真っ白で何もない少女
あるところに、真っ白な少女がいた。
何も描かれていない。
色味も模様もない。
他の人は、赤だったり青だったり、水玉だったり縞模様だったりしていたけれど、少女は真っ白だった。
だから少女は自分の体を汚してみる事にした。
すぐに土ほこりやゴミがついて、真っ白ではなくなった。
けれど、雨が降って来たので全部消えてしまった。
何も、残らない。
少女は、真っ白以外になりたかった。
けれど、方法が分からない。
だから真っ白な少女は、白いキャンバスに何度も筆を走らせた。
そうやっているうちに、自分を真っ白でなくす方法が見つかるかもしれないと思いながら。
何枚も何枚も。