異世界バスツアー68「お客様からのリクエスト企画」
✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩
雨の世界の釣りツアーは物理的に無理だったので失敗。
急遽行き先を変更することになり、旧経営陣行きつけという釣り堀に行ったら店休日。
いつものように歯車がうまくかみ合わない結果に終わり、いつものようにクレームがたくさんきた。
新経営陣はクレームをクレームで終わらせず、今後の参考にしようと熟読して寝込んだ。
旧経営陣は物理的に無理なところから帰ってきて入院中。
上層部がいなくなった新会社に現れたのは、遊びに来た魔王のご両親。
ご両親はクレームをチラッと見たあと、普通の温泉旅行を企画して実行。
逆方向のクレームが殺到するのであった。
✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩
起きてきた新経営陣が見たのは、印刷されてあちこちに散らばっている紙飛行機の形をしたクレーム。
内容を見た新経営陣は、全ての人を満足させるものは存在しないということにようやく気付く。
やはり己の信じる道を行くことが大切であると改めて認識した新経営陣は、とりあえず一番遠くまで飛んでいるクレームを次回ツアーのテーマにしようと開いて中を見た。
「誰が旅行をしろといった」
そして企画は走り出すのであった。
✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩
「本日は当社の現地集合現地解散ツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」
公園の砂場の前にいる笑顔のバスガイドが、20名ほどの老若男女で構成された客に向けて拡声器で喋っている。
鉄棒の前に集まっている客たちは「マジかよ」「本当にやるとは思わなかった」「せめて旅行先で現地集合にして」「というかここを選んだ理由を」「バスがないのにバスガイドを名乗るな」等々を口々にコメントしていた。
バスガイドに近い方にいる、まだ若い客が「あの、これからどうなるんスか?」といい質問をしている。
「はい、皆様には現地集合していただいたので、今後のスケジュールとしては現地解散の自由時間となっております」
若い客は「あっはい」と言い残して去っていった。
その近くにいたおばちゃんは「せめておすすめスポットとか紹介してくれない?」と食い下がる。
「はい、そこのコンビニでカレーフェアが開催中です」
おばちゃんは「まあ何もないよりマシね」と言いながらコンビニに入っていった。
常連の客は「これ逆にすごいんじゃないか……?」とか言っている。
その後、客たちはひとり、またひとりとそれぞれの道へと旅立っていった。
そしてやってきたクレームたち。
「バカじゃないの」
「これ、あんたたちがいる意味あるの?」
「本当にやるやつがあるか」
「カレーが辛すぎる」
「旅行はできなかったけど、ある意味では期待以上。お金返して」
「この会社らしいと思いました。お金返してください」
新経営陣はこれからも己の道を歩む決意を新たにし、返金には応じないのであった。




