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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
テーマパークを作ろう!編
95/106

異世界バスツアー95「植樹しよう!」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 穴の底にそびえるでかうんこは炭化して臭わなくなった。

 さっそく、地下からどんどん供給される魔素を魔力に変換する設備の設置作業を開始する、魔王と設計担当。

 まず設計担当が用意してきたのは、根から魔素を吸収して葉っぱに魔力をためる木。

 地下室では育たないだろうという指摘がありボツ。

 次に正座姿の設計担当が持ってきたのは、取り込んだ魔素を卵にして産卵する巨大女王アリだった。

 濃厚な魔素に晒されて暴れだしたからもう大変。アリだー!

 三度目の正直で、磔にされている設計担当が提案したのは、魔素を吸収して菌糸ネットワークに魔力として循環させる菌類。ただし胞子を吸い込むとキノコ。

 プロジェクトリーダーの魔王は、もうこれでいいやと菌類にゴーサインを出すのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 菌類を設置したあと地下室を封鎖した次の日、プロジェクトメンバーが見たのは、魔王城跡にそびえる巨大なキノコであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

 炎の魔法と風の魔法を同時展開した魔王の火炎旋風で、魔王城跡地周辺は焼き払われた。

 炭化した菌の残骸が運び出され、プロジェクトはもう一回ふりだしに戻る。

 魔王城跡地近くにある臨時本部(ボロ小屋)では、今後のことを話しあう会議が行われていた。


「すまなかった!」


 魔王は正座して頭を下げている。


「安易に許可を出さず、もっと慎重に検討すべきだった……!」


 魔王の隣りでやっぱり正座している設計担当のクランツが明るい声を出した。


「どんまい! 次がんばろう!」

「オメーがまず反省するんだよ!」


 正座しているクランツの足の上に、石板が運ばれてきた。


「重ぉい❤」


 なぜか楽しそうにしているクランツを、変なものを見る目で見ている魔王。

 しばらくその様子を眺めていた魔王は、何かを振り払うように2,3回かぶりをふったあと口を開いた。


「それで、魔力生成についてはどうするんだ?」

「うん。これまでの事例から、動くものは避けた方がいいねえ。暴れるから」

「まあ、そうだな」


 魔王の脳裏に、暴れまわる巨大女王アリの姿が浮かんだ。


「かと言って動かない奴も高濃度の魔素の影響がどうでるかは未知の部分が多いからねえ。キノコは正直予想外だったし」

「それは、まあ、そうだな」


 魔王の脳裏に、天にそびえたつような巨大キノコが浮かんでいた。


「そう言うのも含めて考えると、やっぱり樹木が一番だと思うんだけどねえ」

「さすがに地下で木は厳しいだろ。もういっそのこと、魔王城を予定地からずらすか? それなら育つだろ」

「おっ、それいいねえ。それなら世界樹を育てたかったなあ。魔力の変換効率はあれが一番だからね」

「一番近いのは隣の大陸だったか。遠いな」


 そんな話をしているところに、ボロ小屋の窓を叩く音がした。

 窓の外からは、エルダードラゴンの顔がのぞいている。


「おっ、どしたんドラちゃん。……えっ、穴掘りの時に力をつけるため世界樹の葉っぱを食べてきた? へえー、さすがだねえ。おいしかった?」


 窓の外のドラゴンはにっこり笑いながら親指を立てている。


「おいしかったって」

「世界樹には異形の化け物が住み着いているんじゃなかったか」

「いるねえ。普通は近寄るのも困難だけどね。そこで食事できるのはドラちゃんくらいだねえ」


 ドラゴンは身振り手振りで何かを主張している。


「へええー、本番に備えて世界樹の実を取ってきておいて、ここに戻る前に食べたって。すごいおいしかったらしいよ」

「世界樹の実といったら、規格外の怪物が守ってるとか言う話を聞いたんだが」

「まあねえ。それを言ったらドラちゃんも規格外だし」


 それもそうか、と魔王は笑った。

 そりゃそうだよ、とクランツも笑った。

 そしてふたり同時にあることに気づく。


「世界樹の……実……?」

「そう……だねえ」

「ということは……種は……?」

「うんこと一緒に地下深く……だねえ」

「うんこと一緒に炭化している可能性、は」

「いやあ、ないない。ものすごい頑丈だからねえ。むしろ表面が炭化したら発芽が早まるかも……?」


 ふたりはもう笑っていない。


「世界樹の、育つ速さはどのくらいだ……?」

「魔素の量に、よるらしいねえ……」

「世界樹の大きさはどのくらいになる……?」

「それも、魔素の量に比例するねえ……」


 魔王は立ち上がり叫んだ。


「総員退避ィ!!!」


 魔王城観光地化プロジェクトにかかわる者全てが魔王城跡地から離れていく。

 どこまでも、離れていく。

 地響きがする。

 去る者たちを見送るよう地響きがする。

 呼ばれたように振り返る者たちが見たのは、魔王城跡地から天に向かい天を貫こうと伸びている一本の木。


 次回「おっきい……❤」

 お楽しみに。

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