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魔法司書さん的童話考察  作者: セルバ
1/11

「こんにちは」と言ったのは金髪の彼女だった。

下町狐幻絵巻が終わってないけどやっちゃいました。


短編オムニバスが好きなので。

童話現代リメイクの方は3話くらいから始まりそうですが


少しでも読んでいただけたら幸いです。

「こんにちは。貴女が役目を受け継ぐ時がきたわ」


「えっ…?」





突然言葉を告げたその女性はとても綺麗で、幼い記憶にも新鮮に残っている。


ここは地下図書館。


とにかく広くて、蔵書が多くて、そこは私の世界そのものだった。



時間が空くと度々訪れる図書館には必ずその女性がいた。


サラサラの蜂蜜色の髪をなびかせて、いつも本に視線を落とす。

髪を隙間からふと見える横顔は、幼い私でも惚れ惚れする程だった。




その日も、いつもと同じ日だった。


図書館に来て日が暮れるまで本を読む。

いつも通り夢中になっていると不意に本に影が落ちた





「こんにちは。貴女が役目を受け継ぐ時が来たわ」


「えっ…?」



私があっけにとられていると彼女はクスリと笑う。


「貴女が来るたびに、他の利用者が一人もいないのを不思議に思ったことはない?」


ある。


けど静かなのはけっこうなので、気にしてなかっただけだ。



「貴女がここに来た時から定めは決まっていた。だって、この図書館司書を引き継ぐ運命を持つ者しかここは見つけられないんですもの」


憧れていた人の職業につけることが、その時はただ嬉しかったんだ。

思わず顔が綻ぶ。

そんな私の頬を彼女は両手で包み込んだ。



「ここのすべての本を読破した時、役目は終わる。この図書館にはこの世の全知が詰め込まれている。読み終えた司書はここの本として生まれ変わり、どこかの本棚にひっそりと収まるのが最期。もうじき私はいなくなるの」



「急に、言わないでよ…」


「ごめんね。あとは頼んだよ…」



それが、私が聴いた彼女の最期の言葉だった。

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