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シアンの世界 -1

~シアンの世界~


水色のシアン世界はかなり変わっていた。今までの世界といいなんでこう色が強調されているのだろう。私は考えていた。だが考えてもわからなかった。を見渡す。

どこか懐かしい街並み。アスファルトの道路。木で作られた柵や壁。電信柱。

古い町並みのようだ。

私は一歩そこに踏み込んだ時、違和感があった。何か世界が違って見えたんだ。

いや、明らかに視点がおかしい。世界がまるで大きくなったみたいだ。


私は歩いていた。駄菓子屋があった。私はそこにある古びた鏡を見てビックリした。

私が小学生くらいの子供で映っていた。初めは信じられなくて何度か手を振って確かめていた。けれど、明らかに自分であった。私は怖くて駄菓子屋から離れた。


元いた場所に戻れば何かわかるかも知れない。私は振り返って、元いた場所へ向かおうとした。けれど、道がわからない。どこも同じように見える。そんなに複雑な道を歩いたわけじゃないのになんでこんなことになっているんだろう。私は自分がどこにいるのかも解らずに歩いていた。


気がついたら公園があった。私は公園に入った。そこに砂場の砂で絵を書いている少女がいた。落ちていた木の枝なのだろうか、それでもくもくと絵を描いている。少女は茶色の髪にクリクリの目をした可愛い子だった。可愛いその子は絵を何度も描いていた。

私がその子を見ていたらその子が言って来た。


「手伝って。影を倒すの」


私は一瞬意味が解らなかった。良く見ると、木々が風に揺られて少女が描いた絵の方にやってくる。そして、砂の上に描いているから風で絵も消されてゆく。


「早く手伝って」


少女が言って来た。私も落ちていた枝で絵を描いた。そういえば絵を描くのが好きだったな。色んな絵を描いた。何回描いては消されたのか解らなかったけれど、どうしてこんなに綺麗に風が消していくのか不思議だった。少女が言う。


「あと少しで勝てそうよ」


良くわからなかった。けれど、その時風が止んだ。


「勝った。やったね」


そう言って少女はジャンプをした。私もなんだか嬉しくなってジャンプをした。少女が言う。


「私はチャーミーよ。あなたは?」


少女はそう言って手を出してきた。私は握手をして「私はアリスよ」って、伝えた。

チャーミーが抱きついてきた。そして私に言ってくる。


「よかった。私たちの希望の『アリス』に出逢えて。

 アリス。先に行って。そしてこの世界を変えて欲しいの」


チャーミーはそう言って私を突き飛ばした。意味が解らなかった。


砂場にこける。そう思ったとき、体が何かに引っ張られる感じがした。誰かが私の腕を引っ張っている。

どこから?チャーミー以外には誰もいなかったのに。どんどんチャーミーの顔が遠くなっていく。

チャーミーは笑顔だった。


気がつくと世界はいつもと同じだった。自分の手と足を見る。子供の手や足じゃない。

元に戻っている。


「良かった。戻せて」


女性の声がした。見たことない女性。その女性は甘栗色の髪。長さは肩でそろえられている。胸だけの鎧を着けていて、白い短いマントをしている。そしてすらりと伸びた足は動きやすいようなズボンをはいている。凛とした表情、美人の女性。


スタイルいいな~


私はその女性を見ていて凛として大人の魅力を感じていた。つい自分と比較をしてしまう。凛とした女性が話して来た。


「いきなり名乗らずに失礼した。私の名は『ラキシス』

 白の女王のビショップだ。宜しくな『アリス』」


そう言ってラキシスは手を差し出して、私を起こしてくれた一体何が起きたのだろう。

私は何が起こったのか理解できなかった。周りを見てみる。同じようにシアンの世界。

綺麗な水色の空がどこまでも広がっていた。地面は前と同じアスファルト。そして木で出来た壁。

私が不思議そうに周りを見ていたらラキシスが言って来た。


「アリスはこのシアンの世界に入った瞬間に同じようで違う世界に連れて行かれたんだ。

 赤の女王のビショップ『アニマート』によって。

 『アニマート』は空間魔法を扱う。攻撃も空間をジャンプして行う。だからどこから攻撃されているのかがわからない。目の前にいる『アニマート』が空間を渡って攻撃をしてくるからな。

 そして、もう一つ。『アニマート』は閉じ込めるための空間も作る。

 アリスはこの世界に降り立った瞬間に『アニマート』に捕らわれたんだ。

 そして、あの二人は『アリス』を助けようと必死だったんだ。

 って、隠れてないで出てきなさい。二人とも」


そう言って、ハオとマオの二人が出てきた。体中怪我だらけになっている。

ハオが話して来た。


「スミマセン。僕らの『アリス』助け出せなくて」


だが、私はさっきの事もあってハオを見ると顔が赤くなってしまう。ちゃんとしなきゃ。

私は深呼吸をしてハオに話した。


「いえ、ハオ様は悪くないです。私が気がつけなかっただけですから」


普通にハオに話すだけなのにドキドキが止まらない。どこかでハオを意識している自分がわかる。マオが話してくる。


「何、かしこまってるんだ。ま、今回は助けられたから良かったけれどな」


そう言ってマオは私の額を人差し指で押してきた。


「痛~い。何するのよ」


私はマオをにらみつけた。ラキシスが手を二回パンパンって叩いて話し出した。


「はい、はい。そこまでね。

 とりあえず、今回は運が悪かったって事で。でも、無事アリスも救出できたから考えるわよ。この世界での戦略を」


ラキシスがそう言った時マオはけだるそうな顔をした。瞬間ラキシスが手に持っていた杖をマオに向けてこう言った。


「マオ、ちゃんとしなさい」


杖の先にある水晶の部分がバチバチと音を立てている。マオは大人しくなってこっちを向いた。


「あんたにも弱点があったのね」


私はつい口に出してしまった。マオは「うるせぇ」とつぶやいただけだった。ラキシスが話し始める。


「今、この世界にいる相手はビショップの『アニマート』そして、ルークの『アレグロ』の二人。そして、何名かのボーンよ。そして、こっちはナイトが二人と私。

 おそらくまともに相手は戦ってこない。どうにかしてアニマートは自分のテリトリーに私たちをおびき寄せてくるはず。

 その時を狙って戦うしかない。アニマートのテリトリーでは私たちの能力はボーンと同じになってしまうから。けれど、その中に入れるのもアニマートだけ。アレグロは中に入って来られない。

さっきみたいに苦戦はしなくて済むからね」


ラキシスの話を聞いていて、私を助けるために3人は戦ってくれていたんだってことがわかった。だからハオもマオも怪我をしていたのか。私はハオを見てみた。細い体。この前の世界でも傷だらけになっていた。

気丈に振舞っているけれど体は傷だらけのはず。私も強くならなきゃ。ハオを見ていたらハオも私を見てきた。ハオが笑いかけてくる。私は顔が赤くなってしまった。ラキシスが話して来た。


「アリス。ちゃんと聞いているのか?」


私は一瞬ビックリした。マオが横で笑っている。絶対後で何かしてやる。

私はマオのその表情を見て思った。ラキシスが続ける。


「とりあえず、アニマートの空間に気をつけながら、誰もアニマートのテリトリーに落ちないように気をつけること。もし、誰か一人でもアニマートのテリトリーに落ちてしまったら、その空間がひずみを作って他のものも引き込みに来るからな」


え?どういうこと。私はラキシスに向かって話した。


「あの~、ラキシスさん。実はあの空間にはチャーミーという人もいたんですけれど、大丈夫でしょうか?」


ラキシスは私の言葉を聞いてビックリした。その時、気がついた。私たちの足元の空間が歪みだしていることに。


「みんな飛べ」


ラキシスがそう言った。けれど、私たち4人はそのまま空間に飲み込まれてしまった。


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