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“人間”を思い出したのはケイラだった。
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ー何故、彼女はせっかく私が与えた幸運を受け入れなかったのだろうか。
灰野レイがとった行動が、幾多の本を読み重ねてきたケイラにはわからなかった。
何故ならケイラは“人間”と関わって生きてこなかったから。
彼女が最後に“人間”と会話したのは何年前になるだろうか。
ーシンデレラストーリーなんて、女性の憧れだからホイホイ引っかかると思ったのだが…
考え込むケイラ。
答えは見つからない。
ー人間って、フクザツなんだな。
己が人間であることを差し置いてケイラは失笑した。あるいは長く生きすぎて己が人間であることを忘れているのか…。
「面白い。私にもっと“人間”を教えておくれ。
次の主役は君だ、双葉俊…」
次から新編スタートです。
見てくださる方、ありがとうございます。
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