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バスツアー会社の異世界破綻記  作者:
異世界にバスで旅行しよう!編
61/106

異世界バスツアー61「初心に帰る」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 役員に就任したエルダードラゴン(本人未承諾)を励まそうとしたら、ふたつの意味で炎上して潰れた新会社。

 ドラゴンのために新たな新会社を設立しようとするが、今までの行状がたたって旅行業の登録に苦戦する新経営陣。

 ちょうど脱獄してきた旧経営陣に相談したら、昔のライバル会社が後継者を探しているという情報を得た。

 さっそく旧経営陣を派遣して後継者となり旅行業を再開したら、その会社は工場に業務転換していたことが判明。

 そこは強引に突破してバスツアーを開催。お客様を工場で8時間観光をさせようとした旧経営陣は当たり前だが捕まってしまう。

 ついでに工場も異世界から治安維持機構の人が来てガサ入れされて潰れた。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 庇を貸してもらったら母屋を潰してしまった旧経営陣。

 よくわからないうちに進退窮まった新経営陣のもとに、旧経営陣の生霊が現れてこれからの道を示した。


「養子縁組で名字変えれば登録通るんじゃね?」


 さっそく新経営陣は魔王のご両親の養子になることで名字を変えた。

 魔王の義理の兄弟となった新経営陣は、旅行業の登録に成功。

 ついに旅行会社としての一歩を踏み出した。

 新経営陣は改めて初心に帰る。


「お客様に未知で鮮烈な体験を!」


 初心に帰る。

 初心はどんなに帰っても帰りすぎるということはない。

 そんな新会社の初ツアーがいよいよ開始されるのであった。



✩。:•.¸.;".*✩• 本編 •✩*.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスは初心に帰ります」


 バスガイドの言葉に、乗客たちが静かになった。

 白髪で背筋の伸びた3列目の乗客が「広告にあった未知で鮮烈な体験ツアーというのはどうなったのかしら」と少しきつめに質問している。


「はい、当社のモットーは“お客様に未知で鮮烈な体験を”となっておりまして、今回はその初心に帰ろうというコンセプトで企画されております」


 鋭い目をした3列目の乗客は「それで、具体的にはどこに行くのかしら」尋ねた。


「はい、全ての始まりにして、未知と鮮烈に満ちた場所……ビッグバン直後の宇宙です」


 3列目の乗客は元気よく「アホかあ!」と叫んだ。

 常連の乗客は流れるような手つきで会社に電話をかけ、クレームと中止要請を二重詠唱。


 新会社の初ツアーはあたりまえ中止になった。

 バスツアーが経験する、いつもの中止。会社にとって新鮮味がないことが、成功の証だと思う。

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