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第33話:子泣き爺とアジの南蛮漬け

 6月10日、水曜日。今日は昨日とうって変わって快晴。でもその分、暑くなりそうな予感。朝御飯はトーストと目玉焼き&厚切りベーコン、そして茹でたジャガイモとチーズが入った野菜サラダだった。


 トーストにはバターと三種類のジャムが付いている。みんな感激していた。俺も感激した。だってこの世界に来て、はじめて食パンを食べられたのだ。平野には本当に頭が下がるぜ。


 魔法学は昨日に続き魔法陣の体感のトレーニングだった。三日目にして自分の回りに魔法陣が展開しているのがうっすら分かるようになった。

 この感覚がつかめると、やがては呪文を唱えなくても瞬間的に魔法陣を展開して魔法名だけで発動できるのだそうだ。市場で木田がやったやつだな。数をこなすことが大事なんだろう。


 先生によると、威力のある魔法は呪文を詠唱するしかないが、初級魔法は詠唱無しで撃てないと、いざという時に身を守れないとのこと。

 武闘組も魔法を使う魔物や魔族を相手にすることがあるので、相手がどんな魔法を撃とうとしているか予測するために、感覚をつかんで欲しいとのことだった。


 お昼は二種類のピザのハーフ&ハーフだった。一人当たり二十五センチ位のピザが八等分されているのだけれど、右半分はベーコンなどの肉がメイン、左は野菜とチーズがメインになっていた。どっちもうまかった。


これでコーラがあればと思っていたら、冷たいレモネードのピッチャーが各テーブルにドンと置かれた。流石は平野、分っているぜ。

流れでラウンジにお茶を飲みに行った。各々好みの飲み物を頼もうとしたら、カウンターの上に小さな透明のケースがある。中に入っていたのは・・・。


「これは何?」

 カウンターにいたイケメン、確か羽河のお世話係だったと思うが、笑顔でこたえた。

「平野様の発案でラウンジにお茶請けも置くようになりました。今日はバタークッキーでございます」


 当然、お茶とセットで頼んだ。定番で地味と言えば地味なんだけど、砂糖は控えめでバターがたっぷり使ってあり、口の中でほろほろ崩れる感じで美味しく頂きました。

 形が円形や四角形ではなく、スライム形になっている所にこだわりを感じた。尖がり帽子を平たくつぶしたような形がウケたのか、女の子たちが可愛いと喜んでいる。平野って洋菓子もいけるんだな。


 練兵場での訓練で冬梅が召喚したのは子泣きじじいだった。ヒデが馬鹿にしたが、実際に試してみると五分ももたずにギブアップした。

 背中に張り付いた爺が一泣きするごとにどんどん重くなっていき、最後は体感で百キロのバーベルを背負っているような感じがしたという。


 青井をはじめ力自慢が何人か試したがみなギブアップ!しかし、例外が二人いた。花山と千堂の二人だ。二人に共通するのは水面渡りの訓練しかない。ひょっとするとあれってやっぱり重力軽減の魔法なのかな?


 晩御飯のメインはアジの南蛮漬けだった。付け合わせはポテトサラダ。見ると江宮が厨房の中に入っている。白い割烹着みたいなのを着ていたが、凄く似合っていた。なんだか平野が楽しそうだ。アジの南蛮漬けを手伝ったのだろうか?


 醤油無しでどうやって味付けしたのかと心配したが、千切りにした香味野菜とビネガーとハーブの風味で西洋風の南蛮漬け(?)になっていた。なんかこう洋食と和食の合体というか、料理の奥深さを思い知らされた気分だった、なんちゃって。


 付け合わせのポテトサラダがまた絶品だった。これこそ家庭料理と言うか、おふくろの味というか、とにかくうまかった。材料はメインのジャガイモ以外は微妙に違うんだけど、マヨネーズが全体をうまくまとめてる。少し強めの塩とたっぷりの黒コショウがピリッと来て、アクセントになっている。おとなのポテトサラダ?


 デザートはスイートポテトだった。バターの香りが芋の自然の甘さをひきたてて最高でした。芋つながりなのかどうか分からないが、あっさりしたメインをどっしりしたデザートでバランスを取った感じなのかな?

 先生がポテトサラダをお替りしながらエールを飲んでいた。感想を聞いたら、おつまみに最高だそうだ。平野の食の異世界制覇は順調に進んでいるみたい。

スライムクッキー食べてみたい。

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