表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/45

第18話 遺跡のトラップ

少し短いです。

 遺跡内部は割りと綺麗になっており、壁には明るくする為に松明たいまつが配置され、そのお陰で通路がよく見える。。

 高さが約4メートル程で横幅が3人余裕で通れる程だろうか。

 入り口からまっすぐに道があり、そこをコーディーは進んでいく。


「良いですね……心が安らぎます」


 彼の口から自然と出た言葉だ。本心から思っているのだろう。

 歴史を感じさせる建造物にコーディーは心の底から興味を惹かれている。

 だからだろう。ふと耳に入ってきた他のプレイヤーの声が一層煩わしいと感じたのは。


「ここすっげぇな!」


「これは絶対にミリアドのストーリーに関係あるよ!」


「よっしゃ俺らが遺跡に蔓延る謎を解明してやるぜ!」


 先客がこの遺跡に居たようだ。コーディーはその声に苛立ち、少し進んだ先にプレイヤーが居るのだと分かると、なるべく音を立てずに先へ進んだ。

 手には2種の状態異常を与える煙玉を持っている。


 これは明らかに他人への妨害行為だ。コーディーはこれを人としての格を落とす行為だと理解しているが、先っちょだけ先っちょだけだからといった感じで行おうとしていた。

 だが、彼が事を起こそうとしたその時、視線の先に存在する広がった空間から辺りへ響くような地震が起きる。


「な、何だ!?」


「何かのイベント!?」


 そんな声がコーディーの耳に入る。彼が壁際に寄って身体を伏せ、地震を耐えているとそれは姿を現した。

 一定間隔で起きる地震と重なるように、遺跡の壁が上がるような重い音が辺りへ響く。

 コーディーは何が起きているのか知る為に、通路から広い空間を覗いた。


(あれは、ゴーレム……!?)


 全長6メートルはあるだろう巨大なゴーレムが1体、せり上がった壁から出てきたのだ。

 コーディーの視界の先に居る3人のプレイヤー達は、ゴーレムの歩みによって起きる地震で体勢を崩している。

 ゴーレムの大きさから通路を通る事は出来ないだろう。


 プレイヤー達は地震の中それを理解して、四つん這いや体勢を立て直しコーディーの居る方へ移動しようとしたが、彼らにその事が分かるのならコーディーにも判明している。

 そして、彼の手には毒煙玉と麻痺煙玉というアイテムが握られている。

 ということは、後はお察しだろう。


 コーディーは膝を付いている体勢から目の前に居るプレイヤー達へ向け、いち早く煙玉を何個も投擲していた。

 投擲後は姿を見られないように後方へ素早く下がる。


「ゴーレムの次は遺跡の罠か!?」


「どうなっているのよ!?」


「初見殺し過ぎるだろ!」


 3人のプレイヤー達は叫ぶが、いくら大声を出しても助けてくれる者など居ない。

 寧ろとどめを刺す為にコーディーは色々な策を考える為、頭の中をぐるぐると動かしていた。

 紫色と黄色の煙がゴーレムの居る部屋に広がり、3人は次第に動けなくなる。

 そこへゴーレムが背後からだんだんと近づいてくるのだ。


 通路の中ほどに居たコーディーの耳に一際大きな叫び声が届いた後、プレイヤー達の声は聞こえなくなった。


(まさか、あのような罠があるとは……)


 コーディーの前にプレイヤーが遺跡内へ入っており、運が良かっただろう。

 ゴーレムの歩みによって生じる地震は少しした後に鳴り止んだ。


(それにしても遺跡を見た事で、ついはしゃいでしまい、正常な判断力を欠いてしまってました。反省ですね)


 先客がいるからと言って即、滅殺にすぐ移行するという考えを反省したコーディーは、なるべく足音を立てずに先程の空間へ進んだ。

 通路の縁からゴーレムの居た部屋へゆっくりと顔を出し、中を見回し安全を確認する。

 すると、どうだろう。ゴーレムは既に姿を隠しており、先程まで居た3人のプレイヤーは存在していなかった。


(反対側に通路がありますね)


 このまま、まっすぐ突っ切る事ができれば、コーディーは反対側の通路へ行ける事を理解した。

 自分の速さなら問題なく行けるのだが、先程コーディーがしたのとは別に、本物の罠がないとは言い切れない。

 2種の煙玉を投げたのが偶然、罠だと勘違いされたのは彼としても運が良かったが、それにより罠の存在を懸念し忘れていた事が判明した。


 遺跡なのだから罠がないとは言い切れない。ゴーレムが壁から現れるのだって罠の1つなのだろう。

 とすれば、そっちに注意を向かせ他の罠が本命と言う風に自分はするだろうとコーディーは考えた。

 だが、自分にはまだ隠し玉があるから問題ないと結論を出して、全速力を持って通路から駆け出す。


 すると、部屋の半ばまで移動した時、壁がせり上がりゴーレムが出て来る為の入り口が開き出した。

 しかし、壁が上がりきるまでにコーディーは、前方にある通路へ行けるだろう。

 床を蹴りどんどん走って遂に通路へ抜けたその時、足元の何かを踏んだ事を感じ取った。


(スイッチ!?)


 コーディーは全力で地を駆けており、突如として眼下に現れる落とし穴にこのままでは落ちてしまうだろう。

 しかし、一瞬の動揺はしたものの穴の上に出た時、コーディーは力いっぱい落とし穴の真上(・・・・・・・)で虚空を蹴った。


(ふぅ、案外小さい落とし穴で助かりました)


 すると、彼の足はしっかりと虚空を蹴り、勢いをつけて落とし穴を飛び越え、罠を見事に避けて見せた。

 予測していた通り本命の罠が別にあった様だが、コーディーの履いている靴の前には無意味のようだ。

 彼の装備品の1つで"跳躍の靴"という安直な名前の靴だが、これは《錬成》によって作り上げた装備で、特殊な能力を持っている。


 それは先程見せたような、虚空に見えない床を一度だけ生み出すという能力。

 この靴の力を咄嗟に使用したコーディーは、虚空を蹴る事で落とし穴を飛び越える事が出来たという訳だ。

 《錬成》はギャンブル的な面もあるが、それ故に時折このような便利な装備品も出来上がる。


「さて、進みましょうか」


 一言呟いてコーディーは奥へと進みだした。

多分明日も投稿できるかも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ