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 夜の帳が落ち、夕方以上に涼しい風が吹き込んでくる。庭を臨める部屋に膳を並べ、一同は美味そうに夕餉にありついた。隆善と盛朝の膳には、酒の入った瓶子と土器も用意されている。

「ねぇ、盛朝おじさん。折角なんだし、何かお話ししてよ!」

 姫飯を咀嚼しながら紫苑が言うと、その場で虎目がツッコミを入れた。

「物を食べにゃがら話すんじゃにゃーわ、行儀の悪い」

 言われて、紫苑は口の中の物を慌てて飲み込む。その様子を笑って眺めながら、盛朝は「そうだなぁ……」と呟いた。

「何が聞きたい?」

 問われて、紫苑を初めとする子ども達は顔を見合わせ、「うーん……」と唸った。やがて、葵が「あ」と言葉を発する。

「そう言えば、俺、訊きたい事があったんですよ。けど、惟幸師匠がいる場じゃ訊き辛くって……」

「お、何だ?」

 盛朝を初めとする一同の視線が集まる中、葵は「えっと……」と遠慮がちに口を開いた。

「ほら、この前の、京中に蛇や鬼が溢れ返っちゃった事件……あの時に、惟幸師匠が京まで来たじゃないですか」

「そういや、そんな事もあったな」

 隆善が頷いたところで、葵は更に言葉を続けた。

「あの時、鬼達が言っていた……鬼達がその……惟幸師匠を食べると、寿命が延びるって言う……それで、惟幸師匠が鬼達に狙われているっていう話は、本当なんですか?」

 その問いに、紫苑の顔がハッと引き攣った。それはそうだろう。実父の命が狙われているという話を聞いて、無反応でいる方が難しい。問うた事を少々後悔しながら、葵は盛朝の方を見た。

「あぁ、あれは嘘だ」

 羹を啜りながら、盛朝はサラリと言った。あまりの淡白さに、葵と紫苑は思わず「え?」と目を瞬かせる。その反応に、盛朝は苦笑しながら椀を膳に置いた。

「惟幸の肉を喰らったら寿命が延びるなんて話、出鱈目も良いとこだ。俺に言わせれば、あいつは他の陰陽師よりも調伏が強いだけの、而立越えた元貴族で現民間陰陽師。それ以上でも以下でも、何でもねぇよ」

「け、けど……なら何で……」

「ま、俺に言わせりゃ、自業自得って奴だな」

 隆善が酒をグイッと煽り、空になった土器に手酌で更に酒を注ぎ入れる。話を知っているのだろう。虎目も、うんうんと頷くようにしながら魚を食っていた。

 そんな一人と一匹と、目を白黒とさせている葵と紫苑、それにただ興味深げに視線を寄せている弓弦を順番に眺めてから、盛朝は笑った。

「じゃあ、夜も長い事だし……今日は、その話をする事にするか」

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