第六十二頁 学園へ
魔術学園は外から見た時に見えた、背の高い幾つかの建造物のふもとにあった。
とてつもなく高く大きく、立派な時計塔。そのふもとに学園はあった。
時計塔と言うには余りにも大き過ぎたって感じだ。それに、そのふもとにある学園も立派な物だ。多分冗談抜きで東京ドーム何個分とかそんな感じだろう。
しかも、その大きさの校舎を綺麗に鉄柵が囲っている。
囲いがあって、格好いい。つってね。
まあ、それはさておき。俺の予想だと、校舎の大きさは東京都ドーム二個分くらいだろう。いや、そんなことどうでもいいか……
うむ、この建築様式はゴシック様式と言う奴だろう。いやにトゲトゲした屋根だの飾りだのがそこらじゅうにはえている、これはまさにゴシック。
それに窓ガラスと言う窓ガラスも非常に大きく、一つ一つが教会のステンドグラスくらい有るんじゃないかと思わせられる。
もしかして、このガラスって割ったら弁償しなきゃいけないのかな? ま、まあ…… 割らなきゃ良いだけなんだけどね……
まあ、取り敢えずは行ってみて、どんな感じで入学するのか聞いてみますか。入試とか、募集要項とか有るのかもしれんし。もしかしたら入学時期とかも過ぎてるかもしれないし。
まあ、そこら辺は臨機応変にやろう。この世界は連絡機器の発達は全然してないから、細かい情報は本丸に乗り込むのが一番速いだろう。
ぶっちゃけ、お金がどんくらい必要かも知らないし。
俺は取り敢えず、鉄柵をたどって校門まで向かって見ることにした。良く見ると鉄柵のデザインもゴシック様式だ、沢山グルグルグル~ ってなってて、天辺の方は凄くトゲトゲしてる。
これ刺さったら痛そうだよね~
と、そんなことを思っていると、校門であろうと思われる門扉の所にたどり着いた。
よし!! ここからは校門だけに、ケツの穴を引き締めて行きますか!! うむ、今日の俺はオヤジギャグばっかり言ってて、端的に終わってるぞ!!
まあ、こう見えてちゃんと緊張しているのか。我ながら変な感じになってる。完全に浮わついている。
先ずは落ち着かなければ……
取り敢えず、俺は大きく胸を張って深呼吸をする。
すぅ…… はぁ~
すぅ…… はぁ~
すぅ……
「あの、何をしているんですか?」
「うひぁっ!! びっくりしたっ!!」
突然声を掛けられたから思わず飛び上がってしまった。
俺は咄嗟に声のした方向に視線を向けると、何やら沢山の草だの木の枝だのを持った青年がこちらを眺めていた。
一瞬、用務員さんかと思ったが、そう言う感じでは無いらしい。
俺はなんとなしに、彼をじっと見てみた。
非常に色白で骨ばった手の甲。とても用務をこなせるとは思えない。それに顔も小綺麗でとても整っており、用務員って感じの顔ではない。
髪の毛も艶のある白銀をしており、身だしなみも黒いローブを纏っており、身嗜みにも非常に気を使っている様に見える。
何処かの貴族とか、名家の御曹司って感じがする。絶対に用務とかこなせなさそう。
肌の白さも、直ぐに貧血とか熱中症になりそうな程に白色。
それにどこか冷静というか、冷徹と言うか、酷く冷たい性格をしていそうな印象を感じる。
恐らく、学園の先生とかだろう。
でもなんだろう、この感じ……
「あの、どう言ったご用件で?」
そう言うと、彼はゆっくりとこちらに歩み寄って来た。
その時、不意に彼の瞳と視線が有った。
思わず鼓動が一瞬速くなるのが自分でもわかった。
非常に赤い真紅の瞳。
そう、まるで宝石をはめ込んだ様な綺麗な紅玉の瞳。
それが何かを彷彿とさせる。
その何かは今になってわかった。
そうだ、吸血鬼だ……
「あの…… どう言ったご用件で学園へ要らしたのでしょうか?」
彼のその言葉で我に帰る。
いけない、いけない。色々と緊張し過ぎて上の空になってしまっていた様だ。
やれやれ、見ず知らずの人を吸血鬼と思うだなんて。ここがファンタジーの世界じゃなければ冗談で済むけど。この世界だと、失礼になりかねん。
まったく、これは本当にケツの穴を引き締めないと……
「どうもすいません! 実は学園の生徒になりたいな、と思ってるんですが、どうすれば良いのかと、困りあぐねていた所でして!!」
取りあえず「へへへ」と笑ってみる。
怪しまれたりとかしないかな?
しかし、そんな俺の不安とは裏腹に、彼は「あぁ」と声を漏らした。そして、彼は納得した様子で頷くと、その冷静な表情を崩さずに丁寧な口調で、こちらに向かってゆっくりと語りかけて来た。
「なるほど。それでしたら、こちらへ着いてきて下さい」
彼はそう言うと学園の方へと向かって、すたすたと真っ直ぐ歩き出した。なんと言うか、彼のひとつひとつの所作がかなり優雅で洗礼されている様に感じる。
ただそれだけに、やや冷たい印象も受けてしまう。
ううむ、なんか堅苦しくてやりずらいな……
なんか、本当に学校の先生みたいだ……
しかも、堅苦しくて厳しいタイブの……
制服の着こなしとか、いちいち突っ掛かって来そう……
俺はそんなことを思いながら、彼の後に着いて学園へと歩き方出した……




