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現実系ショートショート

交通事故で死んだ僕の恋人は異世界で活躍しているらしい

 僕の恋人が交通事故で死んだ。それから少しした頃から、半月に一度ほどのペースで彼女からだという手紙が届くようになった。


 内容は、彼女はこちらでは死んでしまったけど、魂は別の世界に移動していてそこで元気にやっているということ。

 そこでまるで物語のような冒険を繰り広げているということ。

 異世界の面白い風習や異世界で出会った面白い人々、のこと。

 ちょっとした人助けをして過剰に感謝されて逆に困ってしまっているということ。

 そして、もう二度と会えないのだからあまり引きずらないで欲しいということ。


 そんな手紙が届くようになってから半年ほどが経った頃。


 彼女の弟がちょっとした怪我をしたというのでお見舞いに行くことにした。


 彼女の葬儀の日から、会うのは初めてだった。


 彼は左腕を吊っているために四苦八苦しながら、自室の机に向き合っていた。

 勉強、ということではなさそうだった。


 僕が彼の部屋に入ると、彼は驚いたようにしながら机の上を隠す。ほんの一瞬、便箋が見えたような気がした。


 僕は彼に言った。


「ありがとう。彼女は向こうで、元気にやってるよね」


 僕の言葉を聞いて、彼は静かに頷くと、泣き始める。それを見て僕も泣いてしまった。

 その後に、僕と彼は彼女の思い出を語り合った。


 夜、眠りについた僕の夢の中に彼女が現れた。彼女は手紙の通り、元気そうに、楽しそうに、異世界を旅して人助けをしていた。

 翌日になり彼に聞いてみたら、彼の夢にも姿を現していたらしい。



 それから彼女からの手紙は、届かなくなった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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