選ばれちゃったのは“地球”だった。
*
突然役目を引き継がされて、もう何百年も経つ。
不思議なことにここにいると“幼いケイラ”のまま、老けないんだ。
ここにいる何百年を全て読書に費やしてきた。
けど
いくらこの世の全知を知っても、何故この場所が存在するのか解らない。
私は、どうして、ここにいるんだろう。
見つからない答えを探して、私は読み続けた。
そんな毎日を繰り返していると、私の役目の終わりが近づいてきた。
本の読破が近いのだ。
もうじき消えるのだ。
この世の理も知らずに。
ーまだ私は消えたくないの。
切羽詰まった私は本を読み返すことを決めた。
それも、“童話”から。
昔話とか、そういう類でも構わない。
とにかく、本を読み始めた頃の私に還りたかったんだ。
本の面白さを教えてくれたのは童話だったから。
でも、ただ読むだけじゃつまらないね。
この図書館がある世界とはまた異次元の、“地球”という星が存在する次元がある。
そこに住む人々に、童話の登場人物の運命を与えてみよう。
素敵な結末もあるし、後悔するようなラストもあるかもしれない。
でも、新しい童話が読みたいの。
うん、ちょうどいい。
日本の人々に協力してもらおう。
私は千里眼を使った。
日本には、一億人以上の人がいる。人財が豊富ね。
主役は選べるが、どの童話になるかは解らないようにした。その方が面白いじゃない。
最初だから、無作為に選ぶ。
「…最初の主役はあなたよ、灰野レイさん」
私が呟いた瞬間、意識は“地球”へ跳んだ。
いよいよ次回からリメイクスタートです!
今まではケイラ視点でしたが、次回から完全に視点が変わります。
ファンタジーなようで、現実的な作品にしたいです。