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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
63/106

異世界バスツアー63「夜の世界」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 初心に帰るツアーはいつものように大失敗。

 しかしいつもの失敗に手ごたえを感じた新経営陣は、次のステップへと向かう。

 次回は自分たちの足元を固めるべく、オーソドックスな異世界旅行を企画しようとしたら、帰り道を見失った旧経営陣の生霊が新経営陣に取り憑いて暴走。

 死者の霊が住む世界に観光旅行に向かい、ドラゴンの霊や巨人の霊の戦いに巻き込まれるのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 何とか逃げ帰ってきたが、余計なものを連れて帰ってきたため、夜になるとぼんやり光るようになってしまったバス。

 お祓いを受けて旧経営陣を除霊して正気に戻った新経営陣。会社に戻ったらぼんやり光るバスにびっくりした。

 これはこれで何かに利用できないか、そう考えた新経営陣は夜の闇の中をぼんやり光りながら走るバスのイメージをもとに検討を始める。

 長時間のブレインストーミングの末に意識がもうろうとし始めた新経営陣のもとに、旧経営陣の使役する式神が現れて新経営陣の耳元で何かを繰り返しささやきだした。

 未知……斬新……鮮烈……驚嘆……衝撃……暗黒……空白。

 睡眠学習が完了した新経営陣は、虚ろな目をしながら企画を立てるのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスは夜の世界に参ります」


 バスガイドの言葉に、乗客たちは静かに頬をほころばせる。

 黒で統一した服装をしている2列目の乗客が「ずっと夜なんですか?」と少し眠そうな顔で尋ねた。


「はい、そこはずっと夜です。暁も黄昏も、もちろん昼も存在しません」


 2列目の乗客は「そうなんですね、楽しみです」と少しだけ笑う。

 眼鏡をかけた3列目の乗客が「ということは、太陽はないのですか」と眼鏡の位置を治しながら質問した。


「いえ、厳密には肉眼で見える範囲に恒星は存在しないという意味です」


 3列目の乗客は「なるほど、事実上太陽が存在しない、か」と独り言を言っている。

 常連の乗客が「なんか悪い予感がするのう」と呟いた。

 冷たい目をした最前列の乗客が「そこには光が無いということですか」と冷静な口調で尋ねている。


「はい、可視光はありません。電波の見える方ならぼんやり明るいそうですが」


 常連の乗客の眉間に少ししわが寄った。

 最前列の乗客が「その電波はもしかして宇宙背景放射ですか」と尋ねる。


「はい、そうです」


 常連の乗客が「超空洞(ボイド)じゃねーか! 宇宙空間に行く気か!」と叫んでいる。

 最前列の乗客が「このバスは宇宙仕様ですか」と冷たい声で質問した。


「いえ。ですが5分くらいならギリいけるかなって」


 ギリ許せない乗客たちの猛抗議でツアー中止。


 一方その頃、やっとの思いで脱獄してきた旧経営陣が、事前調査のために超空洞(ボイド)に向かったが瀕死になって帰って来た。

 宇宙服が調達できなかったので、潜水服で代用したのが敗因だったという。

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