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第85話:ちっぱい族の滅亡1

 その日の深夜、宿舎の一室で秘密の会合が開かれていた。参加者は僅か三名。


A:浅野の話か?

B:そうだ。

C:今日の三点測量だな。

A:そうだ。俺はCと判断した。

B:俺もCだ。


C:俺もそうだ。

A:三人同時に目視して一致したという事であれば、Cで確定だな。

B:なぜだ、なぜなんだ!召喚された時は、確かにAだったのに。

C:騒ぐな!こっちの世界に来てから成長したという事なのだろう。

B:どうしてみな大人になってしまうのだ!どうしてみな成長するのだ。花は蕾の時が一番美しいのだ。咲いてしまえば後は散るだけなのだぞ。


A:それ以上言うな。それに俺たちはちっぱい族であって、ロリコンではない。そもそも、ちっぱいの良さが分からぬ奴に百万言を費やしても意味はない。ちっぱいは蒼穹そうきゅう穿うがつ孤高の頂きよ。全てを見下ろす天空の座に至ることができるのは、神に選ばれたごく僅かな乙女しかおらん。そしてその良さが分かるのも同じく限られた一握りのおとこだけなのだ。


B:そうだ。ちっぱいは無限の可能性を秘めている。何も書かれていない真っ白なキャンバスそのものなのだ。

C:それにしても、浅野が召喚と同時にあるべき姿に変換され、ちっぱい族の仲間入りをしてくれた時は嬉しかったなあ。

A:巨乳党も美乳派も歯ぎしりして悔しがっていたと思う。

B:あの日は夜通し祝杯を挙げたな。


C:端正で物憂げな顔、つぶらな瞳、清楚なたたずまい、学校一の美少女がおっぱい三国志の世界で我らちっぱい族に勝利をもたらす神の使いとして降臨したと思っていた。

A:考えられる最高戦力だもんな。平井とツートップを組めば無敵だったのになあ。

B:それ以上は愚痴になるぞ。AよCよ、お前らの理想は俺も完全に同意している。その上での提案として聞いてくれ。


A:なんだ?つまらぬ現実論などに用は無いぞ。

B:そう言うな。今現在の三国の縄張りは、ちっぱい族:A、美乳派:B~D、巨乳党:E~となっている。

C:正確に言うと、ちっぱい族はAAA~Aだな。


B:そうだ。現状、ちっぱい族は一人増え一人減りで増減無し、美乳派は一人増加、巨乳党は増減無しだが、この先じり貧に陥りそうな気がしてならない。ここはひとつ美乳派と手を打って、Bをちっぱい族に入れてはどうだろうか?

A:馬鹿な事を言うな!何を血迷ったか!巨乳党との戦のさなか、一度は同盟を結んだ美乳派と袂を分かった時、「Aはいらない、真のちっぱいと言えるのはAAAだけだ!」と主張したのはどこの誰だ!


B:言うな。俺も苦しいんだ。俺の理想は変わらない。AAAこそ真のちっぱいだ。しかし、あの時「理想ばかり追求しても大義はなしえない」と俺を説得したのは誰だ。ちっぱい族・美乳派・巨乳党で勢力バランスを取る天下三分の計を説いて俺たちをいさめたのは誰だ!

A:確かにあの時俺はそう言った。そしてAとBの間で線を引いたのも俺だ。しかし、だからこそここが譲れない線、いや、妖精が住むという全て遠き理想郷、すなわちアヴァロンなのだ。


C:その通り、Aは俺たちの生命線であり絶対領域だ。

B:もう少し俺の話を聞いてくれ。実は先日美乳派の一人と秘密裏に接触したのだが、美乳派内部でもBの扱いは微妙なのだそうだ。一部では「BやDは美乳にあらず、Cのみが真の美乳」という原理主義的なグループも存在するらしい。そいつらと組めば・・・。

C:お前は何を言っているんだ!ちっぱいでも巨乳でもない曖昧模糊な日和見主義者共と手を結ぶというのか。お前はちっぱい族の誇りを忘れたのか!あの日の桃源の誓いを忘れたというのか。


A:そうだ。ベクトルは正反対であるが、まだしも巨乳党は同じ乳道を究めるものとして、その理想を追求する姿勢に共感することができる。しかし、和をもって貴しとなすとか、過ぎたるは及ばざるがごとしとか、生ぬるいことばかりぬかす美乳派と手を握るとは何事だ!

B:お前らの怒りはよく分かる。もっともだ。しかし、ちっぱいの理想を追求するためには、時により小異を捨てて大同につくことも必要なのだ。分かってくれ。俺もつらいんだ。

・・・・・・・・・・・

 三人はしばし沈黙した。しばらくたってから重い口を開いたのはCだった。


C:Bよ、お前の言いたいことは分かった。戦略的にBが狙い目だということも理解した。おそらく、勝つという最終的な目的のためにはお前の戦略は合理的で、かつ正しいのだろう。だが、俺はBのような曖昧な乳の存在を許容することができないんだ。許して欲しい。それに、そもそもAとBの違いは小異ではないぞ、多分。

B:確かにそうかもしれん。


A:改めて気がついたが、決して各勢力とも一枚岩ではないのだな。

C:万物は流転する。

B:二人いれば三つ派閥が出来るくらいだからな。

A:それはよその国の話だと思うぞ。

B:それでは話を戻して、Bをどうするかについては次回に改めて検討するという事で良いだろうか。


C:おう、そうしよう。戦わずして勝つというふざけた戦略を掲げる美乳派どもに一泡吹かせるためにも、一致団結して戦おうではないか。

A&B:異議なし!

C:ちっぱいのために!

A&B:ちっぱいのために!!

C:ちっぱいのために!

A&B:ちっぱいのために!!

・・・・・・・・・・・・

A&B&C:ちっぱいのために!!!

こいつら何を言っているのか全然分かりません。それに三点測量の意味も勘違いしていると思う。

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