表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

09. Bad Jobs

 宴は終わり、訪問者達をそれぞれの世界へと戻す時間となった。

 何があったのか、なかったのか、詳しく語るのは止めにしておこう。

 取り合えず楽しかった。言えることはそれだけだ。


 そうそう、タニヤが写真を一枚置いていった。

 セクシーな彼女の姿は魅惑的。飽浦(あくら)治療法(セラビー)に使えそうだ。患者達の悩みを聞くのに疲れたら見ることにしよう。


 僕とシナガワは訪問者達の舌先に、闇の滴と無の滴を垂らした。そして、別れを告げることにする。


 闇の心臓から送られる、闇の滴。

 無の心臓から送られる、無の滴。


 三位(さんみ)の一つである天使。無名の天使に贖罪の滴をもって奇跡を祈れば、彼女は必ず応えてくれる。

 


 愛佳と悠馬は彼女達の世界、イル・モンド・ディ・ニエンテに戻り、 

 ヘクターとダリアは彼らの世界、ヨルドモ王国へ戻り、

 そして、ティアラ、マティウス、タニヤ、アレクはアウラヴィスタ国に戻った。


 閑散とした部屋には僕とシナガワだけになった。

 僕はシナガワに話かけた。

「結局、髭セレブと白髪博士はどうなったの? 後で教えてくれるって言ったよね?」

 僕の質問に彼は淡々とした口調で答えた。

「法による裁きなど期待できないからな。セレブと白髪博士の取引情報と個人情報をアンダーグラウンドに撒いた。それをネタに強請られ続けるだろう」

「そうか。シナガワが電話をしていたのはハッカーだったね」

「誰が何をしようと俺の知ったことではない。だが、俺に噛み付くのであれば躾が必要だ。躾はわかりやすい態度で。お前が見ていたブログにも書いてあったろう?」


 シナガワが僕の部屋の玄関を開けた。帰る時間が来たらしい。僕は笑って見送ることにする。

告発者(サタン)って、損な役回りだったんだね」

「この世界で大事なのは、貼付けられたラベルであって事実ではない。それがわかるまで随分と時間がかかったよ」

 彼は薄く笑って去って行った。


「元気でね、シナガワ」

「ああ、お前もな、飽浦(あくら)


 シナガワはシナガワの世界に帰っていった。


 さあ、僕は僕の世界に戻らなくては。


部屋の電気を落とすと、暗闇が僕の部屋に押し寄せてきた。

窓の外にある賑わいも暗闇にまで届きはしない。


闇は闇にあるべきだ。

僕は僕の世界に戻る事にする。


Copyright (C) from リリス・サイナーの追憶 嘘つき二人 by Reght

http://ncode.syosetu.com/n6694bo/


Copyright (C) from 兎は月を墜とす by hal

http://ncode.syosetu.com/n7030bf/


Copyright (C) from 王女と護衛×2と侍女の日常【連載版】 by 福山陽士

http://ncode.syosetu.com/n6573bu/


Copyright (C) from 王女と護衛×2と侍女の日常【おまけ】 by 福山陽士

http://ncode.syosetu.com/n9147bq/


Copyright (C) from Sympathy For The Devil by Yuya Akoh

http://ncode.syosetu.com/n7373bj/



【Supplement】

 物語中での設定や背景の説明。


【タニヤちゃんのセクシーショット】

 福山陽士さんから頂いたタニヤちゃんのセクシーショットです!

 ありがとうございます!

 挿絵(By みてみん)


 福山陽士さんのページはこちらですっ!

 http://mypage.syosetu.com/300513/




【Satan】

 初めてSatanという言葉が出てきたのは、旧約聖書内のヨブ記(Job)

 旧約聖書として統合される、それまでの宗教文章に善悪二元論的な観念はなく、

 この時期辺りにペルシャのゾロアスター教の影響を受け、

 Satanというキャラクターが登場したとする向きもある。(諸説色々あり)


 旧約聖書内にあるヨブ記で登場したSatanは

 ヘブライ語でha-Satanと記載されており、意味は「告発者」という意味になる。


 ヨブ記においてSatanは神と親しく話をする間柄で、

 天上の会議においては、天使達と同じ席につき、地上を巡回していたと語っている。

 そこでは神から人間ヨブは信心深いと聞かされるが、

 Satanはヨブの信心深さを計る為に、試練を与えるように神を唆す。

 旧約聖書にあるゼカリア書においても、Satanは告発者という立場で、

 罪を神に訴えるという役割を担っている。


 ただ、ヘブライ語のSatanは「敵対者」という意味もある。

 これが他国語へ翻訳される過程で「告発者」という意味が失われてゆく。

 ギリシャ語に翻訳された際には、敵対者(diabolos:devilの語源)という

 単語があてられ、神の敵対者という色彩が強められてゆくことになる。


 時代が下るにつれSatanの言葉の解釈は更に変わってゆく。

 旧約聖書創世記3章:1-15節にイブに知恵の実を食べるように唆すヘビが、

 サタンとされているが、それも後付けの解釈によるものである。

 ミルトンの『失楽園』では、Satanは悪魔の首長となり、

 それは現在のSatan像にも受け継がれている。

 ミルトンの『失楽園』は英語にするとParadase Lost。

 本来、告発者であったはずのSatanは楽園を追放された。


 ヨブ記の解釈についてのURL

(書いた人は聖書学を学んでおり、神学的素養も相当にあるが、

 一つの視点の考察である)

 http://www.geocities.jp/todo_1091/bible/jesus/047.htm




【おまけ:今回の登場人達がセッションするとこんな感じ:カッコ内はソロ演奏】


 Bass:シナガワ (0:00 - 0:11)

 Drums:飽浦(あくら)

 Baritone sax:悠馬(0:12 - 0:27)

 Trumpet:タニヤ(1:02 - 1:15)

 Tenor sax:ヘクター(1:16 - 2:05)

 Alto sax:愛佳(2:08 - 2:54)

 Trumpet:アレク(2:56 - 3:40)

 Trombone:ティアラ

 Tuba:マティウス

 Piano:ダリア


 http://www.youtube.com/watch?v=w5swOSTab3Y

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ