龍 対 獅子
久しぶりに書くと、蛇足感がすごい……
獅子は龍に向かって猛スピードで突っ込んでくる。研ぎ澄まされた爪は、触れるだけで簡単に皮膚を切り裂いてしまう。
龍はそれを慎重にかわしていく。全ての攻撃を見切り、絶対に当たらないようかわし続ける。
「龍……お前はいつもそうやってふざけやがる……!! 最初っから能力を使わねぇで……そう言う所が気に食わねぇ!」
獅子の感情が高まり、更に高速で切りかかる。
上から鋭く振り下ろされた爪を、龍は相手の懐へ入ってかわす。腕を根元から持ち上げ、それを振り回し思い切り壁の方へ投げ飛ばすと!獅子は壁にのめり込み無防備な姿を晒してしまう。その間に龍は力を溜め、能力の発動をする。
「画竜点睛!」
龍の目は蒼く煌めき鋭い眼光を放つ。睨まれた者を一蹴し、如何なる者も寄せ付けない力を放っている。
「お前にひとつ教えてやるよ、言霊を正しく使える奴が能力者である為の条件だ」
「違うぜ……てめぇ見たいにリスクを負えねぇ奴は負け犬なんだよ!! 言霊を全力で使えなきゃ能力者である意味がねぇ」
のめり込んだ壁から身体を起こし、瓦礫は周りに散らばって落ち、砂埃が小さく舞う。
「お前に与えられた屈辱……ここで返してやるぜ」
さっきよりも力強く、そして速く切りかかる。周囲の床はボロボロに裂け、机は鉄くずへと還り、蛍光灯は割れている。
そのひとつひとつを未来視で先読みし、鍛え上げた肉体で余裕をもってかわしていく。
「やはり鍛錬は大事だな、どれだけ良い能力を持っていても貴様みたいな貧弱な身体じゃ使いこなすことはできないからな。」
「ほざけ……!! これで終わりだと思うなよ…!」
獅子は床に足をのめり込ませ、全速力で龍へと突っ込む。龍は体勢を低くし攻撃を避け、思い切りアッパーを喰らわせる。宙に浮いた獅子は体勢を直すこともできないまま追撃を許してしまう。まさに手も足も出ない状態。
よれよれになった獅子はなおも立ち上がる。
噛みつき、切り裂き、体当たり、投擲、目くらまし……
思いつく様々な攻撃を龍に仕掛けるが、その全てをうまくかわされ、その度に反撃を喰らう。
「お前じゃ無理だ、諦めて降伏しろ」
龍は蔑むように言い、もう興味がないと言わんばかりに横を通りすぎて上の階へと行こうとする。
「おい、龍……まだ終わってねぇよ……」
ボロボロになった獅子の目には、まだ闘志が宿っている。 なにも通用しないと思い知らしたはずの龍は困惑する。
獅子は力を身体全体に込めると完全な獅子へと変わり、意識は無くなりかけている。
「これが獅子『奮迅』だぜぇ……龍! 獅子へと姿を変えて終わりだと思うなよ、ノロマが……! 言霊を全力で使える者が能力者ってことをみせてやんよ!!」