雨と赤い傘の女
綺麗ごとが通用する世の中になる。私の頭のなかがつるっと滑らかなモノになる。
何も考えなくていい、何も考えず口を動かし笑みを浮かべるだけでいい。
世界は無情よ、考えなくなるのは感じることを放棄すること。
考えられなくなるのは考えすぎている証拠。
人を愛したいし愛されたといえばそれだけでありふれたフレーズ、求めすぎてるかさえわからない。
今日もバケツをひっくり返したような豪雨
辺りは霧に染まって白い世界、かすかに見える赤いポスト。
真っ赤な傘をさして佇む私は私。
背景はもやのかかった白、私の前にはより濃い白とコンクリートのコントラスト
空気がどんよりしてるわけではないわ、ひんやりと冷涼なそれに心地よさを感じるぐらいよ
周囲を見回せど人の姿をするものなどないわ、珈琲店にジュエリーショップ、
薄いモヤのかかったこの世界は私が見てる世界。
うしろを振り返れば何も見えず前なんて道路一本先が見えない白いレール
色を加えてみたいと思うの、何もない今の私よ。
願望を強く思うことが正解だとも成功の鍵だとも私は言えないわ
必ず開く扉だったらそれはそれで安価な世界
私以外にひとっこひとりいない街並みよ
ぽつりと立つ赤い傘の女、信号は無い。
雨は止みまた降りだすわそれぐらい平素なもの
ずっとそこにいるわけではないでしょう貴方は分かりたいはず
雨の日は傘を持つのでしょう。