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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
テーマパークを作ろう!編
83/106

異世界バスツアー83「地鎮祭をしよう!」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 寝坊した邪神が壁をくわえたまま、あわてて学校にむかって駈け出した。

 その後に残されたのは、半壊した魔王城。

 魔王城観光地化プロジェクト的にはこの状況をどうするべきか、プロジェクトを統括する魔王城シーランドの幹部会議が開かれる。

 人の話をあまり聞かない人たちの会議はあっちにいったりこっちにいったりで迷走した挙句、とりあえず更地にすることが決定した。

 魔王城きれいさっぱり祭りが開催され人々が集まる中、魔王が自分が住んでいた城に最後の別れを告げて、さっぱり担当のエルダードラゴンに後を任せる。

 エルダードラゴンは思いっきり炎を吐いて半壊していた魔王城は消滅。

 魔王城跡地に地面に巨大な魔法陣が現れて、棒状の神的存在が顕現する。

 棒は「あなたたちが壊したのは金の城? それとも銀の城?」とどこかで聞いたような質問をして、魔王がどっちでもないと答えたので黄金の魔王城が出現してしまうのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 黄金の魔王城は出現してすぐに自重に耐え切れず、潰れて奇妙な塊になってしまう。

 魔界においての金は、色と光沢があまり上品ではないと思われていてあんまり価値はなかった。

 そこで旧経営陣が、換金してくる! と言って大八車に金塊を乗せて元の世界へと旅立つ。

 とりあえず、更地になった魔王城跡地にテーマパーク建設が開始されるのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

 魔王城跡地には、まだまだ大量の金塊が残っている。

 新経営陣がどうするか悩んでいると、幼児の姿をした魔王がよちよちと歩いてきた。


「困っているな。我が手伝ってやろう」


 新経営陣は、いいんですか? と尋ねる。


「かまわん。まあ、もともと我が住んでいたところだしな」


 助かります、という新経営陣に軽く手を振った魔王。

 新経営陣が走り去った後、魔王城跡地に目を向ける。


「きらびやかに飾られたかつての城を見たいなどと……魔王にあるまじき感傷だな」


 それだけ言うと、魔王は城の跡に背を向けて新経営陣のあとを追いかけた。


 魔王の手配で、ゴーレムマスターを何人か雇用できた。

 たくさんのゴーレムが、巨大な金塊を小分けにして別の場所に運んでいく。

 金の塊は全て排除されて、いよいよテーマパーク建設が始まる。


 魔王城跡地は、ドラゴンの炎に削り取られてべっこりへこんでいる。

 引き続きゴーレムたちに地面の整地をお願いした。

 ゴーレムたちはまるで疲れを知らないように動き回り続ける。


 その最中、地面から骨が大量に出てきた。あと幽霊もたくさん出てきた。

 現場監督に就任していた魔王が、報告を受けて現地を見に行く。


「大昔に戦争があったとは聞いていたが……死霊術士(ネクロマンサー)を集められるだけ集めてくれ」


 魔王の指示で死霊術士が集められ、骨はスケルトンとして労働力になった。

 幽霊の方はその場から動かず、呪いを周囲にふりまいている。

 魔王は死霊術士班の班長を呼び出した。


「幽霊はどうにかならないのか?」

「は、なにぶん古い霊でございますれば、その分呪いも積み重なり強力で」

「対策はあるか?」

「この地に生きるものに対する恨みが強いようで……その恨みを解消することができればあるいは」

「解消、か」


 あごに手を当てて何かを考えだした魔王のもとに、地元の古老が細かく震えながら近寄って来た。


「……魔王様」

「おまえか、どうした」


 古老は年経て皴の刻まれた顔を魔王に向ける。


「話は伺いました。その恨み、私に引き受けさせてくださいませ」

「……正気か? あれほどの呪い、対抗術式を重ねてもすさまじい苦痛だぞ」

「正気かは分かりませんが、本気でございます」

「……何故だ?」

「この土地に残された恨みというなら、この土地のものが受けとめるのが道理。そして受けとめるならば、若者よりも私のような老いぼれがふさわしいのも道理でございます」


 魔王は古老の顔を見る。

 古老の表情からは悲壮な覚悟というものが見えない。

 まるでそれが当然というような、変わらない日々を過ごすような。


「……いいだろう。対抗術式は我が施す」

「ありがとうございます」


 古老は静かに頭を下げた。



 翌日、魔王城跡地、幽霊たちの集まる場所。

 その中心に古老はいた。

 地面に横たわり、もがいているように見える。

 呪いを一身に受ける古老を、地元の村人たちは悲壮な表情で見ていた。


「私たちの分まで……ごめんなさい」

「ひとりだけなんて……せめて俺たちも」


 跡地に近づこうとする村人たちを制止して、魔王は古老のいる中心地に歩みを進める。

 近づくにつれて、古老の様子がはっきりと見えてきた。


 苦しみに頬は紅潮し、苦痛に瞳は潤み、痛みで口の端からよだれを垂らしている。


「んほおぉぉぉぉ!」


 ビクンビクンしながら個性的な悲鳴を上げている。

 アレ? なんか変だな、と思った魔王は古老に話しかけてみた。


「大丈夫か……?」

「あっ、あっ、あっ、魔王様っ、これ、いいっ!」

「なんて?」

「すっ、すごいですよ魔王様っ、これ、昔っ、通ってたっ、拷問ハウス『女王様』にっ、匹敵ッ、匹敵ッ!」


 魔王は、なんかビクンビクンしている気色悪い物体に背を向けて歩き出した。


 一方その頃、金塊を満載した大八車を引っ張って歩道を爆走していた旧経営陣は、パトロール中の警察官に、そこの君達ちょっと止まりなさい、と言われるのであった。

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