1-3.魔族!?
これで第1章おしまいです。
転生!あたし、生まれ変わるの??
「おお、くいついたねぇ。そうだよ。何になりたい?」
え、それって、剣と魔法の世界とかにも生まれ変われるのかな。そういうファンタジーな世界って、あこがれていたんだ。あたし、寝たきりだったからさぁ、アニメとか小説の世界とか、
「知っているよ。ずっと最初から君の事、見ていたから。君が回顧してくれたおかげで、君の歩んできた人生、知ることができた」
そ、そんなに前から見られていたの。は、恥ずかしい…。
ま、まあいっか、しょうがない。
「開き直るの早いね。剣と魔法の世界、ね。できるよ、そういう世界に転生するように」
本当!?
あたし、思いっきり走り回って、剣振って、魔法使ってみたい!
「いいよ。どんな生物になりたい?」
えーそういうのも選べるの。
うーん、そうだな~。
なんでもいいのかな。こういう時、小説では種族人間のままで、いろんなスキルや能力を手に入れて転生することが多いんだよね。
あたし、そんなに高い能力はいらないんだー。チートっていうの?面倒なことになりそうでー。
「ふうん?そうなんだ」
んで、生まれ変わっても人型がいいんだけど、人間以外の人型で他に種族っていったらー、エルフ、ドワーフ、ホビットとか!?
「テンション高いね」
う~んエルフってすらっとしていて見目麗しい感じだよね。あたしそんなに綺麗じゃなくてもいいや。あんまり綺麗でもあたしなんかがって、敷居高いかんじだし。
ドワーフは、ずんぐりむっくり、職人って感じか。あんまり太くて短いのもなぁ。
ホビットが主役の映画ってあったけど、あれ見れなかったんだよね。だからよくわかんないや。
あとはー、なんだろ。他に人型の種族っていたっけ?あ、魔族とか?魔族も種族?一つの種族だけじゃなくて、いろいろあるのかな?なんか面白そうだけど、でも、
「じゃあ魔族で決定ね。能力はどうする?」
ええ?いや、だから魔族は、
「走り回って、剣と魔法を使いたいんでしょ?」
まぁ、はい。
「それくらいなら大したことないから、簡単だよ。」
いやいやいや、だから魔族はちょっと。なんかダークなイメージがするから、別のでお願いします!
「え、なんか勘違いしてない?」
はい?
「魔族が悪者、みたいな風に思ってるなら、勘違いもいいとこ」
え、そうなの。悪者じゃないの?
「人間に善人と悪人がいるように、魔族にも善人と悪人はいるんだ。だから、魔族ばっかり悪く思うの、やめてあげて?彼ら、外見で偏見持たれて、排斥されてきた歴史持ってるんだ」
へー、魔族も人間と同じなんだねぇ。
外見で悪く思われるなんて、それってひどいね。なんか勘違いしてたあたしが言うのもなんだけど、もっと邪悪なものを持っているイメージがあった。
「君の中ではそういうイメージだったんだね。でも、これから君が行く世界の魔族は、人間と同じように国を作って、その中で家族や仲間と一緒に暮らしているんだよ」
そうなんだ。人間と一緒だね。排斥されてきた歴史って、今でもそうなの?
「まだ一部ではね」
そうか~。なんかかわいそうだな。
「じゃあ、君が悪いイメージを払拭してみるかい?」
え?
「君にやる気があるなら、出来ないことはないよ」
そうなの?
「一番手っ取り早いのは、魔族として世界征服することだね。そして君が権力を握り、種族間差別をなくす法律でも作ればいい」
はあ?
「まあそんなに簡単には行かないんだけど、君は魔王の奥さんになって次代の王の母になるし、なんとかなるでしょ」
え?え?
な、なんの話してるの??
「まあまあいいから。なんか適当にチートって程でもない能力あげとくからね」
いやちょっと待って、
「とぅっ」
っ!?おかしい触覚はないはずなのに背中が押された気がするっ
「頑張ってね~」
ええぇえ!?
立っていたつもりもないはずなのに、なんで下へ下へと落ちて行くような感覚に襲われるの、
おかしい!
実際に、一瞬の浮遊感の後に下から風が当たり、何故か自分に触覚が戻り落ちているのだと気付く。って状況分析してる場合かっ
どんどん落ちるスピードは速くなってきて、
ひぇ、
ぅわわわわわわっ
ぎ……ぃやあああああああぁ~
「くれぐれも気絶はしないようにね~」
終始面白がる声に、初めて気遣うようなものが現れたが、その時には落下の恐怖で、それどころではなかった。
……そしてあたしは、なんだかわからないうちに、魔族へと転生してしまったのだった……