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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
64/106

異世界バスツアー64「ナイトツアー」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 死者の世界から逃げてきたら、バスが夜にぼんやりと光るようになってしまった。

 これをなんとか観光に生かせないかと考えた新経営陣は、30分という長時間の企画会議の末に全員意識がもうろうとしてしまう。

 そこへ旧経営陣の式神がやってきて、白目をむいている新経営陣の耳元で“未知……斬新……鮮烈……驚嘆……衝撃……暗黒……空白”と繰り返し呟いた。

 深層意識によくわからないものを埋め込まれた新経営陣は、心の海からあふれ出す言葉に導かれるままツアーを開始。

 星も銀河も存在しない空白の空間、超空洞(ボイド)に普通のバスでみんなを連れて行こうとして止められるのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 潜水服で事前調査に行った旧経営陣が瀕死になって帰って来たあたりで正気に戻った新経営陣。

 そしてバスは相変わらず夜になると淡い光を放っていた。

 これを利用したナイトツアーはオシャレでウケるのではないか。

 そう考えた新経営陣は、ナイトツアーにいい感じの世界はないかと、退院してきた旧経営陣に尋ねてみた。

 顔色がすごい悪い旧経営陣は、腹案があるといって不敵に笑うのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスはナイトツアーに参ります」


 バスガイドの言葉に、乗客たちは「わあー」と拍手をしながら歓声を上げる。

 小洒落た格好の2列目の乗客が「広告で見たんですけど、バスが光るってどんなのですか?」と楽しそうに尋ねた。


「はい、全体的に薄ぼんやりと光る感じで、夜に見ると大変幻想的です」


 2列目の乗客は「それでナイトツアーなんですね、楽しみです」と笑っている。

 軽薄そうな4列目の乗客が「あの、今昼ッスけど……」と戸惑いながら尋ねた。


「はい、これよりナイトツアーにふさわしい世界に参りますのでご安心ください」


 4列目の乗客は「そうッスか、ならよかったです」と安堵している。

 常連の乗客が「なんか悪い予感がするのう」と呟いた。


「それでは皆様、ナイトツアーに参ります。勇壮で壮大な光景をご期待ください!」


 乗客たちが違和感に首をひねる中、バスはトンネルを抜けてナイトツアー開始。


 普通に昼だったので乗客たちはさらに首をひねる。

 どこかの平原を走るバスの上から何かがぶつかった音がした。

 乗客たちがそちらに視線を向けると、天井から矢が生えている。

 なんか派手な音がするのでそっちを見たら、馬に乗って鎧着た人たちの集団が砂煙を上げながらこちらに向かってた。


 常連の乗客が「あー、なるほどなるほど。ナイト()じゃなくてナイト(騎士)ということね。ダジャレじゃねーか! ふざけんなオラァ!」と叫びながらクレームを入れ始めている。


 天井から何本も矢を生やしながら走っているバスの前方からは、槍を持って馬に乗って鎧を着ている人たちが綺麗な隊列でこちらに向かってた。


「皆様、ナイトツアーのあとは馬上試合がございます。参加希望の方は手をあげてください」


 全体的にお手上げの乗客たちは帰宅を強く主張。

 会社からもツアー中止の指示が入り、ナイトツアーこれにて一件落着。


 一方その頃、退院してすぐに事前調査に行っていた旧経営陣は、突進する馬にはねられて病院にとんぼ帰りしていたのであった。

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