6 自爆?
結局、今夜の夕食は――榊エリカのせいで買い物に行けなくて、カップ焼きそばになった。
ペ○ングの四角いカップからソース味の面をすすりながら……俺はスマホが鳴っていることに気づく。
「もしもし……あ、今日子さん? 俺は個人情報について、今日子さんに話したいことがあるんだけど……」
『そういう話は……世界が平和なときに、言ってくれるかしら? エイジ君――侵略者が第三禁止区域に出現したから、あとはヨロシクね!』
しれっと軽く告げる様に――俺は榊エリカを思い出して黙る。
『エイジ君……何か、あった?』
「いや……何でもない。第三禁止区域ね。解った、今から直行するよ」
そして、俺が向かった先は――旧名『渋谷』と呼ばれた立ち入り禁止区域で……
黒い鱗を持つゴ○ブリのような悪魔たちに――俺はガトリングガンを斉射する。
体液を迸らせながら絶命する侵略者たちを―俺は何の感慨も抱くことなく、モノを見るように眺める……
深淵よりの侵略者は――俺にとって、殲滅するだけの対象だから。
いちいち何か考えるなんて……ナンセンスだと、俺は持っていたんだ。
「へえー……さすがはエイジ君。たった五分で、全滅させちゃたのね?」
真新しい記憶に刻まれた声に――俺は思わず、戦闘用ドローンから足を踏み外した。
地上百メートルほどの高さから、真っ逆さまに落ちる俺……あ、マジでヤバいかも。
そう考えながらも……まあ、仕方がないかなと俺は思っていたんだ――
「エ、エイジ君……良かった! 生きてるよね?」
榊エリカの胸に抱きか抱えられて――柔らかい感触を楽しみながら、俺はぼやけた意識で問い掛ける。
「ああ……とりあえず色々痛いけど、大丈夫だと思う」
「へえー……エイジ君って、こういう子が好みなんだ?」
突然視界に現れたのは――黒くて長い髪の奇麗なおねーさん……今日子さんだった。
「あ……えっと……冗談は良いから……マジで痛いんだけど?」
「そうね……エイジ君がこんなに重症になるとか、想像してもいなかったわよ。でもね……可愛い子に介抱されるなんて、男子高校生の夢でしょ? 私の英断に、しっかり感謝しなさい!」
今日子は、いつものお気楽な調子で言うが――俺は全身が痛くて、マジで動けなかった。
「あ……マジで、ヤバいかも……」
ロスト寸前の意識の中で――俺の耳には、エリカの声が聞こえていた。
「エイジ君……ねえ、エイジ君……エイジ君!!!」