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第22話:王都見学

 今日は六月六日。快晴。待ちに待った王都見学の日だ。興奮して眠れないかと思ったが、きっちり眠れたみたい。迎えの馬車が待ち遠しいぜ。明日の仕込みも羽河がきっちりやってるみたい。こういう時って黒タブは便利だな。


 朝ごはんは野菜やハム・ベーコンを炒めて卵でとじたキッシュだった。素朴だがうまかった。食後デッキに出ると、庭では花山と千堂が並んで練習に励んでいた。花山の練習は見方によれば相撲のすり足の稽古に似ているなんて馬鹿な事を考えた。ごめん。


 出発前にラウンジに集まった俺たちに今日の遠足の簡単な説明があった。王都の地理をざっくり説明すると、まず中心に大広場があって、城壁の東・西・南の各門から大広場に通じる直線の大通りが三本ある。


 俺たちの宿舎のある王宮は大広場の北側に面しており、王宮の北側、北の城壁近くにはジャスフェル神殿がある。神殿の裏、つまり神殿と城壁の間は墓所になっているそうだ。

 王宮と神殿をつなぐ大通りの中間には広場があり、広場から東西に延びる道路は、大広場と城壁の中間位の位置でぐるりと王都を一周する環状線になっている。


 今日はこの環状線と大通りを一通り回ることで王都の概要をつかもうというツアーなのだ。五台の馬車に分乗して、王都を左回りで回るそうだ。四時半に出発して八時半に戻る予定。

 日本時間で言うと9時に出発して、17時に戻ってくる感じ。お昼は途中のお店で食べるそうだ。久々の外食だな。楽しみー。俺たちは二台目の馬車になった。


 時間になったのでいつものメンバーで馬車に乗り込む。俺たちの班の案内係としてセリアさんが付いてきた。バスガイドさんみたいなものかな。他の馬車も同じみたい。なんか二回目の修学旅行みたいだ。

護衛は各馬車の御者席に二人と騎兵が八人の計十八人。馬車の前後を騎兵で挟んで進む。まるで大名行列みたい。いささか過保護すぎるような気もするが、それだけのVIPなのだと考えよう。


 宿舎を出て練兵場に向かう道の途中で左に曲がり、しばらく行くと王宮の門(多分北門)に出る。門番に手を振りながら通り抜け、しばらく走ると、五十メートル四方位の広場に出た。

 まっすぐ北に延びる道の遥か先には、かすかに尖塔のようなようなものが見える。多分あれが神殿なのだろう。


 ということは、東西に延びる道が環状線なのだろうな。予想通り、馬車は西に進路をとった。北に伸びる道はこれまでお同じ薄い灰色だが、東西に伸びる道は明るいベージュ色だ。道幅は十メートルくらいだろうか。馬車が余裕ですれ違える幅みたいだ。この世界でも車は左側通行だった。


 ここから先は貴族街になるそうだ。道路の左右には所々お店が、洋服屋やレストラン、雑貨屋などが並んでいるが、基本的に貴族様の邸宅が並んでいる。敷地の幅は百メートルから五十メートル位、奥行きはどれだけあるか分からない。


 百メートルから二百メートル位の間隔で奥に通じる道路があるので、放射状に宅地が広がっているのだろう。建物はそれはもう立派なものばかりで、中には縦横約五十メートルの五階建てというまるでマンションのような大邸宅もあったが、ひょっとすると個人の家ではなくてホテルなのかもしれない。


 セリアさんに尋ねると、お風呂のことで質問した時の話に出た貴族様向けの公衆浴場だそうだ。お風呂以外にカフェ・レストラン・宴会場・宿泊施設を併設しているとのこと。ここでパーティーや結婚式を挙げることもあるぞうだ。


 入場料は一人当たり百ペリカと貴族様向けにはお安いかも、と思ったが、付帯する設備やサービスを利用するたびにオプション料金が加算されるらしい。世の中どこでも世知辛いね。


 塀で遮られているのでよく見えないが、邸宅はどこもお庭も相当立派なことが想像できた。池とか噴水とか普通にありそうな感じ。同じような景色に飽きてきたころ、公園のような所で馬車は止まった。お洒落なカフェかと思ったら洋服と宝飾品の店だった。


 この世界では洋服はオーダーメイドが基本だ(ある意味、自分で縫うのもオーダーメイドなので)。だから既製服は存在しないのだが、デザインや生地の見本が充実しているお店らしい。

 完成品の服に女の子が群がってあれこれ批評していた。俺も洋子に連れられて一通り見たけど、まさしく中世という感じだった。露出が少なすぎるぜ。


 佐藤がハイテンションの利根川に引き回されて「助けてくれ」と言わんばかりに涙目になっていたけど、あれは救出不可能だ。あきらめてくれ。宝飾品の方も見たけど、あまりにも高すぎてとても手が出せない。

 もちろん正札はないので、店員に聞いたのだが、手持ちの金では一番シンプルな金のネックレスを買うのがやっとみたいだ。


 結局冷やかしだけで誰も何も買わなかった。最初の店で大金を出す勇者はいなかったようだ。馬車に乗ってから価格の話になった。

「思ったより高かったね」

「貴族様向けだからしかたないんじゃない?」

「でもなんかで読んだけど、ああいう店って人を見て値段をかえるらしいぜ」

「どういうこと?」


「お得意様になってくれそうな人にはサービス価格で、一回しか来ないような奴はそいつが買えるギリギリを提示するらしい」

「じゃあ俺たちは?」

「当然ギリギリだろうな」

 みんなで笑ったあと、黙り込んだ。


 大きくゆっくり左にカーブする道を進んでいくと、右側に濃い緑色をした大きなビルが見えた。

「あの建物は国軍の司令部です。王都防衛隊をはじめ、国境守備隊や各地の駐留軍などを取りまとめています。少し離れた所には近衛の詰め所と訓練施設があります」


 見学はできないことでこのままスルー。伯爵は普通はあそこにいるんだな。

 そのまま進むと、やがて前方に高さ三メートル位の茶色い壁が見えてきた。

「これが嘆きの壁か・・・」


 誰か一人、勘違いしている奴がいるが、これは貴族街と平民街を仕切る壁なのだ。この壁から大通りまでの間は市民、いわゆるお金持ちの住宅街だ。平民の成功した商店主・事業者や上級の冒険者などが住んでいる。


 貴族街から出るとき、入るときは門番に鑑札を見せなければならない。もちろん貴族様は顔パスでOKだ。貴族門を出ると、空気というか雰囲気ががらりと変わった。道路の色も変わらないし、道の左右が住宅街なのも変わらない。


 しかし家の大きさや一軒当たりの敷地はかなり小さくなった。貴族の家が大邸宅なら、大きめ一戸建てという感じだ。その代わり、カラフルになった。貴族の家は灰色や茶色、黒などの落ち着いた色が多かった(たまに真っ白もあるが)のに対し、平民街の家はパステルカラーを含めて赤青黄緑なんでもありの状態だ。


 通り沿いの住宅に交じって並んでいるホテルやお店もぐっと庶民的になって、活気がある感じ。道路の両脇の歩道を歩く人もたくさん見かける。なんかほんとに街に来た、という感じだ。まあ、街は街でも下町ではなく、山の手という感じだろうか。ちょっと寄ってみたい気もするが馬車はそのまま進み、ついに西の大通りに出た。


 環状線の薄いベージュ色を断ち切って薄い灰色の幅二十メートル位の道路が東西に真っすぐ伸びていた。これが西の大通りか。右に曲がって進むと西の門に着くのだろう。先導する騎兵が左右で道路を封鎖して五台の馬車を環状線に進めた。大通りを渡ったところの左角には尖塔を持つ白い大きな建物があった。


「これが西の教会です。教会は、東側にもあります」

 道路を渡る間に見た大通りは、南側も北側も三階建て以上の立派な建物が整然と並んでいた。ここが一番のメインストリートになるのかな?


 大通りから先の環状線の左右は全てお店になっていた。何の店か分からない店が出るたびにセリアさんに聞くのだけれど、こういう時に馬車のスピードは丁度良い。

 パン屋、仕立て屋、生地屋、靴屋、雑貨、酒屋、八百屋、果物屋、肉屋、カフェ、食堂、酒場、レストラン、薬屋、治療院、刃物屋、金物屋、魔道具屋、宿屋、床屋、洗濯屋、その他説明されても分からない店まで含めて、数えられないくらいの多種多様な店が並んでいた。ここで俺は気が付いた。


「肉屋や八百屋はたくさんあるのに、どうして魚屋は少ないんだろう?」

「王都は内陸にあり、近くでは川魚しかとれません。もちろん、アイテムボックスやマジックボックスで海から輸送はしているのですが、数が限られるので高級品になってしまうのです。川魚だけだと量が足りないので」


 お店の裏は庶民向けの住宅街、戸建てではなくて長屋や二~三階建てのアパートが立ち並んでいるそうだ。道路の右側、城壁側の住宅街の奥は倉庫や工場、鍜治場をはじめとする各種工房が並んでいる。

 そして工場街の奥には娼館が並び、さらにその先、城壁沿いのほとんど日が差さないエリアはスラム街になっているそうで、これから先も絶対に入らないようにと念を押された。


 イリアさんがどういう所で育ったか見てみたいような気もするが、今はやめておこう。好奇心は猿を殺す、というからな。

 出来ればお店を一軒ずつ順繰りに回ってみたい思っていると、突然馬車が止まった。見ると、右側の商店の列が終わり、カラフルなテントが道路沿いにずらりとはるか先まで並んでいる。そこだけ色が爆発しているようだった。セリアさんが説明した。


「お待たせしました。グラスウールの台所と言うべき大市場をご案内します。私の案内に従って行動してください。ここでは半時間程見学する予定です」

 セリアさんを先頭にしてお店とテントを区切る道路に入り、二つ目の角から左に曲がり市場に入った。幅二メートル位の小道の左右は、間口が二メートルから四メートル位、色とりどりのテントが横も縦も際限なく広がっている。


そ して市場を活気づけているのが通路を埋め尽くす人・人・人の群れだ。子供から老人まで様々な年齢と人種の男女が、目の前にいる人にも大声を出さないと聞こえないほどの喧騒ノイズを生み出している。同時に嗅いだことの無い雑多な匂いが辺りを覆いつくしていて、一言で言えば臭くてうるさい。


「敷地で言えば百メートル四方あります。テントの正確な数は誰にもわかりませんが、一説によると千を超えるそうです。全部の店を見ようと思ったら一日かけても足りないでしょう。大市場専門のギルドがあるくらいなので。ここ以外にも幾つか市場はありますが、規模からいえばここが最大です」


「他にはどんな市場があるんですか?」

 ついつい聞いてしまった。

「ここの半分以下の規模の市場が三つと奴隷市場や盗品市場、各種農産物などを扱う先物市場など特殊な分野の市場が幾つかあります。特殊な市場は通常、会員制になっており、会員かその紹介を受けた人でないと参加することはできません」


 セリアさんによると、奴隷市場がこの近くにあるそうだが、もちろん見学することはできなかった。

 俺たちはテントに挟まれた通路を人をかき分けながら西に向かって進んだ。ある程度ジャンル分けしてテントの場所は決まっているそうだが、あくまで「ある程度」であって、肉屋の隣に八百屋があってその隣は宝石屋と、何がどこにあるのか分からない市場の面白さを満喫させてくれる空間だった。


 あらかじめ、ここでは一切買い物はしないでくれと再三言われていたので誰も巾着袋を出すことはなかったが、名前も使い道も分からないのに、「欲しい」と思わせる商品がいくつもあった。


 当然、トラブルもあった。いや、正確に言うとトラブルになりかけた。ヒデと志摩と野田が巾着袋をすられたが、初音と佐藤と小山が無事取り返した。流石、盗賊に忍者だな。また、ナンパする気満々だった伊藤には羽河がマンマークで張り付いたので、こっちも未遂で終わったようだ。


 唯一の事件としては、浅野をナンパしようとした遊び人風の男を木田がエアハンマーで吹き飛ばした。再三断っているのにしつこく話しかけてきて、最後は浅野の腕をつかんだので、木田がキレてしまったようだ。至近距離から詠唱無しで撃つから、よけられないな。


 男が這う這うの体で逃げ出すと、市場のおばちゃんたちがよくやったとばかりに拍手してくれた。木田は誇らしげに杖を振ってこたえた。まるでお姫様を守る騎士だな。浅野は複雑な顔で木田に礼を言っていた。浅野の気持ちはわかるぞ。ナンパされたことはもちろん、木田に助けられたことも素直には喜べないだろ。


 結果的に市場の中で乱闘騒ぎになった訳だが、自己防衛の行動なので、木田の行動は何も問題もないそうだ。そもそもこの世界で女の子に叩きのめされたなんていったら、男の面子丸つぶれらしい。


 木田に出番を取られた千堂が「お願いです。誰か僕に因縁をつけてください」的な顔できょろきょろしていたが、後ろの花山が無言の圧力を発していたので、その後チンピラの類は誰も寄ってこなかった。食堂のお姉ちゃんたちの気持ちが少し理解できたぞ。


 それ以外では利根川が薬草や宝石の屋台で動かなくなったり、平野がスパイスの屋台につかまったり、野田が楽器屋に入って置いてある楽器を次から次へと弾きまくって店主を仰天させたり、藤原がペットショップ(多分食用)で動物たちに懐かれたりしたが、無事に引きはがした。


 ちなみに野田のスキルである鑑定は、楽器に触っただけでその楽器の持ち方や弾き方が分かってしまうという、音楽家にとってはチートな能力だったようだ。市場の端まで到達したら道路を挟んだ向かい側にピンクのタイル張りの大きな建物があった。なんだろこれ?


「ここは前にお話しした公衆の湯屋です。今日は残念ながら見学はできませんが、機会があったら是非ご利用くださいませ。入場料はお一人大銅貨一枚、十ペリカです」

 俺たちは左に曲がって環状線に戻り、待っていた馬車に乗った。市場についてあれこれ喋っているうちに、大きな通りに出た。道路の色が薄い灰色なので・・・。


「南の大通りに出ました。このまま横切って東の環状線に入ります」

 西の大通りと同じく、南の大通りも道幅は二十メートル位で、通り沿いには三階建て以上の石造りの建物がずらりと並んでいた。西の大通りの時と同じく騎兵が左右の交通を一時とめて横断した。


「東の環状線の左側の入口にあるのが、冒険者ギルドです」

 セリアさんの言葉に全員窓にかじりついてまじまじと見つめた。黒っぽい石造りの建物で五階建ての大きなビルだった。入口の石段にそれ風の人間が数人たむろしていた。

 行ってみたいのはやまやまだが、残念ながら馬車は止まらない。東の環状線も道路の左右に雑多なお店が並んでいるのは同じだが、武器や防具など冒険者と関係あるお店が多いような気がする。


「先ほどの冒険者ギルドは、レベル上げのための活動の拠点となります。いずれ頻繁に出入りすることになりますので、今回は見学は無しでです。お気づきの通り、この通りには武器屋や防具屋、薬屋など冒険者に所縁のあるお店がたくさんあります。冒険者通りと呼ぶ人がいるほどです。この南東のブロックに冒険者ギルドがあるからなのかもしれません」


 しばらく進むと、馬車は右に曲がって城壁の手前まで進んだ。約百メートル四方の広大な駐車場の真ん中に体育館のような建物がぽつんとあったのだが、これが何かというとスライムを使ったゴミと汚水の処理場だった。

 こんな小さな施設で王都中のゴミや下水をどうやって処理するのかと思っていたら、処理施設は全て地下にあった。


 ご存じの通りスライムは悪食で何でも食べては消化吸収して分裂する魔物モンスターだが、それを利用して王都のゴミや汚水をまとめて処理してるのだ。

 やり方はシンプルで、以下の1から始まり2から4を繰り返すだけ。


1.スライムの消化液に耐性のある特殊な塗装をしたプールでスライムを養殖する。

2.プールにゴミや汚水を流し込む。

3.スライムが全部食べて分裂・増殖する。

4.一定以上に増えたスライムを処分して魔石を回収する。


 八十メートル四方の巨大なプールの中に、薄い水色をした半透明の円盤のようなものが無数にうごめいている。

 プールの深さは二十メートルあり、その半分までスライムで埋まっているそうだ。俺たちのいる入口の左手には巨大な排管があって、そこから汚水が落ちてくる。プールの隣、右手側はスライムの処理場になっているようだ。

 汚水やゴミの匂いがそれほどしないのは処理族度が速いせいなのだろうか?


 プールの壁は十メートル以下は青、それ以上は赤で塗られていて、赤の線を越えるとスライムを柄が十メートル以上ある巨大な捕虫網やバケツですくって、隣の処理場で魔石(ほぼ水の魔石)を取り出す。

 言うまでもなく全て手作業です。ここだけで百人以上の人間が働いているそうだ。


 年間数人が誤ってプールに落ちる事故があるそうだが、一度落ちたらまず助からないらしい。手すりを握る指に無意識に力が入った。

 処理作業を見ると、スライムをすくう係とそれを処理する係のペアになっているみたい。


 掬ったスライムを大きな手袋で押さえ、反対側の手で握ったナイフで切れ目を入れると、躊躇ちゅうちょなく中に手を突っ込んで薄い水色の魔石を取り出す。なんとなく真珠の養殖を思い出した。でも、臭いし、危険だし、大変な仕事だな。


 魔石を取り出すとスライムは水となって溶けてしまう。水は傾斜した床から水路に流れ、そのまま王都の外に通じる配管を通して、城壁の外側を流れる川に放出するそうだ。スライムが溶けた水は純度百パーセントの水なのだそうだが、それをそのまま飲用に使うのは抵抗があるようだ。でもいざとなったら飲んじゃうかもね。


 スライムが溶けた水は栄養が豊富みたいで、スライム水を放出した川は魚が良く育つそうだ。ひょっとして三平が釣ってきた魚はそれなのか?

 魔石は一日あたり千個も回収できるそうだ。小指の先ほどの水の魔石だが、室内灯であれば一か月ほどもつらしい。


 ゴミや汚水が魔石に変わる訳で究極のリサイクルなのかもしれない。回収した魔石は王都の街灯、王宮や公共施設の水道・照明・コンロ・冷暖房・エレベーターなどに使い、余った分は商業ギルドを通して販売しているそうだ。市場での販売価格は、一個当たり大銅貨一枚らしい。


 水や火やエネルギーを供給し、その上平民の雇用まで生み出すとしたらエコやリサイクルを越えた一つの基幹産業になっているような気がする。興味深く眺めていると、プール中央の天井部分がぱっくり開いてゴミが大量に落ちてきた。


 落ちてきたゴミにスライムが一斉に群がり、青い水面が中央だけ一メートルほど盛り上がった。確かにあの中に落ちたら助からないだろうな。

「溶鉱炉みたいなもんだな」

 隣にいた水野がつぶやいた。

「どうして?」

 思わず聞き返した。


「落ちたら助からないという意味さ」

 俺は黙ってうなづいた。この世界が魔法や魔物モンスターと深くつながっていることが改めてわかった様な気がした。

長くなったので分けます。「好奇心は猿を殺す」は「好奇心は猫を殺す」の勘違いです。

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