異世界バスツアー96「大人になろう!」
✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩
魔力を生成する方法として、菌類を採用したら次の日天を衝くようなキノコが生えた。
魔王の尽力によりキノコは炭になったが、魔力生成についてはふりだしに戻ってしまう。
その後の会議において責任を感じて正座している魔王と、付き合いで正座している主犯の反省会が行われた。
反省のあと、魔力生成の方法について話し合いをしていると、エルダードラゴンのグルメリポートが始まってしまい穏やかに談笑している臨時本部の人たち。
雑談中にドラゴンが世界樹の実を食べたあとうんこ砲で岩盤を貫いたことが判明、世界樹の種の行方を知った魔王が総員退避と叫んで全員避難。
みんなが逃げ出した魔王城跡地で、おっきい木が天に向かって伸びていくのであった。
✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩
魔王城跡地に太くて堅い木が天を衝くように屹立していた。
その幹の表面には脈動する管のようなものがあって、根から吸い出した何かを天辺に向かって運んでいる。
そのふっとい幹の上の方には、亀の頭部を思わせる少し膨らんだ部分があり、その頂点に噴水のような形の枝が伸びていて、白っぽい葉っぱを茂らせているのであった。
✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩
「……世界樹ってあんなんだっけ? 違うよな絶対」
魔王城跡地から離れた場所で、おっきい世界樹を眺めていた魔王は抱えている疑問を素直に口にした。
「俺も初めて見るねえ……いや世界樹だとは思うけど、なんだろうね、あれ」
設計担当のクランツは、黒髪に隠れた細い目に戸惑いの色を残したまま、あごに手を当てて考え込んでいる。
少し離れた所にいるエルダードラゴンは、両手を口に当てたままクランツと世界樹(?)をかわりばんこに見ていた。
「ふーん。ドラちゃんが言うには、自分が食べたのは、おいしい葉っぱがいっぱいある枝がすっごく広がってたって」
「全っ然違うじゃねーか……どうするんだよ、これ」
魔王は頭を抱えている。
世界樹らしきものを見ていた新経営陣が「いっそのこと秘宝館にしたらごまかせるのでは」とか言い出した。
「うおおおお! 我の思い出がち〇こになるー! いやだー!!」
うっかり具体的な名称を口に出した魔王は、地面に転がって手足をバタバタ動かしだした。
その様子を楽しそうな目で見ていたクランツ。
しばらく楽しんだ後、世界樹の方に目を向ける。
「うーん。魔力の流れが止まっているのかな? 天辺付近に大量の魔力反応がある」
クランツの言葉に、地面に寝転んでいた魔王が上半身だけむっくりと起き上がった。
「……それをどうにかすれば勃〇起はおさまるのか?」
「隠して隠して。でもこれは俺の予想にすぎないしなあ」
「我は、我は夢を見たいんだ!」
なんか魔王は地面を叩いている。
「そんな夢でいいの? まあでもそうだね、俺の予想が正しければ、何か衝撃を与えれば止まっている魔力の流れが」
「星の盾、日輪の矛、空のすべてを束ねた槍よ! 我が手に」
「はいはいストップストップ」
何かぶっそうな詠唱を始めた魔王をクランツがなだめる。
そのまま少し離れた所にいるエルダードラゴンの方を見る。
「そうだ、ドラちゃんあそこに行って、なんかドカンとやってみて」
ドラゴンは自分に向けて人差し指を立てている。
「そうそう。言ってみればあれだよ、ドラちゃんあの世界樹の産みの親じゃん」
クランツの言葉にびっくりしていたドラゴンは、いきなりキリっとした顔をして世界樹の方を向いた。
「そうだよ、ドラちゃんの子供が苦しんでる! 助けてあげて!」
ドラゴンは背中の翼を広げて、でっかい一物の元へと飛んで行った。
飛んで行く姿が小さくなり、先端の方に近づいていく。
突然、ドカンという音とともに棒が揺れた。
次の瞬間、先端から白い霧のようなものが噴出を始める。
「おっ、止められてた魔力が流れ出した」
クランツがしゃべる間にも霧は空に向けて放出され続けた。
そしていきなり枝が伸び始め、見る見るうちに緑の葉が茂り始める。
伝説に語られる世界樹の威容が魔王城跡地に生まれた。
「よかった……ちんちんじゃなくなってよかった……」
魔王はすごい安心したような声をだすのであった。




