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幻想のグリモアール  作者: ふたばみつき
第8話 学園編~school Life~
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第九十六頁 波乱の香り

 ここは食堂。


 何時もの様に、パンのいい香りがする。

 甘くて温か~~い香り。

 これが幸せ幸せ。

 出来立てのパンが私は大好き大好き。


 だけど……


「アイラちゃん。昨日はあの後、何処に行ってたんだい」

 

 これは王子様。確か、名前はデュランダル? いや、デュランマッコイ? いや、フェルグス・マックロイ? 

 もう、わからん。この人の名前長すぎ。

 

「王子。アイラさんにもプライベートと言う物がありますので、どうか御理解を……」


 そう言ってくれているのは、グレイス先生。ありがとう、グレイス先生。


「グレイス先生。何故、貴方が僕とアイラさんの会話に入ってくるんですか?」


 と、王子様。


「どうしたんですか王子? 貴方らしくないですよ」


 本当に何故だかわからんが、この王子様、昨日とは打って変わって、かなりピリピリしている。少し、その…… イヤだ…… 


 普通に怖い……

 なんか、怒られてる気分になってくる。


 変な薬でも打って、変わってしまったのかもしれない。どうしよう……


「グレイス先生。貴方はやけにアイラさんと親しげですが、どういった関係なのでしょうか?」

「お、王子? 貴方は一体何をおっしゃっているのですか?」


 不味い。私の頭上で成立しない、言霊のキャッチボールが行われている。


 正直、意味がわからん。

 意味がわからんが!!


 私の勢い良く立ち上がった!!


「私は昨日、図書館の地下に居ました!! 日が暮れるまで!!」


 何故だかピリついてる王子様に向かって言い切る。


「成る程、図書館の地下か…… それじゃあ、見当たらない訳だね……」

「え? 探したんですか?」


 私がそう言うと、王子様は申し訳なさそうに頷いてみせた。


「貴方。昨日はもう付きまとわないって言ったじゃないですか!?」


 コイツ、完全にストーカーに成っちゃったよ!! お巡りさん!! コイツです!! コイツをでデスしてください!!


「いや、その、それは…… 勘違いしないで欲しいんだ。少し聞きたい事があっただけで……」


 いやいや、いやいやいや!!

 それはムリ!! ムリムリカタツムリ!!


「い、一日ぐらい待ちましょうよ!!」

「うっ! そ、それは確かに、今にして思えば、君の言う通りだ、返す言葉もない、申し訳ない……」


 そう言うと、王子様は先程のピリピリとした雰囲気から打って変わって、しおらしくなってしまった。


 な、なんだ。ちゃんと謝れるじゃねぇか……

 それに妙にしおらしいくなっちゃって……

 ま、まあ、いいか。なんかのっぴきならない事情があったのだろう……


「取り敢えず、お……」


 落ち着いたなら、どうしてピリピリしてたのか教えてくださいよ。と言おうとした瞬間、私と王子様の間にグレイス先生が割って入った。


「王子、貴方…… アイラさんの事を付きまとっていたんですか?」


 え!? 今度は何? 何? 何?

 

 今度は打って変わって、グレイス先生がピリピリしだした。

 なんだなんだ!? 変な薬でも流行ってんのか!? 皆、打って変わっちゃったのか!? メンタル、ロックンローラー、ジェットコースターになってんのか?


 もう意味がわからん!?

 誰か助けて!?

 

 ユ、ユヅキさん!! 助けて、助けに来て、ユヅキさん!!


 そんな心の叫びを挙げても、ユヅキさんが来る気配はない。


 うぅ、そりゃ、当たり前だよね。

 どうしよう……


「貴方達! 何をやってるんですの!!」


 その時、食堂の入り口から良く通る声が響いた。

 そして、その声のした方向に目をやると、そこにはドリル女こと、フレン・ラスカさんがいた。

 無論、ドリルをジャラジャラとぶら下げている。


 その様を見て。私は自分の顔から血の気が引いて行くのがわかった。

 もうダメだ、ロクな事が起きない。それだけは確信が持てる。

 どうしよう、頭がクラクラして来た。


 不味い、不味い不味い不味い。ここで気を失ったら、多分一層話がややこしくなる。耐えろ、耐えるんだ!! アイラ!!


「貴方達。王子の御前ですよ! 下賤の者が同じ目線で話すとは何事ですか! 平伏なさい!!」


 いや、そこまではしねぇよ……

 と、思っていると、その矢先、王子様が一言口を開いた。


「ラスカさん、貴女は黙っていて下さい」

 

 何処か冷たく、機械的な声だ。それが、日頃の彼とのギャップを感じさせ、余計に冷たく感じさせる。


 これ、きついよ……


 ラスカさんは多分、王子様の味方をしようと割り込んで来たんだよ。それをそう言ったら、ラスカさん、泣いちゃうよ。 


 見ると、ラスカさんは泣いてはいないが、呆然としている。正に言葉を失ったと言う感じだ。


 因みに、私はラスカさんが登場してきた辺りから言葉を失ってるし。意識も失いそう。


 一体全体、何が起きてるんだ。

 そして、これからどうなってしまうんだ……

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