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バスツアー会社の異世界破綻記  作者: ○
異世界にバスで旅行しよう!編
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56/106

異世界バスツアー56「ドラゴン温泉その2」

✩*: . ✩これまでのあらすじ✩. :*✩

 安全性重視のゾンビツアーは全体的に普通だったので、普通に不評だった。

 普通の不評程度ではびくともしない新経営陣は、頭を抱えながら次回の企画を考えているがいいのが浮かばない。

 そこで魔王のご両親に意見を聞いたら、いいこと思いついた! と言って走り出してしまう。

 ご両親のコネによる魔王のツテで、古の巨竜であるエルダードラゴンを紹介された新経営陣。

 とりあえず協力を要請したら二つ返事でオッケーされた。

 さっそくエルダードラゴンの発案で、ドラゴンがブレスで沸かすドラゴン温泉の企画がスタート。旅館が蒸発してマグマが沸いて終了。


✩*: . ✩これからのあらすじ✩. :*✩

 別のところに宿泊した魔界ツアー自体はそこそこの評判だったが、エルダードラゴンがリベンジという名の汚名返上のチャンスを求めてきた。

 人一倍失敗を繰り返してきた新経営陣は、名誉挽回したいその気持ちはすごいわかる、とエルダードラゴンの申し出を受け入れる。

 さっそく前回の反省点をピックアップして改善、生まれ変わったドラゴン温泉企画が始動するのであった。



✩。:•.¸.;".✩• 本編 •✩.";.¸.•˚。✩

「本日は当社のバスツアーにご参加いただき誠にありがとうございます」


 笑顔のバスガイドが、ほぼ満席の乗客に向けてマイクで喋っている。

 乗客たちは楽しそうにおしゃべりしたり、窓の外を流れる風景を楽しんだりしていた。


「これより当バスは魔界に向かいます」


 バスガイドの言葉に、乗客たちは「おおー」と盛り上がる。

 白髪の目立つ2列目の乗客が「あの、ドラゴン温泉って以前の広告で見た気がするんですが」と鋭い質問をした。


「はい、以前のドラゴン温泉はお客様を満足させるには力不足でしたので、今回再チャレンジの機会をいただきたいと思っております」


 2列目の乗客は「なるほど」と安易に納得している。

 常連の乗客は「力不足というか、力過剰で全部吹っ飛んだじゃろ」と呟いた。

 年齢のよく分からない見た目をした3列目の乗客が「今回のドラゴン温泉はどんな感じなのですか」とまっとうな質問をしている。


「はい、今回は前回の反省をもとに改良を重ねましたので、きっとご満足いただけると確信しております」


 3列目の乗客は「そうですか、楽しみです」と柔らかい笑顔を見せた。

 常連の乗客が「具体的な事なんも言っとらんな」と呟いている。


「それではこれより第二回ドラゴン温泉に参ります!」


 バスガイドがマイクに言葉を放つと同時にバスはトンネルに突入した。

 乗客たちの期待を乗せたバスは暗闇を抜け、外の世界に飛び出す。

 そこは一面の白い世界。

 バスの前方には円形の湖があり、表面は凍っているように見える。

 すぐ横にはどこまでも続くような下りの斜面。

 冷たい目をした最前列の乗客が「もしかして、火口湖……?」と呟く。


「はい、魔界の休火山の山頂にある火口湖です。ここが本日のドラゴン温泉の予定地となっております」


 バスガイドの言葉が終わるとバスも停止した。

 どこかから大きな羽ばたきの音が聞こえてくる。

 音の方角に顔を向けた乗客たちが見たのは、火口湖に飛んで行く巨大な竜。

 湖の近くに降り立った巨大な竜は、バスの方を向くと両腕を地面と平行に上げて親指を立てた。

 その後火口湖に向き直った竜は大きく息を吸い込む。


 前回の失敗は、広範囲に炎を拡散したことが原因であった。

 ならば今回は、炎を収束して一点に集中させる。

 巨大な竜は、己の持つ全ての炎を全魔力でもって一点に集中させ、凍った湖の表面に放った。

 極小サイズの恒星というべきそれは、氷を突き破り、水中を駆け抜けて、火口を構成する岩石を貫通し、大地をえぐり、マントルの上層に到達して大爆発。


 地下深くに発生した、とんでもない圧力は逃げ場を求めてドラゴンの炎が掘りぬいた穴に殺到して休火山大噴火。

 両手を口に当てて、噴火する火口とバスを代わりばんこに見ている汚名挽回中の巨竜。

 とりあえずそれを置き去りにして、緊急避難するバスは元の世界に全力で逃げるのであった。

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