。
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アナログはどこ行った? もう迷子だよー
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2025.10.18 推敲。




