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赤の世界 -2


山を降りていくと世界はどんどん赤くなっていった。それはもう夕焼けの赤のように優しい赤じゃなくなってきていた。私は気がついたらつぶやいていた。


「空が不気味」


そう、夕焼けのような優しい色じゃなく鮮やか過ぎる赤に変わっていっていた。

キュアが話して来た。


「この世界は光の屈折が違うの。踏み入れた世界ごとね。

 ここは赤の世界。赤が色濃い世界なの。そして、夕闇は闇の色は赤なの。

 赤の時間になると赤の女王の兵士たちは強くなるの。

 といっても1.2倍くらいの強さなんだけれどね。だからギリギリ大丈夫なの。

 相手が4人だったら」


私はキュアの話を聞きながらよくわからなかった。どうしてギリギリ大丈夫なのだろう。

私はキュアに聞いた。


「どうしてギリギリ大丈夫なの?」


キュアは笑顔で話してくれた。


「チェスの駒には価値があるの。

 私とアリスはボーンなの。ボーンの価値は『1』

 そして、ハオさまはナイト。私たちのあこがれよ。ナイトは『3』

 ちなみに、ビショップも『3』でルークは『5』

 そしてクイーンは『9』なの」


私はそういわれて計算していた。相手のボーンが4人。2倍だから4.8。こっちは私とキュア。そしてハオがいるから5。だからギリギリなのね。ということは私も一人と戦わなきゃいけない。私は大きく息を吸った。ハオが話して来た。


「僕らの『アリス』気をつけて下さいね。

 赤の時間だと同じボーンでも相手のほうが少し強い。

 だから1対1では戦わないで下さい。『アリス』はキュアと一緒に一人のボーンと戦ってください。

 残りは私が相手しますから」


ハオは優しく私に笑いかけてきた。そしてハオは続けてこう言った。


「気持ちは強く持っていてください。

 でないと強さは『1』にすらなってくれませんから」


私はそのセリフを聞いてコクリと頷いた。怖い。けれど、逃げることなんて出来ない。

だって、逃げたら絶対に勝てなくなってしまう。私は不安になる気持ちを飲み込んだ。

大きく息を吸う。そして、言葉にした。


「行きましょう。みんな」


私はそう言って力強く歩き始めた。


山道から少し外れたところに赤い小屋はあった。いきなりラッパの音がした。小屋から4人のトランプ兵が出てきた。


「え?何?」


私はうろたえていた。ハオとキュアはすでに剣を抜いている。キュアが言って来た。


「赤の時間の時は赤の女王の目が行き届いているの。

 赤の女王があのトランプ兵に知らせたのよ」


私も剣を抜いた。ハオが話してくる。


「後から来て欲しい。先に3人を相手にするから」


ハオはそう言って走っていった。一人、二人と切りつけている。鈍い音がする。槍と剣がぶつかる音。一人だけするっと私とキュアのいるほうにトランプ兵がやってきた。

私はキュアを見た。

お互い頷き距離を保ちながら目の前のトランプ兵に向かい合った。私が切りつける。キュアがサポートする。それを繰り返していた。

私はちらりとハオの方を見た。

ハオは3人を私たちのところに行かせないように頑張っている。早くこいつを、目の前のトランプ兵を倒さなきゃ。私は力いっぱい剣を振り下ろした。トランプ兵は力で受け止めた。


「キュア、今よ」


トランプ兵は私の攻撃を受け止めている。そのため、もう一つの攻撃は受けきれない。

キュアがトランプ兵をなぎ払った。

トランプ兵はうめきながら体が薄くなっていった。


「やったね。アリス」


キュアが私に抱きついてきた。私はハオを見た。ハオも私たちが勝ったのを見ていた。

私はキュアに行った。


「ハオを助けに行きましょう」


けれどキュアは動かなかった。そしてこう言った。


「ハオ様なら大丈夫よ。あのお方はナイトの中のナイトだから」


そう言ってキュアは指差した。ハオは一瞬私たちのほうに走ったかと思うと初めに動いたトランプ兵に方向をかけてきりつけた。次に一人、最後に一人。一瞬の出来事だった。

私は思わず口から出てしまった。


「カッコいい」


キュアは私にこう言った。


「僕らの『アリス』。ハオ様は誰のものにもならないわよ。ハオ様の心は私たちの届かないところにあるのだから」


その時の、キュアの表情はすごく悲しそうだった。私はそのセリフの意味をわからないでいた。もし、解っていたとしても自分ではもうこの気持ちをどうすることも出来なかった。私は気がついたらハオに向かって走っていた。


「大丈夫だった?」


私はハオに話した。ハオは静かにこう言って来た。


「僕らの『アリス』時間がかかってすみませんでした。

 しかも心配までしていただいて」


そう言ってハオは深く頭を下げた。

そんなことをして欲しいわけじゃない。でも下から見上げるハオの顔はものすごく可愛くてドキッとしてしまった。解らない。私はどうしていいのかわからなくて、こうハオに話した。


「ほ、ほら、こ、ここに来た目的ってキトの宝物じゃん。

 だから、さ、あの小屋にキトの宝物があるのかな~

 なんて、見に行こうかな~」


私はそう言って小屋に歩き出した。ハオが後ろから何か言ってきている。私は今振り向いたら顔が真っ赤な気がする。私は力いっぱい扉を開けた。光がものすごい勢いで飛び出してきた。


「きゃ」


私はそのままこけてしまった。いや、地面にあたるはずだった。けれど、ハオが私を支えてくれている。


「僕らの『アリス』今伝えていたんですけれど、キトの大切なものはそのままキトのところに戻りますって。間に合わなくてすみません」


ハオはそう言いながら私を支えて、立たせてくれた。この手に、腕に私は支えられている。


「僕らの『アリス』戻りましょうか」


私はハオの優しく話す言葉にコクリと頷いた。




ピンクの小屋につくとキトが走ってきた。


「アリスお姉ちゃんありがとう。アリスお姉ちゃんには見せてあげるね」


そう言ってキトは私にキラキラしているものを広げて見せてくれたそれは画用紙にクレヨンで描かれた絵だった。飛行機なのかな?それと男の子の絵だった。キトが満面の笑みで話して来た。


「大きくなったらなるんだ~僕の夢

 アリスお姉ちゃんの夢はなんなの?」


私はキトに言われてびくっとした。私の夢。なんだろう。なりたい私。大人になってしまったら夢を見ているより現実を追いかけていることが多かった。自分の身の丈を痛いほど感じたり、泣いたり。今の私ってあの頃の、キトの頃思っていた大人だったのだろうか。

私はキトのまっすぐな瞳を見るのが怖くなってしまった。

キトは話して来た。


「アリスお姉ちゃんはもう夢を手にしたのかな?それともまだ?」


私はキトに「まだなのよ。追いかけているところだよ」と答えた。かに私は自分のしたいことをしようとして長い休みを手にした。いや、仕事を辞めたんだ。そして、自分を見つめなおしていた。私のしたいことって一体。

私は考えていた。


その時、空から優しい光が差し込んだ。私は外に出てみた。空は赤かったはずなのに、いつのまにか普通の夜の色に変わっていた。そして優しい月の明かりが照らしていた。

何かが落ちてくる。私は手で受け止めた。星の形だった。ハオが話してくる。


「僕らのアリス。その星を後8つ集めて下さい。そうしたら9マス進んだことになります。

 さあ、アリス。新しい世界に飛び込んで」


そう言って私の足元に一つのマスが現れた。


「どうして私だけ?」


私がそう言ったらハオが言って来た。


「踏み出す時。それは自分の足でしか進めないですから」


キュアが言う。


「また、どこかで会えるよ。同じ盤の上にいるから」


ハオが優しい口調で、優しい笑顔で言って来た。


「どこにアリスがいても助けに行きますから」


私はその言葉に表情にまたドキっとしてしまった。私は一歩前に踏み出した。落ちる感覚がまたやってくる。落ちた先。そこは緑に囲まれた世界だった。


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