第20話 第3の街【ドリット】と掲示板
後半から掲示板に移ります。
遺跡から【ツヴァイト】の街へ戻ったが、そのまま大通りを抜けて反対側の北門へ直行したコーディー。
軌跡の調査というやり残した事を終えた彼は、他のプレイヤー達との差を縮める為、早速第3の街【ドリット】へと向かう。
広場や街中を進み門を抜けて彼は街を出ると、《索敵》のスキルを使い辺りを警戒しつつ平原を歩く。
魔物使いや召喚士ではない為、騎乗用モンスターが居ない彼は移動に不便を感じるが、もうじき行われるアップデートで転移装置となるワープゲートという物が街に設置されると知っていたので、深くまでは気にせず気持ちのよい風を身体に受け軽快に進む。
しかし、コーディーとしてはワープゲートではなく馬車のような物が望ましかった。
移動が不便とは思っていたが、省かれるのは流石に風情がないと思っているのだ。
せっかくのリアルなゲーム世界。
景色を楽しみながら移動をしたいのだ。常にモンスターを警戒しつつの移動は面倒だが、省略をしたい訳ではない。
公式にそういう旨の内容でメッセージでも送ろうかと考えつつ、彼は黙々と足を動かした。
第3の街への道中は平原から徐々に草が失われているようだ。
無いわけではないが、明らかに少なくなっている。コーディーのような採取を行う者からしては、新たな採取物が少ないのは困ってしまう。
だが、代わりに火山フィールドが存在するのだから、鉱石類は多そうだ。
(あれが火山フィールドでしょうか?)
遠くに険しく巨大な山を見つけた。木々が全く生えておらず、只々移動が辛そうな印象をコーディーは抱く。
場所的に【ドリット】の街を抜けた先にあるのだと分かった。
火山フィールドはモンスターの強さが一段と強力になっており、戦闘場所が山道という状況も相まって多くのプレイヤーを苦しめている。
流石にソロであるコーディーも苦戦しそうだが、ただのモンスターに苦戦するコーディーが想像し辛い。
最初の頃とはもう、比べ物にならないほど彼は凶悪になっている。
プレイヤースキルやレベルが高い訳ではないが、使用するアイテムが強力過ぎる。
元々回避特化を目指していたので、攻撃を避ける事に関しては得意となっており、相手に状態異常を与えじわじわと削ればいくら強かろうと勝つ事は出来るだろう。
それに、爆弾やストレージに眠っている新たなアイテムもあるので、彼の戦闘方法は相当エグい。
コーディーが景色を楽しみながらマップを見つつ街までの道を進んでいると、1つのパーティーが森フィールドにも存在していたフォレストウルフと戦闘を行っていた。
1匹だけのフォレストウルフを5人パーティーで囲んでいる様子は、集団リンチの様に思えて仕方ない。
こんな現場を見ればフォレストウルフに同情しそうだが、コーディーがそんな感情を抱くはずはなく、ただ珍しそうにその戦闘を見ていた。
森フィールドに居た個体より強く、5人パーティー相手にも関わらず果敢に戦っているのに違和感を生じたコーディーは《鑑定眼》を使いフォレストウルフを見てみる事にした。
(フェイクドッグ……? あれが偽装スキル持ちだというモンスターでしたか)
鑑定して読み取れた情報から5人パーディーを相手に戦っているフォレストウルフが、"フェイクドッグ"という名前のモンスターであった事と"偽装"というスキルを所持している事が判明した。
姿を偽り、相手を油断させて隙を突いてくるのだろうとコーディーは解析する。
そうして観察しているとパーティー側が決定打をフェイクドッグへ当てる事に成功。
するとフェイクドッグは地面に倒れ、フォレストウルフに姿を変えていたがその偽装が解けて、本当の姿を現した。
緑がかっていたフォレストウルフの身体は徐々に淡い赤色の光を帯びている犬の身体に変わり、偽装が完全に溶けたフェイクドッグは大型犬程のモンスターだと判明する。
フェイクドッグは既にフラフラの状態で、それでも戦おうと立ち上がった。
もう結果は見えているのでコーディーは観察を止めて、歩みを始める。彼が立ち去ったその時、フェイクドッグはとどめを刺されアイテムへと変わった。
彼は《索敵》スキルを使いモンスターとの戦闘を避けつつ、比較的安全に【ドリット】街へと向かう。
数回戦闘はあったものの、苦戦はすること無くコーディーは第3の街に到着した。
空は少し赤みがかっておりもう直、闇が下りてくるだろう。
建物が第1、第2の街と比べて新しくなっていると気づいたコーディーは、街並みや全体の雰囲気を楽しみながらも大まかに建物の場所を把握する。
建物の場所は今までの街とあまり変わりなく、中央広場の近くに宿屋もあり冒険者ギルドもあった。
コーディーは冒険者ギルドの隣に位置する道具屋に入り、数の多い素材を売りつつ地図を購入し、マップを表示する。
(アトリエにはこの街からも行けますね)
マップにアトリエの4文字がきちんと記されている。
それを見つつコーディーはアトリエへと向かい、とある場所まで進んだ時、視界が切り替わった。
転移後、彼は外観が黒色な自身のアトリエへと入り、早々に錬金釜へ視線を向ける。
(さて、どうでしょうか……?)
時間的に錬金釜で作成していたアイテムが完成しても良い頃だ。
錬金釜の上方に表示されているウィンドウには『アイテムが完成しています』と記されていた。
それを見て、また失敗か、遂に完成したかどうなのだろうと期待を込めて、彼は錬金釜へと近づく。
すると、目の前にウィンドウが表示されコーディーはウィンドウを操作した。
『虚ろなゴーレム』
起動するには劣化版賢者の石が必要。
MPを使用せず作る事に成功したが、その所為で通常より脆い。
「やっと成功しましたか……」
だが、どうやらゴーレムの作成にはMPが必要だと今更ながら知った。
しかし、MPはどうすれば使用できるのかコーディーは分からない。
(MPを使用するには多分、錬金術のスキルレベルをもっと上げなくてはいけないかもしれませんね)
そこで確認の為、コーディーは自身のステータスを表示した。
コーディー
職業 錬金術師
Lv37
HP 100/100%
MP 100/100%
STR 10
VIT 10
AGI 119
DEX 60
INT 10
満腹度 55/100%
スキル
《錬金術 Lv19》↑18UP《調合 Lv30》↑5UP《投擲 Lv29》↑7UP《採取 Lv30》↑7UP《鑑定眼 Lv27》↑8UP《索敵 Lv22》↑10UP
満腹度が減っているので1粒で満腹度30%回復できる苦い丸薬、兵糧丸を食べてそれをお茶こと、ディフェンスポーションで流す。
最近はアタックポーションとディフェンスポーションはお茶としての使用しか、しなくなくなりつつある。
アタックポーションは前まで与ダメージの上昇が5%だったが今では10%にまで上昇し、ディフェンスポーションの方は現在、被ダメージ10分間だけ15%減少させる事が出来る様になった。
非常に便利なアイテムだが、お茶代わりにしか使わないのは何だか勿体無い。
それもこれも、無味無臭な液体ではなくお茶の味がついているのが悪いのだ。
実はアタックとディフェンス以外にも"スピードポーション"というのも調合で作り上げた。
3分間、移動速度及び攻撃速度30%アップするという代物だ。
一定まで行くと、強化するにはやはり新たな素材やアーツが必要だったりする。
だから、ゴーレム作成に使用するMPの方も《錬金術》のレベルが上がれば覚えるアーツが必要だろう。
後1レベル上がるだけで、20に到達するので覚える可能性が高そうだ。
【ミリアド・ワールド・オンライン】の公式に記されているが、そろそろ運営が初のイベントを開催するらしい。
どのような事をするのか分からないが、コーディーも気合を入れて開催日までにもっと強力なアイテムの作成に取り組む予定だ。
開催場所はここ【ドリット】の街なので、彼は《錬金術》のスキルレベルを早速上げる為に錬成を開始した。
【MWO】ミリアドのイベントについて語ろうぜ1
40:名無しの生産職
ドリットの街で全裸待機してるでござる。
41:名無しの生産職
》38
運営さんこの人です
42:名無しの戦闘職
》38
幼女たんが可愛いのは認めるが、ストーカーはあかんて。
43:名無しの生産職
イベントがドリットの街で開催するってことだから、有名プレイヤーが凄い集まってきてる。
44:名無しの戦闘職
初イベントでどのような事が起きるのか楽しみだ。
45:名無しの戦闘職
ストーリーについて考察するスレの方で話がごちゃごちゃしてるんだが。
どうやら荒らしが掻き乱しているらしい。
46:名無しの生産職
いや、多分荒らしじゃないと思うんだが。
まあ、話はごちゃごちゃしてるけどさ。
47:名無しの戦闘職
俺、ストーリーを全く進めていないんだが……。
48:名無しの生産職
ミリアドの場合、ストーリーはゲームをより楽しむ為の要素って感じだから、別に良いだろ。
公式でもそう言ってたし。
49:名無しの生産職
イベントが開催されるのはリアル時間で数日後だろ。
楽しみすぎてハゲそう。
50:名無しの戦闘職
》49
お前、元々髪ないだろう。全く何言ってんだよ。
51:名無しの生産職
はい、ざんね~ん。最近植毛しました~。
52:名無しの戦闘職
それ、髪なかったって言ってるようなものじゃねーか!
53:名無しの戦闘職
せめてゲーム内ではフサフサでありたい。
ログアウトして驚くんだよな。俺って髪なかったっけ? ってさ。
無いからゲームでフサフサにしてんだよ!
54:名無しの生産職
頭髪だけ抜けていくんだよな。
他はボウボウだってのに。
55:名無しの生産職
ミリアドって身体の不自由な人にも希望を与えるし、髪が理不尽な事になっている人にも精神的な希望を与えてくれるからマジ有能。
脳が勘違いして、また髪生えてこないかな……。頭が寂しい。
56:名無しの戦闘職
また髪の話してる。
57:名無しの生産職
髪の神様フッサリヌス様をいつも拝んでるのに、髪が生えてこない。
やっぱり適当に考えた神じゃ無理なのか。
58:名無しの生産職
ヌスとかウスを後ろにつければそれっぽく見えるけど、ギリシャ神や古代ローマ人っぽくしかならないと思うぞ。
59:名無しの戦闘職
やっぱ戦いメインのイベントかね?
生産職と戦闘職が両方共活躍できるイベントだろうけど、1つの街をまるまる使ったりするのか?
60:名無しの生産職
街にモンスターが攻めて来るっての考えたけど、そもそも無理だよな。
街にはバリア張ってあるし、運営が態々NPCを危険に晒したりはしないだろうしさ。
でも、NPCに攻撃が通らないように運営なら設定出来るか。
61:名無しの戦闘職
ドリットにいるプレイヤーを全員何処かに転移とかして、イベント行いそうだな。
62:名無しの戦闘職
戦闘系のイベントは嫌だな~。
ドリットまで来るのにもモンスターが強くて苦戦したってのに。
フェイクドッグがうざいのなんの。
63:名無しの生産職
ドリットからモンスターが強くなったのは確かだな。
火山フィールドはそこいらにいるモンスターの強さがおかしい。
連携が甘いパーディーなら簡単に全滅するな。
64:名無しの生産職
イベントが楽しみすぎるわ。
今の内に有給申請しとかねぇと。
12話時点でコーディーのレベルが25
AGIは91
DEXは50
《錬金術はLv1》《調合Lv25》《投擲Lv22》《採取Lv23》《鑑定眼Lv19》
こうなってました。




