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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

麦酒探偵事務所から読者への暗号解読依頼

作者: 隠涙帽子

趣味で作りました。

初めて作った暗号ではございますが、もしよければどうぞ!

 2018年、十月十日。

 東京都中央区。

 晴れやかな雑貨ビルが並ぶ中、一棟の寂れたコンクリートビルがあった。

 三階の窓には、長々と『暗号解読専門・麦酒むぎざけ探偵事務所』と書かれている。

 その名の通り、ここは被害者のダイイングメッセージや怪盗からの予告状などのわけがわからない暗号の『解読』のみを取り扱う探偵事務所なのだ。

 そして今日も、新たな暗号が迷い込んでくるのである――




J17:100 E9:1111 M13:10111 J13:01001 B11:0110 B13:0110 O7:0000 O15:10000 H9:0100 E16:10110 H12:0110 N7:1110 H15:11100 E11:0111 J15:10011 M9:0110 O11:1001 D13:1110 J10:0010 L13:10001 J8:0101 O16:01011 C9:0100 H17:10100 O9:1100 E13:1010 I17:00000 L11:1110 E15:00100 H7:0010 N13:10110 J16:01100 I7:1110 C10:0110 M10:0110 H10:0110 E17:10111 N8:1100 E12:1111 O8:1111 H14:00111 O10:1010 H13:0111 E10:1111 J14:01101 L12:1110 E7:0110 J7:0010 O14:00011 H16:01010 D8:1110 P13:11011 H8:1110 D7:0001 O12:1010 J9:0111 E14:11010 H11:0100 E8:1100 O13:10110 B12:1110 J11:1100 C13:0010 J12:1100 F13:1110




 ガラステーブルの上には、上記のような0やら1やらアルファベットやらが並んだ白い紙が置かれていた。そう、暗号である。

 その暗号を囲み、数人の男女が顔をしかめている。

 そのうち、一人のビジネススーツを着た男性が訊いた。

 

「こちらが……今回、解読をご依頼される暗号ですか? さくらさん」

 

 羽縛はばく 秋田あきた。麦酒探偵事務所の事務員である。


「はい。ぜひとも、解読をお願いします。一ヶ月前に亡くなった兄が、唯一残した……大切なものなんです。きっと何か、重要なことが書かれているんだと思います」


 男性とテーブルを挟んだ向かい側の女性が返した。淡い桜色のワンピースを着ている。

 後藤ごとう さくら。今回の依頼人である。


「……つってもよぉ」


 テーブルの脇に立っていたむさくるしい筋肉質な男が口を開く。工事現場から寄り道してきたような格好をしているが、一応こう見えて、麦酒探偵事務所の警備員である。

 名前は……えーっと、ごめん忘れた。


「0と1だけじゃあ、解読のしようがねぇだろ。ヒントらしきもんは、何も書かれていないし……。他に紙はねーのか? 本当にこの一枚だけかよ」

「封筒の中に入っていたのは、この一枚だけでした。封筒自体には、何も書かれていませんでしたし……」

「嬢ちゃんの兄ちゃんは、なんか言っていたりしねーか?」


 桜は首を横に振って答えた。


「暗号に繋がりそうなことは、何も……」

「ったく、使えない依頼人だなぁ!」

「わめくなよ警備員。っていうか、なんでおっさんまで暗号を解こうといるんだ? キッチンでも警備しときな」


 警備員が頭をかく向かい側で、髪の一部だけをターコイズに染めた若い女性が言う。

 八木やぎ 七葉ななは。麦酒事務所のアルバイト生(高校生)である。

 左手には棒付きキャンディーを持っていた。


「んだとぉ!?」

「よく見ろよおっさん。この暗号、別に0と1だけじゃなくて、他の数字と英語も書かれているじゃん」

「むっ……それじゃあ、お前は解読できるのか!?」

「J17が100であることは分かった」

「それは……えーと、つまり…………ほぼ解読できていないってことだろぉ!?」


 秋田が割って入る。


「二人とも、落ち着いて。七葉が言う通り、J17は100を示しているのだろう。そして警備員が言っていたことも確かで、ヒントが少ないのも事実だ。実際問題、僕らはまだ、この暗号が何を意味しているのかの予測もできていない。場所を表しているのか、人の名前を隠しているのか、はたまた文章か……。桜さん、亡くなられたお兄さんは、普段は何をされている方なのでしょうか?」

「兄は……ほぼ毎日、部屋に籠ってはパソコンをいじっているような人でした」

「ニートかよ!」

「警備員は寝室でも警備していろよ」

「いえいえ、兄は株でしっかりと儲けていたので……」

「株ですか。趣味としては、どのようなことを?」

「兄はよく『小説家になろう』という小説投稿サイトを見ていました」

「ああ、才能豊かなライトノベル作家を何人も世に送り出しているあの伝説の小説投稿サイトですね」

「わざとらしいぞ、秋田事務員……」


 その時であった。


「アンタたちもまだまだね!」


 そんな生意気そうな幼女の声が事務所内に響いた。


「こ、この生意気そうな幼女の声は!」

「こ、この生意気そうな幼女の声は!」

「こ、この生意気そうな幼女の声は!」

「え、誰?」


 四人が一斉にとある方角へと振り向く。

 そこには黒塗りのご立派な机があった。机のうえには『麦酒探偵事務所所長・麦酒むぎざけ 小河梨おかわり』と書かれた金色の名札が置かれている。

 そして黒色の柔らかそうな椅子には、金髪碧眼の幼女がいた!

 秋田がソファーから立ち上がって叫ぶ。


「所長、もうこの暗号が解読できたのですか!?」

「完全には解読できていないわ。でも、解読の方法は完全把握承知の助よ!」


 警備員がガッツポーズを決めて言う。


「さすが麦酒ちゃん、俺らに解けない暗号をすいすい解読していくぅ! その姿にしびれる、あぁこがれるぅぅぅぅぅぅッ!!」

「もっと拝みなさい!」


 七葉が棒付きキャンディーを噛み砕いて叫ぶ。


「うぎゃあ! キャンディーの棒が歯と歯の間にぃ!!」

「牛乳を飲みなさい!」


 依頼人である桜が立ち上がって言う。


「もう、この暗号が解読できたのですか? 私はもう何週間も前から解読しようと苦悩しているのに!?」

「ええ、そうよ! 今すぐに依頼費を用意することね!」

「まだ信じられません。この暗号は、一体どのようなことが書かれているのですか?」

「詳しい内容まではわからないわ。でも、さっき言った通り解読手順は理解できたし、おおよその内容も推測済みよ!」

「では、今すぐに解読を……!」

「それは――この料金が準備できたらね!」


 幼女は黒塗り机の上にバンッと紙を叩きつけた。

 もちろん、暗号が書かれた紙とは別の紙である。

 秋田は歩み寄って紙を手に取る。

 そして、その紙に書かれた内容に目を見開いた。


「所長、これは……いったい」

「これが真実よ」

「…………わかりました。少々お待ちを……」


 秋田は紙を折りたたんでは内ポケットにしまい、壁際のロッカーを開けては一枚の紙を取り出した。

 そして依頼人の向かい側に腰を下ろし、胸ポケットからボールペンを出して紙に書いていく。

 その紙を、依頼人に差し出す。

 桜はソファーにそっと座り、目の前に提示された金額を数える。

 そして驚愕した。


「こ、こんな金額! 今の私にはどうてい払えません!」

「こちら麦酒探偵事務所は、暗号解読を専門にしているプロフェッショナルです。ですので、料金は他の探偵事務所と比べて自然に高くなります」

「でも、でも! こんな高値、今すぐには払えません。後払いでしたら、必ず払えますので……」

「後払いですか……何日ほどで支払えますか?」

「三日はあれば、必ず、いや絶対に払えます! ですので、それまで待って下されば!」


 七葉は麦酒のほうを振り返って聞いた。


「って言っているけれど、どうすんの?」

「うーん、後払いは無理だね。でも、ヒントなら特別に無料で提供してもいいわ!」

「ヒント?」

「そう、ヒントよ! 私が今から四つのヒントを言うから、それを参考に解読してみるといいわ! 読者の皆さんもよ!」


 これより先には、暗号を解読するためのヒントがある。

 なるべく自力で解きたい方は、ここでページを閉じることをお勧めしよう。








 *ヒント1。

 まずは0とか1とかの二進数よりも先に、J17などの部分、つまりは「:」の左側について考えてみよう。


 *ヒント2。

 アルファベットは一般的に、横書きである。また、左から右へと読む。




「なるほど! 解読の仕方がわかりました!」


 依頼人である桜はソファーからスッと立ち上がると、顔を明るくしながら言った。


「ありがとうございます。皆さんのおかげです! さっそく家に帰ってゆっくり解読してみます! 表計算ソフトでもいいんですよね?」

「ま、そうだね。そのほうがしやすいかも」

「では、失礼します!」


 桜は礼を言うと、そそくさと出て行っていまった。


「……いいのですか? 逃してしまって」

「いいわ。むしろ都合がいいわよ」

「んで、麦酒ちゃん。まだヒントは二つも残っているんだろ?」

「まだいたのか、警備員」








 *ヒント3。

 0と1はまとめて解読しよう。復号キーとかは特になし。


 *ヒント4。

 とあるサイトのURL。




「ここまで言ったら、さすがに分かると思うわ。あとは実践するかどうかね!」

「では、僕は『後片付け』のほうを……。七葉さん、仕事です」

「おっ、やっとかよ! んじゃ、行ってくる」

「警備員さんは、麦酒所長の子守りを――警護をしてください」

「おう、まかしとけ」

「秋田、アンタ今、子守りって言ったのかしら?」


 暗号の先へと続く……。

ぜひ解読してくださると嬉しいです!

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[良い点] 解けた瞬間の達成感。 [一言] やっとできたー。 もう、3日くらい悩みました。サイファとかコードとか最頻出とか調べてた私を殴りたい。 答えもすごく良くできていると思いました。 ありが…
[気になる点] 分かりませんでした。 正解が知りたいです。 [一言] お時間があれば私の作品、「裸の王様」を読んでみてください。
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