約束
こんばんは。
今回はある’’約束’’を交わすお話です。
気がついたら柔らかな感触に頭が埋まっていた。
自分を少女が抱き寄せるようにして寝ているのだ。とっさに起き上がる。
すると華奢で露出している肌がとても美しく、黒色のセミロングの子が目を覚ます。
「体の方は大丈夫ですか?」
頭が埋まっていたことになんの恥じらいもないのか平然と体を気にかけてくる少女に、赤面した俺は答える。
「へ、平気です。」
「寝顔がっとても可愛かったです。」
投げかけられた言葉にさらに赤面してしまう。
他人に寝顔を見られるというのはとても恥ずかしいことというのを実感した。
「私はロミーナと申します。」
「俺はエボル。」
軽い自己紹介を行った後少女が口を開く。
「先程はありがとうございました。」
先程倒したモンスターたちから助けたお礼を言われる。
「い、いえ。大したことはしていないですし。」
「そんなことはありません!」
少女が声を大にして答える。す、すいませんと一言言った後、
「私たちを助けてくれたその強さとてつもないものです。」
「そこで一つお願いしたいことがあるのですが、」
自分に変わって顔を赤くした少女は言う。
「私たちのパーティーに加わってくれませんか!?」
「え、い、いいんですか?こんな最低ランク’’駆け出し‘’の俺が?」
散々断られたパーティー参加に対して希望などなかったから嬉しかった。
10年冒険者やって最低ランクだから周りからは見放されていた。
「ん?あなたが最低ランクのはずがないです。」
「だって私たちを襲ったモンスターは’’聖者’’級の冒険者から倒せるモンスターです。」
「!?」
驚きが隠せない。’’駆け出し’’の俺が’’聖者’’級のモンスターを相手に勝ったというのか。
しかしギルドからもらったランクは間違いなく’’駆け出し’’だ。
少女は言う。
「改めて。私たちのパーティーに加わってくれませんか?」
初めての仲間ができる喜び。
「分かった。加わるよ。」
「ただし、一つ条件がある。」
「いっしょに勇者を目指してくれ」
「はい!」
「いいわ。」
「もちろんっ。」
部屋の隅、物陰から二人の少女が飛び出した。
この日’’俺たち’の契りは交わされた。
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