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実力勝負

昨日から投稿を始めた作品!

2話目になりました〜。面白くかけるよう頑張るので読んでください…!

 先生が居なくなった教室に、班員の3人は教室の隅に集まり作戦会議を始める。誰かが聞いてるわけでもないのになぜかヒソヒソ声で話しはじめる。


「相手が先生一人なら、なんとかすれば勝ち目ありそうだよな?」

「でも、作戦はあった方がいいよね……。先生の能力がなにかはわからないからなぁ」

「僕は連携が取れるようにするべきだと思う。そのために臨時のリーダー的なのを作るべきだと思う」


 3人は自分の意見を言い合い、相手の意見を聞こうとはせずなかなか纏まりそうにない。

 そのうち時間も経って、リーダーは俺がやる。私がやる。と、隼人と花梨の言い争いにまで発展する。

 裕太は二人に任せると言って、二人の言い争いをギャラリーのように高みの見物を始める始末だ。


「俺がリーダーをやる!! 指揮を執るのは俺だ!」


 隼人は自分自身がリーダーに向いてると思うからやると言っているのではない、ただただ自分が目立ちたいと思ってるから言っているだけ。要するに自己中心。


「なんでそんな事言うの!? 私は指揮を執るのに役に立つ『四字熟語』を持ってる! 今回は私に任せてよ!」


 花梨はリーダーに適した四字熟語があると主張し、裏付けを示す。しかし聞き分けのない隼人のせいで話は平行線を辿ることになる。


「裕太! 絶対に俺の方がいいよな?」

「私の方がいいよね!? ね! 裕太くん!」


 意見を求められた裕太は、待ってましたと言わんばかりに微笑みひとつの提案をする。


「ならいっそ2人で勝負してみればいいと思うよ? 手の内も知れるし、連携も取りやすくなるし強者も決まるとと思って一石三鳥だよね?」

「俺はいいぜ? もちろん遠慮はしないからな」

「隼人の方こそ、女の子だからって遠慮は要らないからね?」


 裕太は満足気な顔をすると、机を運びはじめる。隼人と花梨もそれに合わせて机を運び教室内に簡易リングを作る。リングの対角線で2人は構え、戦いの準備をする。

 ルールはリングから出るか、ギブアップしたら負け。という簡単なものだ。


 リングを作り終わると裕太は教卓の上に座り、ゆっくり腕をあげて指を鳴らす。それが合図となり、二人は距離を一気に詰める。


 リングの中央で隼人は思い切り左腕を素早く伸ばし、花梨の顔面を目掛けて殴りかかる。しかし花梨はその拳を受けとめ、空いている方の腕で隼人のお腹を殴り、それは隼人に直撃して一瞬お腹を丸める。


「くそっ…」

「口ほどでもないね〜」

「っ……疾風迅雷ッッ!」


 隼人は力を解放し両腕両脚に雷を纏わせ、流れだした電気は花梨を気迫で圧倒する。さらに隼人は、疾風の力で相手の後ろに一瞬で回り、背後から頭を殴りにかかる。

 完全な死角、さらには一瞬の出来事だったが、花梨はそれをしゃがんで回避し、両腕をしっかり床に付けて、腕立てのような行動をする。その反動を利用し花梨は思い切り脚を伸ばし、隼人の顎を目掛けて蹴飛ばす。


 隼人は困惑していた。一瞬で花梨の死角に回ったのに回避され、更に的確に攻撃までしてきた。なぜそんな芸当ができるか分からない。一瞬では処理することが出来ずに隼人の頭はパンク寸前と言ったところだ。


 蹴られた衝撃で後ずさりした隼人は、怯むことなくもう一度攻撃をしかける。その刹那隼人の視界は真っ暗になり、平衡感覚を失い、一瞬立ち止まる。


(花梨の能力か……?)


 その事が頭によぎる。

 目を開けているのに前が見えない。もしかしたら開けていないのかもしれないがそれを確認する術は今はどこにもない。


「勝負ありね!!」


 花梨は体格差をも気にもせず、狼狽えている隼人の事を持ち上げてリングの外へと放り投げる。

 隼人は何も出来ないままリングの外にいた。


「まだ終わってねぇ……」


 諦めの悪い隼人は負けたことを認めようとしない。すぐにリングに戻ろうとするが裕太に肩を抑えられて止められる。

 花梨はそんな隼人を見てドヤ顔とダブルピースで煽っていく。

 隼人は思いっきり床を叩くと、いじけた風にしながら新リーダーに指示を仰ぐ。


「……リーダーはなんか作戦あんのかよ」


 ダブルピースをしていた花梨は唐突に質問をぶつけられて拍子抜けした顔をする。黒目をぐるんぐるん激しく回転させ、そのうち冷や汗まで流れるようになり、1分ほどの沈黙の後にひとつの答えが導かれる。


「ぶっつけ本番……? じゃ、ダメ……だよね」

「じゃあ俺がやる!!」

「それはダメ! さっき負けたでしょ!」


 試合の決着は付いたのに話の展開は振り出しに戻ってしまう。

 あっちでワーワー、こっちでワーワー……。

 流石に見兼ねた裕太は、花梨にひとつの作戦を耳打ちしてあげる。初めは驚いた表情をするが、納得した顔で頷き、その作戦をあたかも自分自身が思いついたかのように隼人に提案する。


「ねぇ隼人。私たちなら必ず勝てる」


 必ず。と言った花梨の目は真剣そのものである。心做しか裕太も花梨と同じ顔をしている。


「私の能力……それは『以心伝心』」

以心伝心:

【意】文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合うこと

【技】触れた相手と五感を共有できる能力。能力者の得意不得意によって五感のどれに強く訴えかけられるかが変わる。(対面情報系)

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