第九十五頁 地上へ
え? ずっといたって? マ、マジ?
なんか、明るくて読みやすいと……
思ったけど、もしかしてずっと照らしてくれてたの?
「あ、あの…… もしかして、ずっといたんですか?」
「ああ、そうだが?」
ひぃぃ、ごめんなさい!!
「す、すいません!! わ、私は一体どれだけの時間を!?」
「うむ、まあ、三時間しないぐらいではないか?」
うひひぃひぁひぁ!!
ごめんなさいぃぃ!!
取り敢えず、私は急いでオーク先生に謝った。
「すいません!! すいません!! すいません!! つ、つい集中してしまいました!!」
「はぁ、まあ、ええぞ。ここは教師か司書の付き添いが必要だからな」
へぁあ!! オーク先生、うっすらわかっては居たけどいい人? いい人の方ですか??
「なに、生徒が学ぼうとはしているのだ、教師である私が出来ることなら何でもするさ」
ひぃぃぃ!! いい人だし、いい先生だぁ!!
「それに、お前の様な才の有る若者ならば。将来、人類全体の魔術レベルを何歩も進める可能性がある。その為なら、この老いぼれの時間なんぞ、安いものさ」
ほほえぇぇ!! さ、先を見据えることが出来るタイプのいい人だぁー!!
「ほ、本当にすいません!! 今回は本当にありがとうございます!! 凄い勉強になりましたぁ!! クソ、御世話になりましたぁ!!」
「ああ、ええぞ、ええぞ。また気軽に呼ぶと良い!」
軽るっ!!
あ、ありがてぇ!!
「まあ、もう日が暮れているだろうからな。今日はこの辺にしておくといい」
「は、はい!」
本当に申し訳ない。
私達はそんな会話をすると、地上へと向かった。
☆★☆
やはりと言うか、なんと言うか。既に地上は日が暮れており、辺りに人気は無かった。
「うむ、ご苦労」
オーク先生がそう呟く。
一瞬、私に向かって言っているのかと思ったが、よく見ると暗闇の中、闇に潜む様な人影があった。
だ、誰ですか?
「彼女はこの図書館の司書だ。確かノエル言う名前だ。私の手が空いていない時は彼女に頼むと良い」
は、はぁ……
しょ、正直、怖いんですが……
恐る恐る、彼女? を見ると。彼女はおもむろにこちらに向かって来た。ほのかに差し込んでくる月明かりに照らされて、彼女の姿が露になる。
金髪に片目を隠しているが、可愛らしい顔をした少女だ。
私の視線に気が付いたのか、恥ずかしそうに顔を伏した。
可愛い! もう、全然怖くない!
「ノエルも、アイラを頼んだぞ……」
「は、はい……」
そう言うと彼女は、顔を赤らめながら頷いた。何故、赤らめているのかわからんが、可愛い。
「よし、では帰るぞ……」
そう言うと、私とオーク先生は図書館を後にした。
ふと、振り返ると図書館の入り口でノエルちゃんが小さく手を振っていた。




