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第34話:SD妖怪

 6月11日、火曜日。いつものメンバーで朝ごはんを食べているが、冬梅の顔色が悪い。

「どうしたんだ?」

「眠れなくて・・・」

「悩み事?」

「恋の悩みなら任せて!」


 初音と洋子が絡んできた。なんでそんなにテンション高いの?

「いやさ、猫娘がうるさくて・・・」

 詳しく聞いてみると、一度召喚した妖怪たちが半透明の小さな人形になって、事あるごとに冬梅に「召喚してくれー」とアピールするらしい。大きさは身長十センチ位で、二頭身くらい。

 はじめは視界の隅でちょろちょろするだけだったのが、今は堂々とテーブルの上で怪しげな(妖怪だけに)ダンスを踊ったりするそうだ。当然、冬梅しか見えない。


「今もいるの?」

「うん、今はヒデの頭の上にいる」

ヒデが条件反射的に手で頭の上を払ったが、いわば投影した映像なので手はすり抜けてしまうそうだ。二頭身といえばSDスパーデフォルメガンダムが有名だが、その妖怪版か・・・。俺は二頭身の砂かけ婆や子泣き爺、猫娘を連想した。うーん、ちょっと可愛いかも。デスクトップのショートカットアイコン的な存在だろうか?


 今までも見えていたが、俺が一反木綿にドーナッツをやったことが猫娘にばれたみたいで、しょっちゅう出てくるようになったそうだ。夢どころかトイレまで出現したそうで、げんなりしているみたい。すまん、冬梅。


「今日の鍛錬で呼んだら?」

「今すごくたにやんにお礼を言っている・・・。知らないよ」

「お、おう」

 どう返事したらよかったのか分からないけど、とりあえず返事してしまった。


 ちなみに朝ごはんは、甘さ控えめのフレンチトーストだった。厚手に切ったトーストを使って、表面はパリツと香ばしく焼けているのに中はジューシー、シナモンのような香りで上品に仕上げている。ヒデが一人だけホットミルクを飲んでいるのがほほえましい。角切りバーコンとチーズに果物が入ったサラダが面白かった。


 魔法学は昨日と同じく魔法陣の体感のトレーニングだった。来週も引き続き他の初級魔法の魔法陣の研究だそうだ。地味だけどこれをしっかりやっておかないと、以降伸びないそうだ。


 お昼ご飯はトマトソースがベースになったパエリアだった。ベーコンやソーセージと各種野菜がバランスよく混ざっている。具沢山だけど、米の存在感が全体をしっかりまとめている。

 赤・緑・黄色と色味も華やかで、見た目も味もゴージャスだった。デザートはヨーグルトだった。自家製のジャムとドライフルーツらしきものが入っている。


 俺の分は洋子が瞬きする間に回収した。食べ終わってから「ありがとう」と言われてもなあ。この世界のヨーグルトは塩味が普通なのだが、あえてプレーンにしたのが平野流なのだそうだ。


 練兵場ではランニングの後で冬梅が猫娘を召喚した。出てくるなり全力でおねだりポーズをしている。

「ご主人様~」

 冬梅が俺を見て頷いたので、アイテムボックスの中から魚を取り出した。


 王都見学の際に、冬梅が魚屋で買ってたやつだ。振り返って魚を見た瞬間、猫娘の眼が金色に染まった。耳まで裂けた口に鋭い牙をむきだし、化け猫の形相になっている。

 娘は豹変ジャガーチェンジす、なんちゃって。夜道で会ったら腰が抜けるかも。そーっと魚を差し出すと、次の瞬間には消えていた。なんちゅうスピードだ。


 うろこを飛び散らしながら頭からバリバリかじっている。豪快ですな。当然皆引いています。三匹渡したのだが、一匹目は五秒で、二匹目は十秒で、三匹目は味わうように三十秒ほどで食べた。

 一応満足したみたいで、元の紺地に白の水玉ワンピース姿の女の子に戻ったのだが、なぜか俺にも甘えてくるようになった。野生の猫に餌付けしたような感じ。冬梅が言っていたのはこれか!


 晩御飯はバケットの薄切りを使ったガーリックトーストと、具だくさんのクリームシチューだった。白いクリームに浮かぶ色鮮やかな野菜が目も楽しませてくれた。トーストのニンニクとバターの香り最高。先生もうまそうにエールをお替りしていた。


 デザートはなんとプリンだった。上に乗っかったキャラメルソースが絶品だった。今回は洋子の魔の手を逃れて味わうことができたが、自分の分を食べただけなのに、なぜ「ケチ」と言われなければならないのだろうか?


SD妖怪欲しい。誰か作ってー。

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