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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
62/106

異世界バスツアー62「闇の世界」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 後継者を探している工場に乗り込んで、バスツアーを開催して8時間観光させようとしたら捕まった旧経営陣。あと工場も別の理由で潰れた。

 新会社をどうするか悩んでいた新経営陣のもとに、旧経営陣の生霊が現れた。


 コマンド?

→はなす

 たたかう

 にげる


「なやんでるんだね。ようしになってみょうじをかえたらいいかも!」


 ヒントをもらった新経営陣は、魔王のご両親の養子になって名字を変えてみた結果、旅行業の登録に成功。

 さっそくバスツアーの企画を考える。

 初回のテーマは「初心に帰る」ということにして、未知で鮮烈な旅行を企画。

 未知で鮮烈で初心すぎたため、クレーム殺到で中止になるのであった。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 初心に帰るというテーマで、ビッグバンに観光しようとしたら止められてしまった初回バスツアー。

 失敗はしたがバスツアーを実行できたことに手ごたえを感じている新経営陣。

 初心のノルマはクリアしたので、次は異世界旅行会社としての足元を固めることを目標にすえる。

 そうなるとやはり、オーソドックスな異世界で手堅くいこう、そう決心して上機嫌に企画を進める新経営陣。そこへ帰り道を失念した旧経営陣の生霊が憑依して暴走。

 いつものアバンギャルドツアーが開催されるのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスは闇の世界に参ります」


 バスガイドの言葉に、乗客たちは「おお……」とどこか暗い期待を感じさせる声を出した。

 薄暗い雰囲気の3列目の乗客が「そこは死者の世界というのは本当なのですか」と沈んだような低い声で尋ねる。


「はい、そこに存在するのは死んだものの霊だけです」


 3列目の乗客は薄く喜んでいるような声で「なるほど……」と呟いている。

 不安そうな顔をしている2列目の乗客が「あの、それって、私たちは大丈夫なのですか?」と恐れを隠し切れないようすで質問した。


「はい、当バスは専門家の手により霊障防御機構が構築されておりますので、霊はこの中に侵入できません」


 少しだけ安堵した様子の2列目の乗客が「そうですか、よかった」と胸をなでおろしている。

 常連の乗客は「なんか悪い予感がするのう」と呟いた。


「それではこれより闇の世界に参ります。どうかバスの外には出ないようお願いいたします」


 バスは暗いトンネルに向かい、影の見えない通路を抜け、闇の世界に足を踏み入れた。


「闇の世界です! 皆様どうかごらんください!」


 バスガイドの言葉に乗客たちが窓の外をみた。

 薄っすら透けている白っぽい巨大なドラゴンが、ふっとい炎を吐いている。

 かすったバスの窓にヒビが入った。


 ドラゴンの逆方向からなんか嫌な大きな音がしたので、そちらの方を見ると、薄っすら透けている白っぽい巨人が、裸の山肌をちぎり取ってドラゴンに向かって投げている。

 流れ山肌がバスの天井に降ってきて、ドカンボカンと音がして、所々に穴が開いたりへこんだり。


「おっとお、ドラゴンの霊と巨人の霊のバトルです! これは見逃せませんよ!」


 見逃してもらうため、早急に距離を取るよう主張する乗客たち。


「わかりました! それではこれから天使の霊 vs 悪魔の霊の最終決戦会場に」


 乗客の強い希望でとりあえずツアー中止。

 ボロボロのバスで帰還に成功。

 いつものように不評で終わったツアーだったが、天井の穴から酸素の霊と山肌にあった炭素の霊が侵入していたため、その後しばらくは夜になるとバスがぼうっと光りだしてしまう。

 おかげで心霊スポットとして有名になってしまうのであった。

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