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この世界を知るには、まず妹を知ること

王妹ルパニィは違和感を感じていた。

いや、違和感と言えば最初からである。

世界観の変更によって、世界中の妹は書き換えられたはずであり。


初めて城の侵入者、亜紀と戦った際には多くの勘違いを目の当たりにしていたのだ。

アキ………彼女の兄はそう呼んでいたから、名前は間違いないと思う。

それはそうとして、この世界の『爆発』―――もっとレベルが高いものだと思っていた。

この爆騎と言わないまでも、何か爆炎の形成で高等技術をやってのけるものだと思っていた。

私が嬉々として炎の虎を公開したら、亜紀という少女は表情を固めていた。

最初、それは私を馬鹿にしているのではないかと思った。

亜紀という少女が爆炎を纏うでもない、『ただの爆発』だけで戦おうとしたときは、内心、戸惑った。

さすがに城の照明を破壊され、暗闇になった時は本当に驚いたけれど。

しかしこの世界は、私が考えていたものとはきっと違うのだろう。

私の高望みしすぎというものだったのか、と、城を出た際には思った。

カリヴァが現れ、審団も同席しないまま爆発決闘(ヒウチ)へともつれ込んだ。

何をしたかったのかわからないが途中で休戦を申し出て帰って行ったけれど。

それは誰かに呼び戻された風だった。

カリヴァはベヌリの王妹で、そしてこの『青い世界』にやってきた。

ということは、この世界に新しい兄がいるはずである。

その兄に呼び戻さされたとするならば、妥当。

それはそうとして、あの他国の王妹にはまたいつでも真意を聞けるとして、今。


私は今、一度は降りた爆炎の虎の背に乗り、駆けている。

アキと、そしてマイという爆妹を追いかけている。

この青い世界の爆妹。

けれど。

「追いつけない………?」

あくまで、そんな気がするという印象だが。

マイという、『青い世界』の戦士の背を見つめ、爆歩を追いながら。

赤いものを背負っているが、この世界の衣装の類だろうか。

「城門で戦った時よりも、何か、レベルが上がっているような………」

カリヴァと一戦交え、日が傾ききったわずかな時間の間に、何かが変わった?

ここで自嘲気味に笑う。

「これも私の勘違いですね………、私は世間知らずどころではなく、この世界のことをまだわかっていない」

それに私は記憶が新しくなったばかり。

「護衛隊が来て、私が再び箱入りになるまで、あまり時間はない………」

この世界のことを、今すぐに知りたい。

それは先代の王兄との記憶を失ったことによる、渇望か。

自分の足りないものを埋めたいという、ただそれだけの気持ち。

「―――この世界を知るには、まず妹を知ること」

爆虎は雄たけびを上げ、速力を増した。

密度を増した爆炎で地を蹴る。

「少し本気を出しますか」




僕からの距離は遠いが、異常は感づいた。

王妹の虎のスピードが上がった。

しかしもう一つ。

「麻衣………あれ、そっちは違うんじゃ………!」

僕は焦った。指定された目的地の方角と、少しズレ始めている。

狭い道のほうを選び、爆発で飛んで滑り込んだ。

なんで………遠回りだ。

そりゃあ、あんな化け物みたいな妹と戦っているのだから予定通りにいかないのはわかる。

作戦を変えなければいけない、というのはあり得ることだけど。

でもまっすぐ向かえよ、ふざけてる場合じゃねえぞ。

もう既にふざけてるのか。

いいや、兄である僕は大体察している。

あいつは楽しんでいるんだ。

不敵に笑いつつ、しかし手を抜いていることはないのだ。

まったく、人の気も知らずに。

「凛ちゃん、手伝ってくれないかな………方向が違っている。麻衣のやつ、何やってんだ………もしかしたら僕の妹だけじゃ難しいのかもしれない」

僕は話しかける。

「………もう、大丈夫」

凛ちゃんは遠慮がちに言う。

………え?

「あっちにはたくさん仕掛けてある」

今度は九里坂が呟く。

「凛の爆発の能力は設置型だ」

「せ、せっち………?」

「あらかじめ仕掛けておくタイプだってことだ………異物が通ったら反応して起爆する」

使いどころがわかりにくいがな、と彼は言う。

「………」

「お前の妹は爆壁、防御型だとか、たしかあのサングラスの男は言っていたけどな」

爆発は、妹によって違う。

「これで、敵の動きは止められるかもしれない」

「え………じゃあ凛ちゃんに戦うなって言ったのは、そういうこと?」

もう既に準備が、戦う武器、軍備が整っている、というような意味なのか?

街中でずずん、という音が鳴り、建物が次々に傾き始めた。




目的地まで200メートル。

ルート、やや西にずれる。



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